英名について
十字軍がシリアからヨーロッパにタチアオイを持ち帰ったという逸話があり、hollyhock は「聖地のホック」(hock はタチアオイの古名)と意味だそうです。ただし、これについては、異論があるそうです。また、今の英語では、holly はヒイラギのことですし、「神聖な」を意味する英単語は l が一つ少ない holy です。
形態・生態・栽培など
二年草か短命の多年草ですが、タチアオイの園芸品種の中には、一年草もあります。有毛です。茎は直立し、分枝は多くありません。葉は切れ込みがないか、掌状です。総苞片は6〜11に浅裂し、長さは萼より短く、普通、基部で合着しています。萼は5裂していて、開花後も成長します。花弁は、普通5枚で、色は、ピンク、紫、黄色、白などがあります。雄しべは多数あり、五角形の雄ずい筒を形成し、花柱を取り囲んでいます。葯は黄色です。柱頭は糸状に分枝し、分枝の数は分果と同じ数だけあります。分果はおよそ40個で、輪状に配列し、種子が1つ含まれています。 栽培については、タチアオイのページをご覧下さい。
ゼニアオイ属(Malva)、ビロードアオイ属(Althaea属)、タチアオイ属(Alcea属)、ハナアオイ属(Lavatera)は近縁で、この4つの属は、Malvinae亜連(※)というグループにまとめられるそうです。ハナアオイ属以外の属の違いをまとめると以下のようになります。
※ 連(tribe / tribus)は、科と属の間の分類。亜連(subtribe / subtribus)は連の下のもう少し細かい分類。「連」の代わりに、「族」を用いることもあります。 また、タチアオイ属(ビロードアオイ属)、ハナアオイ属、ゼニアオイ属を Malva alliance(allianceは「群団」の意。アオイ科植物の分類をした Bates氏らが用いた語。学術的に認められた分類ではなく、和訳は不明)にまとめる分類方法もあります。
種類など
種数は上記の通りです。一部の種を以下に挙げます。
・A. ficifolia L.
・A. heldreichii (Boiss.) Boiss.
・A. lavateriflora (DC.) Boiss.
・A. pallida (Willd.) Waldst. et Kit.
・タチアオイ(A. rosea L.)
・A. rugosa Alef.
・A. setosa (Boiss.) Alef.
・A. striata (DC.) Alef.
・A. sulphurea (Boiss. et Hohen.) Alef.
本棚以外の参考文献
CRC World Dictionary of PLANT NAMES -Common names, scientific names, eponyms, synonyms, and etymology. CRC Press. 2000.
Hanelt, P. Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops. 1614-1621. Springer. 2001.
Duke, J. C. L. A Chloroplast DNA based phylogeny of the Malvacea. Systematic Botany. 20: 259-271. 1995.
(2004.7.20./最新の更新:2005.2.19.)
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