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アヤメ属


このサイトで紹介している種

クリソグラフェス レティクラタ    
クリソグラフェス
chrysographes
レティクラタ
reticulata
   

アヤメ科Iridaceae
学名Iris L.
和名アヤメ属
英名flag, fleur-de-lis (fleur-de-lys), sword lily
分布北半球の温帯
種数200〜300種(資料によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

 ギリシア語の「iris(虹)」に由来し、虹のように色々な色の花が咲くことから。なお、アイリスは、ギリシャ神話の虹の女神の名前でもある。

花言葉信仰、英知、勇気、軽快、変わりやすい、メッセージ、希望、吉報、優しい心
旅行にある
関連施設

迫町伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター南方町花菖蒲の郷公園多賀城跡あやめ園一迫山王史跡公園あやめ園

メモこのページは少しずつ説明を追加していく予定です。ご了承下さい。

名前・来歴など
 属名の日本語表記について、「イリス」はラテン語読みで、学名をカタカナ表記する際はこちらが推奨されていて、「最新園芸大辞典」、「日本花名鑑」では「イリス」とされています。一方、「アイリス」は英語読みで、慣例的な例外を認めるとしている「園芸植物大事典」で採用されています。イリスとアイリスではアイリスの方が馴染みがあると思いますので、このサイトでは「園芸植物大事典」に倣い、「アイリス」とさせて頂きます。なお、アイリスとはアヤメ属植物の総称なので、このページでは特に断りがない限り、「アイリス=アヤメ属植物」とします。
 来歴について、紀元前2500年には栽培されていたそうです。
 現在、世界中の多くの地域で、自然のアイリスが絶滅の危機に瀕しているそうです。イスラエルでは、全ての種が保護されているそうですし、タジキスタンには、レッドデータブックのリストに載せられた種が8種あるそうです。他にも、World Wildlife Fund (WWF) が増殖をサポートしている種があるそうです。


形態・生態・栽培など
 多年草です。地下部は、根茎か鱗茎で、鱗茎は、網目状の外皮か滑らかな外皮に覆われています。多くの種で、葉が根生しています。葉は剣状か線状です。花茎が分枝する種としない種があります。花茎に花が1つ以上着きますが、花の基部には鞘苞があります。花には3枚の外花被片と3枚の内花被片があります。普通、英語で外花被片は「outer perianth」、内花被片は「inner perianth」ですが、アイリスでは、それぞれ、「falls」、「standards」と称するようです。

アヤメの花

雄しべは3本で、花糸の基部は外花被片に付いています。子房下位です。花柱は3裂し、離れている部分は花柱離生部、あるいは、花柱分枝と呼ばれています(左の写真で花柱とされているのは、正確には、花柱離生部[花柱分枝])。花柱離生部(花柱分枝)に付いている花弁状の器官は、「翼状の張り出し、花柱裂片」(「図説植物形態ハンドブック」)、「しべ弁」(「花の品種改良入門」)、「(花柱分枝の)翼」(「図説植物用語事典)、「ずい片、旗弁」(「世界のアイリス」)などと呼ばれていて、外花被片に重なるように付いています。この裏(背軸側)に雄しべがあります。
 左の写真はアヤメの‘雪国’です。

 湿気が多いところに自生している種が多いそうですが、大部分のアイリスは乾燥地帯、半砂漠、岩山の環境で発生したそうで、細い葉、厚いクチクラ層、凹んだ気孔、と言ったような、乾燥に適した形態をしていると言われています。
 栽培に関しては、種によって異なるそうなので、ここでは割愛します。各種のページをご覧下さい。


種類と分類
 種数は上記の通りです。和名が付いている種とこのサイトで紹介している種について、以下に挙げます。なお、ほとんどの学名と命名者名は「The New RHS Dictionary of Gardening」に、学名に対応する和名は「園芸植物大事典」に準拠しています。

