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アイリス・クリソグラフェス

アイリス・クリソグラフェス
品種:‘Black Night’(‘Black Knight’)


アヤメ科アヤメ属(アイリス属、イリス属)
学名Iris chrysographes Dykes
英名 
和名 
別名 
花言葉属の解説参照
メモ

 アヤメ属の解説は、こちらを御覧下さい。chrysographes種(クリソグラフェス種)は、Limniris亜属 LimnirisSibiricaeシリーズに含まれるそうです。
 種形容語(種小名)のカタカナ表記について、「世界のアイリス」では「クリュソグラス」とされていますが、ここでは、「最新園芸大辞典」、「園芸植物大事典」に従いました(従うまでもなく、Chrysanthemumクリサンセマムと読みますし、PhalaenopsisファレノプシスPharbitisファルビティスGomphrena はゴンレナと読むので、普通に、クリソグラフェスと読めると思いますが)。
 「世界のアイリス」によると、和名は「金紋アヤメ」だそうですが、一部の山草業者の間での呼び名らしいです。
 原産地は、中国西部、ミャンマーの北東部だそうです。

 耐寒性がある多年草ですが、冬の間は、地上部は枯れます。地下部は根茎です。葉は剣状です。花茎は中空で、1本の花茎に花が1〜4つ着きます。各花には鞘苞があります。花の構造の詳細はアヤメ属のページを御覧下さい。クリソグラフェス種の花色は暗赤紫色で、黒もあります。また、外花被片の基部に黄色の網目模様がありますが、種形容語の chrysographes はこれに因むと思われます(「最新園芸大辞典」では種形容語の意味が「黄色筆状の」とされていますが、「筆状の」が何を指しているのかは不明です)。
 I. forrestii DykesI. sibirica L. と交雑するそうです。

 園芸品種として、‘Inshriach’(花色はほぼ黒色)、‘Margot Holmes’(パープル・クリムゾンで、喉部に黄色のラインが入る)、‘Rubella’(赤紫色)があるそうです。写真の‘Black Night’の花色は、Thompsom & Morgan の日本語版カタログでは黒色で(T & M公式サイトのウェブ版カタログで同じ写真が見られます)、上の写真では青っぽい紫ですが、実物は青よりも赤に近い濃い紫色でしたし、「The New RHS Dictionary of Gardening」ではインディゴ・バイオレットとされています。なお、‘Black Knight’と言う品種名は、タネが入っていた袋に書いてあったものです。

 以下、私の個人的な経験とタネが入っていた袋に書いてあった説明を織り交ぜて、鉢植え栽培の解説です。繁殖は、実生か株分けによります。播種は、イギリスでは2〜7月が適期とのことなので、春に行いました。私の場合、播種から発芽までに約1ヶ月かかりましたが、タネが入っていた袋に書いてあった説明によると、1年以上かかることがあるそうです。なお、覆土が必要とのことなので、タネに土をかけました。土は水捌けの良いものを使っています。水遣りは、出来る限り乾燥させないようにしていて、冬にも土が乾いたらあげるようにしています。日当たりが良いところにおいています。夏の間に株が増えます。このため、一度だけですが、10月下旬に株分けを行ったことがあります。ただし、この時期が適切かどうかは不明です。参考までに、発芽したのは1株だけでしたが、4年経った今は、6号鉢(直径18cmの鉢)3つに各20株以上(計60株以上)にまで増えています。冬の間は、2001〜2004年は無加温の温室に入れていましたが、2004〜2005年は一部の株を屋外に置いたままにしてみたところ、屋外でも仙台の冬を乗り切って開花するくらいには耐寒性があることが分かりました(2004〜2005年の仙台市の最低気温の平均値は、11月8.0℃、12月1.8℃、2005年1月−1.8℃、2月−2.2℃、3月0.2℃。昨年12月までは暖冬、今年に入ってから例年より低温)。花持ちが悪く、開花して二日後には花被片が萎れ始めます。

