このページ内の文章・画像の転載を禁止します

このサイトで紹介している種

ロバタ、ロバータ アサガオ ルコウソウ ソライロアサガオ
ロバタ / ロバータ
[ミナ・ロバータ]
lobata
アサガオ
nil
ルコウソウ
quamoclit
ソライロアサガオ
tricolor

ヒルガオ科Convolvulaceae
学名Ipomoea L.
和名サツマイモ属
英名morning glory
分布熱帯、亜熱帯
種数約450〜650種(資料によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

 ギリシア語の「ips(虫)+homoios(似る)」に由来する。なお、ipsは、リンネがConvolvulusを表すのに用いていたようである。

メモ

属について
 和製の図鑑の中には、Ipomoea属(イポメア属、サツマイモ属)、Calonyction(ヨルガオ属)、Pharbitis属(アサガオ属)Quamoclit属(ルコウソウ属)を別々に扱っているものがありますが、これら4つの属をイポメア属にまとめ、その上で亜属や節として分類する見解もあります。実際、一部の種については、遺伝子を解析した結果から、その見解を支持するデータが得られているそうです。このイポメア属の解説は、ヨルガオ属、アサガオ属、ルコウソウ属をイポメア属に含めている「The New RHS Dictionary of Gardening」、「The Plant-Book」を参考にしました。また、各属の解説は、「園芸植物大事典」、「最新園芸大辞典」、「世界有用植物事典」を参考にしました。
 なお、イポメア属には、Mina属 (ミナ属) も含まれるそうですが、 M. labata Cerv. (ミナ・ロバータ) I. lobata (Cerv.) Thell (=Q. lobata (Cerv.) House)の異名であると言うことは分かりましたが、ミナ属の詳細は、ミナ・ロバータのページに記載したこと以外については不明です。


形態、栽培について
 一〜多年生のよじ登り性の草本ですが、低木となる種もあるそうです。蔓性のものの中には30メートルに以上になる種もあるそうです。葉序は互生です。葉には葉柄があります。葉の形は様々で、全縁か、切れ込みがあります。一つの個体内で葉の形が違うことがあります。花は腋生で、単生するか、花序をつくっています。花冠は放射相称で、浅〜深い切れ込みがあり、漏斗状か円錐状です。果実は乾果で、裂開性の刮ハです。種子は、多くは4〜6個ですが、稀に10個の場合もあるそうです。原産地の熱帯では多年草となっている種の多くは、温帯地域では一年草として栽培することが出来るそうです。

 先述の通り、ヨルガオ属、アサガオ属、ルコウソウ属、ミナ属が、イポメア属にまとめられていますが、別の属として扱う場合の各属の形態的特徴等は、以下の通りです。なお、ミナ属については、「1種がある」としている資料しか見つからなかったため、ミナ・ロバータ1種を私が観察した結果によります。

 イポメア属
Ipomoea L.
ヨルガオ属
Calonyction Choisy
アサガオ属
Pharbitis Choisy
ルコウソウ属
Quamoclit Moench
ミナ属
Mina
Llave et Lex.
全縁か切れ込みがある心臓形〜矢形 丸葉、浅〜深裂3裂
漏斗状か鐘状長筒、高盆形、芳香あり花柄に小型の苞が着く、漏斗形長柄、小さい、高盆形壺形、
イポメア属で唯一左右相称
子房2または4室、
4種子
2〜多室3室、6種子 4室、4種子
開花日中日中日中 
染色体数 x=15x=15x=14、15 
その他 雄蕊、花柱が長い柱頭は分裂しないか分裂しても裂片が丸い開花の時、雄蕊・花柱が花冠より突出開花の時、雄蕊・花柱が花冠より突出

 種子で繁殖させますが、多年草の種は、挿し木でも増やせます。一般に、肥沃で、日当たりと排水が良いところを好みます。


種類など
 種数は上記の通りですが、「The New RHS Dictionary of Gardening」では450〜500種、「The Plant-Book」では650種、「世界有用植物事典」では約500種とされています。「園芸植物大事典」と「最新園芸大辞典」では、アサガオ属やルコウソウ属が含まれていないためか、これより少なく約400種とされています。主として、和名が付いている種を以下に挙げます。なお、命名者名が図鑑によって異なることがありましたが、このページでは「The New RHS Dictionary of Gardening」を参考としました。ご了承下さい。

・ヨルガオ(夜顔;正名:I. alba L.、異名:Calonyction aculeatum (L.) House
・ヨウサイ(正名:I. aquatica Forssk.、異名:I. reptans Poir.
・サツマイモ(薩摩芋;I. batatas (L.) Poir.
・モミジヒルガオ(紅葉昼顔;別名:タイワンアサガオ[台湾朝顔];I. cairica (L.) Sweet
・コダチアサガオ(正名:I. carnea Jacq.、異名:I. crassicaulis Benth.
・ウチワルコウ(団扇縷紅;正名:I. coccinea L.、異名:Quamoclit coccinea (L.) Moench
・アメリカアサガオ(正名:I. hederacea (L.) Jacq.、異名:P. hederacea (Jacq.) Choisy
・ホザキアサガオ(別名:ゴヨウアサガオ[五葉朝顔];I. horsfalliae Hook.
・ノアサガオ(野朝顔;正名:I. indica (Burm.) Merrill、異名:P. congesta (R. Br.) Hara
ミナ・ロバータ(正名:I. lobata (Cerv.) Thell.、異名:I. versicolor Meissn.Quamoclit lobata (Cerv.) HouseMina lobata Cerv.
・ヤツデアサガオ(正名:I. mauritiana Jacq.、異名:I. digitata Auct. nonI. paniculata R. Br.
・ハリアサガオ(針朝顔;別名:アカバナヨルガオ[赤花夜顔];正名:I. muricata (L.) Jacq.、異名:Calonyction muricatum (L.) Don.
アサガオ(朝顔;正名:I. nil (L.) Roth、異名:Pharbitis nil (L.) Choisy
・グンバイヒルガオ(I. pes-caprae (L.) R. Br.
・マルバルコウソウ(丸葉縷紅草;正名:I. phonicea Roxb.、異名:Quamoclit angulata Bojer
・ヤラッパ(I. purga Hayne
・マルバアサガオ(丸葉朝顔;正名:I. purpurea (L.) Roth、異名:P. purpurea (L.) Choisy
ルコウソウ(縷紅草;正名:I. quamoclit L.、異名:Quamoclit pennata (Desr.) BojerQ. vulgaris Choisy
・ハゴロモルコウソウ(羽衣縷紅草;別名:モミジバルコウソウ;正名:I. × sloteri (House) Ooststr.、異名:Quamoclit cardinalis hort.、他)
ソライロアサガオ(空色朝顔;正名:I. tricolor Cav.、異名:I. rubro-caerulea Hook.


利用について
 花を観賞用に栽培する他、サツマイモやヨウサイのように食用に利用できる種もあります。また、リセルグ酸誘導体を含む種があり、アステカ族はソライロアサガオの種子を幻覚剤として利用しているそうです。薬用に利用できる種もあり、アサガオの種子(牽牛子〔けんごし〕)には利尿、瀉下などの作用があり、ヤラッパの塊根は下剤として用いられたり、グンバイヒルガオは、根が飢饉の時の食用にされたり、全草が痛み止めとして利用されたり、種子が腹痛の薬になったりするそうです。


本棚以外の参考文献
  • Willis, J. C. A Dictionary of the Flowering Plants & Ferns. Student Edition. Cambridge University Press. 1985.

(2003.11.8./最新の更新:2004.11.21.)
 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します