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イポメア・ロバタ(ミナ・ロバータ)

イポメア・ロバタ、ミナ・ロバータ(花序)イポメア・ロバタ、ミナ・ロバータ(小花)


ヒルガオ科イポメア属(サツマイモ属)
学名正名:Ipomoea lobata (Cerv.) Thell.
異名:I. versicolor Meissn.Mina lobata Cerv.Quamoclit lobata (Cerv.) House
英名Spanish flag, vigorous climber
和名 
別名 
花言葉 
メモ

 学名の正名、異名は、「The New RHS Dictionary of Gardening」に従いました。
 イポメア属の解説は、こちらをご覧下さい。花の見た目からは想像しにくいですが、アサガオと同属です。異名からお分かり頂けるかと思いますが、Mina属(ミナ属)や Quamoclit属(ルコウソウ属)とされていたことがあったようです。
 ミナ属の詳細については不明です。私が調べられた資料の中では、「A Dictionary of the Flowering Plants & Ferns. Student Edition」に、「1種。メキシコから南米の熱帯(原文は英語)」と書いてあるだけでした。この1種が、lobata種のことなのかどうかは、分かりません。

 流通上は、「ミナ・ロバータ」と呼ばれています。種小名(種形容語)の「lobata」は、「ロバタ」とも、「ロバータ」とも読まれています。
 英名の Spanish flag は、「The New RHS Dictionary of Gardening」によります。また、vigorous climberは、「園芸植物大事典」によります。同書によると、中国では、「金魚花」という名前が付けられているそうです。この他、cypressvine という英名も付けられているようです。cypressvineルコウソウの英名ですが、かつて、ルコウソウ属とされていたためだと思われます。
 原産地はメキシコだそうです。

 一年草、あるいは、短命の多年草です。耐寒性がないため、日本では、一年草として扱います。蔓性です。葉は三裂しています。葉腋に花序が着きます。花序軸は単軸分枝で、2本に分岐し、それぞれの花序軸に多数の小花が着きます。1本の花序軸の中で、小花は一つおきに同じ方向を向いていて、連続して同じ方向を向くことはありません(写真左)。萼は5裂しています。花は壺形の合弁花で、イポメア属では唯一の左右相称花だそうです。花冠は、蕾が小さいうちは赤色ですが、成長に伴って段々と色が薄くなり、花が開いて雄しべや雌しべが出てくる頃には、クリーム色っぽくなります(写真右)。雄しべは5本、雌しべは1本です。右の写真で、先端が丸い物が雌しべ、それ以外が雄しべです。花冠と雄しべは合着していて、花が咲き終わる時に一緒に落ちてしまいます。後には子房と花柱が残ります。左の写真の左下の糸状の物は、花冠が落ちた後の花柱です。果実は、4個の子室から成る刮ハで、各子室に1個の種子があります。未熟な種子を切ると、乳液が出ます。
 栽培ですが、タネは、春に播きます。発芽適温は25℃で、アサガオと同じく、気温が高くなってから播くと良いそうです。日当たりの良い所が適しているそうです。窒素が多いと、花着きが悪くなると言われています。

 ソライロアサガオと同じく、種子に麦角アルカロイドが含まれているそうですが、その量は微量だそうです。


本棚以外の参考文献
  • Willis, J. C. A Dictionary of the Flowering Plants & Ferns. Student Edition. Cambridge University Press. 1985.

  • Wilkinson, R. E., et al. Psychotomimetic ergot alkaloid contents of seed from Calonyction muricatum, Jacquemontia tamnifolia, Quamoclit lobata, and Q. sloteri. Botanical Gazette. 149: 107-109. 1988.

コメント

 播種は4月上旬、発芽はそのおよそ10日後、最初の開花は9月上旬です。暖かくなるまでは無加温のガラス温室内で、暖かくなってからは温室から出して育てていました。開花が遅かったせいか、果実が成熟しませんでした。育てていた場所の日当たりが、若干、悪かったせいもあるかもしれません。最近、寒さのせいか、元気がなくなっています。
 同じ場所で育てていたアサガオが7月頃から咲き始めたのに、ミナ・ロバータは大きく成長したにも関わらず、なかなか花芽が着かなくて、失敗したかとヤキモキしました。アサガオより花芽分化の限界日長が短いのか、それとも、今年の猛暑が影響したのかは、分かりません。
 昨年、ルコウソウのことを調べていた時に、Pharbitis属(アサガオ属)Calonyction(ヨルガオ属)、ルコウソウ属、ミナ属がイポメア属にまとめられることを知り、「ミナ属を育てれば、ヨルガオ属以外の4属を制覇できる!」ということが、育てる切っ掛けになりました(^^;。子供っぽい理由です( ̄▽ ̄ゞ。なお、種子は、サカタのタネの通販で購入しました。
 関連する資料が少なかったです。英名にしろ、中国名にしろ、言い得て妙のナイスネーミングなのに、和名がない(私の調べ方が悪くて、見つけられなかっただけかもしれませんが)のは、残念です。また、どのような理由で、属がミナ属やクアモクリト属からイポメア属に変わったかとか、分子系統樹を作ったらどのように分類されるのか、というようなことを知りたかったです。
 左の写真は、画質を落としていますが、花リレー(10/16〜10/31)で紹介した物です。雲のない、青空を背景にした写真を撮りたかったのですが、この写真を撮った後(10/15以降)は、花が落ちてしまったり、南中高度が下がって日陰が出来てしまったり、花序が向いて欲しい角度に向いてくれなかったりで、思うような写真が撮れませんでした。(2004.11.21.)

 
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