 うちの子は、播種から開花までに4年もかかりました。私の推測に過ぎませんが、幼若性か春化が関わっていると思います。
 幼若性は、「花が咲くのに好適な環境条件下でも、植物体がある一定の齢(大きさ)に達するまで花が咲かない性質」のことです(チューリップが播種から開花まで6年以上かかったり、「モモ、クリ3年、カキ8年」のように果樹ではよく見られます)。アイリス・クリソグラフェスの場合、播種から開花できるようになるまでに、4年以上かかるのかもしれません。
 春化は、「一定期間の低温(一般に、5〜15℃)に遭遇し、その低温の後作用として花芽分化する現象、または、作用」のことです。また、15℃以上で春化の作用が打ち消されることを脱春化と言います(ただし、15℃というのは一般論ですし、植物の種類によって違うと思います)。毎年、無加温の温室の中で育てていますが、加温していないと言っても、晴れた日には20℃近くまで温度が上がることがあり、脱春化が起きていた可能性があります。ただし、春化が必要な他の植物(ビジョナデシコセイヨウオダマキ、他)は同じ環境で育てていてもちゃんと咲きましたし、一昨年は、一鉢だけですが、晴れた日は温室から出して出来る限り低温に当てるようにしていました。それでも咲きませんでしたし、今年は例年より寒かったと言っても、温室内で育てていた株も開花しました。
 ちなみに、現在60株以上あるうち、今年咲いたのは4株だけです。幼若性や春化の他に咲かなかった原因として、冬の間の水遣りは少なめにしていたので思いの外乾燥していた、と言うような環境的な原因があったのかもしれません。いずれにせよ、しっかり確かめてみないことには分かりませんが。

 関連する文献は見つかりませんでした。


本棚以外の参考文献
  • 日本花菖蒲協会編.世界のアイリス.誠文堂新光社.2005年.

コメント

 播種は2001年5月半ば過ぎ、発芽は約1ヶ月後、最初の開花は今年の6月上旬です。4年もの間、待ちに待った待望の開花で、頭の中に流れていた中島みゆきさんの歌が、「地上の星」から「ヘッドライト・テールライト」に変わった瞬間でした(笑)。咲くまでは、間違ってイネ科雑草を育てていたかとも思っていたので、アイリスらしいアイリスが咲いて、ホッとしました。
 品種名が‘Black Night’になっていたり、‘Black Knight’になっていたりしますが、「The New RHS Dictionary of Gardening」でも‘Black Night’となっているので、こちらの方が正しいのかもしれません。それにしても、「黒い夜」と「黒騎士」とでは大違いですね。
 メモにも書きましたが、T & Mのカタログの写真の花は品種名の通り黒色で、珍しい色だと思って購入したのですが、実物は赤っぽい紫だったのがちょっぴり不満です。こぼれ種で増えてしまっている、ビオラの‘ブラックジャック’の方が、より黒に近い色をしています。まぁ、アゲラタム・ヒューストニアヌムの例があったのであまり期待していませんでしたし、咲いた喜びの方が大きいです。

 以下、駄文です(^^ゞ。
 栽培期間中の2002年には「仮面ライダー龍騎(りゅうき)」が放送されていました。「龍騎」に登場する仮面ライダー達は、モンスターの力を借りて変身していましたが、その中の一人に、コウモリのモンスターの力で変身する「仮面ライダーナイト」(演じたのは松田悟志さん)という、騎士をモチーフにした黒色の格好いいライダーもいました。そこで、2002年か2003年にこのアイリスが咲いていたら、「品種名が格好良いです(^^)。 そう言えば、今年[昨年]の「仮面ライダー」にも、黒色のナイトが登場していたようで・・・( ̄▽ ̄;。龍とか、コウモリとか、バッタの改造人間も進化(!?)しましたねぇ〜(笑)」とコメントを付けて花リレーで紹介するつもりでいました( ̄▽ ̄ゞ(この当時は、タネの袋に書いてあった‘Black Knight’が正しい品種名で、日本語版カタログは誤植だと思っていました)。実は、今年も、「コツが分かっていれば、もっと早く咲かせることが出来ていたかもしれません。とある仮○ライダーに合わせられなかったのが悔やまれます( ̄▽ ̄ゞ」と書くつもりでいましたが、さすがに、「龍騎」から3年も経ってしまったので諦めました(^^;。でも、改めて、ここのコメントに書けて良かったです(ぉぃ。馬鹿丸出しですね(^^;。まぁ、所詮、ゲームやコミックのイラストも掲載しているようなオタク系園芸サイトですからね。たまには、こんなコメントもお許し下さい(^^;(2005.6.26.)

 
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