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ルコウソウ

ルコウソウ


ヒルガオ科イポメア属(サツマイモ属)
学名正名:Ipomoea quamoclit L.、異名:Quamoclit pennata (Desr.) BojerQ. vulgaris Choisy
英名cypressvine morning-glory, cypress vine, star-glory, Indian pink
和名ルコウソウ(縷紅草、留紅草)
別名カボチャアサガオ(柬蒲塞牽牛花、南瓜朝顔)、ホソバルコウソウ(細葉縷紅草)
花言葉多忙、お節介、常に愛らしい
メモ

 イポメア属の解説は、こちらをご覧下さい。以前は、Quamoclit属(クアモクリト属、ルコウソウ属)でしたが、現在はイポメア属にまとめられているようです。なお、ルコウソウ属の解説は、こちらをご覧下さい。
 私が調べた資料の中では、「園芸植物大事典」が唯一、種小名を「pinnata」と記載していましたが、ここでは、「園芸植物大事典」以外の資料に従い、「pennata」としました。なお、「pennata」も「pinnata」も意味は同じで、「羽状の」を意味します。
 別名のカボチャアサガオについて、上記の「柬蒲塞牽牛花」は、「園芸植物大事典」に依ります。「柬蒲塞」はカンボジア(「広辞苑・第4版」[岩波書店、1991年]では「柬埔寨」)のことだそうで、一説にはカンボジア経由で日本に入ってきたことに由来し、カンボジアが転訛したらしいです。なお、「牽牛」はアサガオのことです。
 原産地は熱帯アメリカですが、現在は他の地域にも分布しているそうです。日本には、江戸時代初期の1634年に渡来したそうです。

 蔓性の一年草です。葉の形によって、マルバルコウソウやハゴロモルコウソウのような他の旧ルコウソウ属植物と区別されるそうですが、ルコウソウは種小名の通り、葉が羽状になっているのが特徴です。上の写真では一部しか写っていないので分かり難いと思いますが。小さいですが、サムネイルの方がもう少し良く写っているかもしれません。なお、葉は互生しています。花には長い花柄があり、葉腋に着きます。花冠は星形で、花色は、赤、白、桃です。子房は4室で、4つの種子が形成されます。

 花色の遺伝について、赤色と白色は不完全優性だそうで、赤花と白花を交配すると、その子(F1)の花色は桃色になり、F1を自花受粉させて出来た子(F2)の花色は、赤色:桃色:白色=1:2:1の比になる中間遺伝をするそうです。また、桃色について、赤花と白花の交雑によって出来る他に、自花受粉しても花色が分離しない固定桃色も存在するそうです。固定桃色の花色の遺伝については、赤色に対しては劣性、白色に対しては優性だそうです。
 茎の色については、紫色と緑色が対立形質で、紫色が優性だそうです。また、有色の花(赤色・桃色)の遺伝子と茎の紫色遺伝子、白花遺伝子と茎の緑色遺伝子は、それぞれ完全連鎖している(同一の染色体上にあって組み換えが起こらない)そうです。つまり、緑色の茎の個体は白色の花を咲かせて、紫色の茎の個体は赤色か桃色の花を咲かせるそうです。

 フロリダ州のグラジオラス畑では雑草化しているそうで、光、水、養分を競合したり、グラジオラスに巻き付いて花穂を曲げて商品価値を無くす、といったような被害があるそうです。このため、適切な除草剤は何が良いかということについて検討したレポートがあります。古いですし、日本では実用的ではないと思いますので、ここでは詳細は省略しますが、効果があったのは、「pronamide(プロナミド)」と「oryzalin(オリザリン)」という除草剤だったそうで、除草剤としての効果はプロナミドの方が高かったそうですが、グラジオラスの花穂の新鮮重や、球根と木子の重さが減る薬害があったそうです。

 薬用に利用されているそうですが、詳細は不明です。


本棚以外の参考文献
  • 本多康人.ルコウソウ属植物の遺伝学的研究.(続報)ルコウソウにおける花色と茎色の遺伝子分析.植物学雑誌.第79巻.241〜243ページ.1966年.

  • Gilreath, J. P. Cypressvine morning-glory control in gladiolus. HortScience. 20: 701-703. 1985.

  • Austin, D. F. et al. A Putative tropical american plant, Ipomoea nil (Convolvulaceae), in pre-Columbian Japanese art. Economic Botany. 55: 515-527. 2001.

コメント

 播種は5月上旬、発芽はその5日後、最初の開花は8月上旬です。
 写真の赤い花の他に、サムネイルの白い花、それとピンク色の3色が咲きました。いつもは間引きの時の選び方が悪いためか、花色が混合しているものでも、1〜2色しか咲かないのですが、今回は、3株を残して間引きしたのに、全部違う色になりました(^o^)v。メモにも書きましたが、花色の遺伝子と茎の色の遺伝子は連鎖しているようで、茎の色が違う株を残しておいたのが幸いしたのかな、と思いつつ、その残した株が何色の花を咲かせたかまでは、確かめていませんでした(^^ゞ。予め知っていれば、ちゃんとチェックしていたと思いますが、大抵、ページを作る時になってから資料を収集するので。出来れば、紅白揃っている写真を撮りたかったですが、思い通りにいきませんでした。
 それにしても、雑草になるような植物を育てていたのには、ちょっと心外です。まぁ、そのような植物は、他にも育てたことがありますが。来年以降、こぼれ種から増えないように、注意しようかな、と思いました。(2003.11.15.)

 
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