I. chrysographes Dykes
・ハナショウブ(I. ensata Thunb.
・ニオイアイリス(I. florentina L.
・ミナリアヤメ(I. foetidissima L.
・チャショウブ(I. fulva Ker-Gawl.
・ドイツアヤメ(I. germanica L.
・ヒメシャガ(I. gracilipes A. Gray
・ダッチ・アイリス(オランダアヤメ;I. × hollandica hort.
・シャガ(I. japonica Thunb.
・ネジアヤメ(I. lactea Pall.
・カキツバタ(I. laevigata Fisch.
・イングリッシュ・アイリス(I. latifolia Mill.
・キンカキツバタ(I. minutoaurea Makino
・チョウダイアイリス(I. ochroleuca L.
・キショウブ(I. pseudacorus L.
・ナンキンアヤメ(I. pumila L.
I. reticulata Bieb.
・エヒメアヤメ(I. rossii Bak.
・マンシュウアヤメ(I. ruthenica Ker-Gawl.
・アヤメ(I. sanguinea Hornem.
・ヒオウギアヤメ(I. setosa Pall. ex Link.
・コアヤメ(I. sibirica L.
・イチハツ(I. tectorum Maxim.
・カンザキアヤメ(I. unguicularis Poir.
・アンザンアヤメ(I. tigridia Bunge
・スパニッシュ・アイリス(I. xiphium L.

 分類について、「最新園芸大辞典」、「園芸植物大事典」、「世界のアイリス」にはLawrence氏とRandolf氏が1959年(1953年?)に発表した分類が紹介されています。しかし、ここでは、「The New RHS Dictionary of Gardening」に載っていた分類を参考にしました。この分類のオリジナルについては、「The New RHS Dictionary of Gardening」では明らかにされていませんが、Wilson氏の文献の中にほぼ同じ分類が載っていて、それによると、Mathew氏の「The Iris」(Batsford, London. 1989年)がオリジナルのようです。なお、最近は、DNAの塩基配列を調べて分子系統樹を作って系統発生を明らかにした研究がありますが、これについては、機会があったら説明を追記します。

  1. Iris 亜属
    • Hexapogon

      • I. falcifolia, I. longiscapa

    • Iris

      • ドイツアヤメ, ナンキンアヤメ, I. amoena, I. cypriana, 他

    • Oncocyclus

      • I. acutiloba, I. jordana, I. susiana、他

    • Psammiris

      • I. bloudowii, I. humilis, 他

    • Pseudoregelia

      • アンザンアヤメ, I. goniocarpa, I. hookeriana, I. kamaonensis

    • Regelia

      • I. darwasica, I. lineata, I. stolonifera、他

  2. Limniris 亜属
    • Lophiris

      • ヒメシャガ, シャガ, イチハツ, I. cristata, I. lacustris, 他

    • Limniris
      • Chinenses シリーズ

        • I. koreana, I. minutiflora, I. rossii

      • Vernae シリーズ

        • I. verna

      • Ruthenicae シリーズ

        • I. caespitosa, I. ruthenica

      • Tripetalae シリーズ

        • ヒオウギアヤメ, I. tridentata

      • Sibiricae シリーズ

        • アヤメ, コアヤメ, I. chrysographes, I. clarkei, I. delavayi, 他

      • Californucae シリーズ

        • I. bracteana, I. chrysophylla, I. hartwegii, 他

      • Longipetalae シリーズ

        • I. longipetala, I. missouriensis

      • Laevigatae シリーズ

        • ハナショウブ, カキツバタ, キショウブ, I. versicolor, I. virginica, 他

      • Hexagonae シリーズ

        • I. brevicaulis, I. fulva, I. hexagona, 他

      • Prismaticae シリーズ

        • I. prismatica

      • Spuriae シリーズ

        • I. pontica, I. sintenisii, I. spuria, 他

      • Foetidissimae シリーズ

        • I. foetidissima

      • Tenuifoliae シリーズ

        • I. loczyi, I. tenuifolia

      • Ensatae シリーズ

        • ネジアヤメ

      • Syriacae シリーズ

        • I. grant-duffii, I. masiae, I. melanosticta

      • Unguiculares シリーズ

        • カンザキアヤメ, I. lazica

  3. Nepalensis 亜属

    • I. collettii, I. decora

  4. Xiphium 亜属

    • イングリッシュアイリス, スパニッシュアイリス, I. filifolia, I. juncea, I. tingitana, 他

  5. Scorpiris 亜属

    • I. caucasica, I. galatica, I. linifolia, I. persica, 他

  6. Hermodactyloides 亜属
    • Brevituba
    • Hermodactyloides
    • Micropogon
    • Monolepis
本棚以外の参考文献
  • 中村信一ら訳.トロール図説植物形態ハンドブック.朝倉書店.2004年.

  • 西尾 剛ら.花の品種改良入門.誠文堂新光社.2001年.

  • 日本花菖蒲協会編.世界のアイリス.誠文堂新光社.2005年.

  • Wilson, C. A. Phylogeny of Iris based on chloroplast matK gene and trnK intoron sequence data. Molecular Phylogenetics and Evolution. 33: 402-412. 2004.

(2005.6.26.)
 
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