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タチアオイ

タチアオイ
品種:‘PeachesnDreams


アオイ科タチアオイ属(アルケア属)
学名正名:Alcea rosea L.、異名:Althaea rosea (L.) Cav.
英名hollyhock, garden mallow, great mallow, holy mallow, jagged mallow
和名タチアオイ(立葵)
別名ホリホック(ホリーホック)、ハナアオイ(花葵)
花言葉野心、高貴で威厳に満ちた美しさ、うわべ、他
利用部根、花
利用法薬用、食紅
薬効消炎、鎮痛、利尿
メモ

 タチアオイ属の解説は、こちらをご覧下さい。異名のAlthaea属(ビロードアオイ属、アルタエア属)については、こちらをご覧下さい。
 和名のタチアオイは、真っ直ぐに伸びる草姿に因むそうです。なお、ユリ科のエンレイソウにもタチアオイという別名が付けられています。
 また、ハナアオイという別名がありますが、ハナアオイは、本来は、Lavatera trimestris(ラヴァテラ・トリメストリス/アオイ科)に対して付けられた和名だそうです。
 Alcea setosa(クレタ島・トルコ原産)と Alcea pallida(中央・南東ヨーロッパ原産)が種間交雑して出来たと考えられているそうです。原産地は不明だそうですが、トルコないしアジアと推察されています。現在、北半球の温帯に分布しています。日本へは室町時代に中国から渡来したそうです。「最新園芸大辞典」には「万葉集」にも既に詠まれていると解説されていますが、「万葉植物事典」によると、「万葉集」に詠まれているアオイ(あふひ)はフユアオイだそうです。

 二年草、あるいは、多年草ですが、園芸品種の中には一年草の物もあるそうです。茎は直立します。葉は、葉柄があり、互生しています。葉の形はほぼ円形で、浅い切れ込みが入ります。花は葉腋に着きます。葉腋に花が一つ着く場合と、腋芽から側枝が発達して、総状花序を形成する場合があります。総苞片は三角形〜披針形で、萼の長さの半分よりやや長いくらいの大きさです。花は、一重の花は花弁が5枚ですが、八重咲きもあります。
 品種として、‘Chater's Double Apricot’、‘Indian Summer’、‘Indian Spring’(一年生)、‘Summer Carnival’(一年生、矮性、八重咲き)、‘Majorette’(一年生、矮性、八重咲き)、‘Nigra’(ブラックマロウ。資料によっては、品種ではなく、変種として扱われていることがあります)等があるそうです。写真の‘PeachesnDreams’は Thompson & Morgan 社のオリジナル品種だそうです。

 繁殖は、実生か株分けで行いますが、長期間栽培し続けると株が弱くなることから、毎年更新し、春か秋に播種をして翌年に開花させる二年草として扱うのが良いと言われています。また、前述しましたが、春に播種をしてその年の夏〜秋に観賞できる一年草として扱える品種もあるそうです。温暖で、陽当たりが良いところを好みます。土壌は肥沃で湿度を保てて、排水性がよい物が向いているそうです。耐寒性が強く、−15℃まで耐えられるそうです。
 開花から数日経つと、ツバキのように、花が花弁の基部から落ちてしまいます。また、コナガの幼虫らしき虫と、オンシツコナジラミが着きやすかったです。

 マーシュマロウの代わりとして用いることがあるそうですが、「英国王立園芸協会 ハーブ大百科」によると、マーシュマロウよりもタチアオイの方が効果に優るそうです。
 根は、アルテア根(マーシュマロウの根)の代用とされるそうで、漢方でも蜀葵根(しょくきこん:蜀葵はタチアオイのこと)という名前で使われているそうです。花は、乾燥させて薬用のティーの材料として利用されたり、濃い赤い色の色素をワインなどの食品の着色に用いることが出来るそうです。若い葉は、茹でて食べることが出来るそうです。


本棚以外の参考文献
  • Watts, D. C. Elsevier's Dictionary of Plant Name and Their Origin. Elsevier. 2000.

  • 本田正次.フユアオイ.世界の植物.830〜833ページ.朝日新聞社.1976年.

  • Hanelt, P. Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops. 1619-1620. Springer. 2001.

コメント

 播種は2002年の4月下旬、発芽は、その10日後です。
 栽培がちょっと複雑になってしまいました。2鉢(1株/鉢)育てていたうちの一鉢は、2002年の秋に、加温している温室に搬入して、冬の低温に当てませんでした。2003年の春に搬出して露地で栽培していましたが、この年は、抽台しませんでした。そのまま露地で越冬させたところ、今年の6月中旬に最初の花が咲きました。もう一鉢は、無加温の温室内で栽培していましたが、2003年は、抽台したものの花芽が枯れてしまって、開花しませんでした。そのまま無加温の温室内で越冬させたところ、今年の5月末に最初の花が咲きました。2002〜2003年の栽培から、‘PeachesnDreams’が抽台・開花するためには、低温にあてる必要がある(春化が必要)と思われました。もっとも、栽培した個体数が少ないので、これが本格的な実験だったら、駄目出しを食らうでしょうけど(^^;。ちなみに、2株とも成長が活発で、鉢の底から根が出て地面に根付いてしまいました。また、基部から分枝して、1鉢当たり5〜6本の花茎が伸びました。無加温の温室の株より露地で育てていた株の方が、草丈が高く、花色が濃かったです。露地で栽培した株は、6月の台風は何とか凌ぎましたが、その後、花茎の先端の花が咲くようになり、7月中旬の雨を含んで花の重さが増したせいか、茎が途中で折れてしまいました。
 6月1日〜7月19日に、宮城県立美術館で、マルモッタン美術館展・仙台展が開催されていましたが、印象派のベルト・モリゾという人の「立葵(Hollyhocks)」という作品が展示されていました。そうとは知らずに11日に見に行ったのですが、ちょうどこのページを作りかけていた時で、本当に良いタイミングで見られました(^^)。でも、正直なところ、アオイ科っぽいのは分かりましたが、タチアオイ以外にも見えなくもなかったです(^^;(2004.7.20.)

 
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