メモ | ビロードアオイ属の解説は、こちらをご覧下さい。 名前はマロウですが、ゼニアオイ属のゼニアオイ(コモンマロウ・モルチアナ)やムスクマロウと違ってアルタエア(ビロードアオイ)属です。英名の「marsh mallow」は「沼地のアオイ」の意味で、野生での生育地に因むそうです。 西・中央アジア、東ヨーロッパに分布しているそうです。また、アメリカ合衆国東部にも帰化しているそうです。日本へは、明治19年より前に渡来したそうです。
耐寒性がある多年草です。草丈は、2メートル程まで伸長します。有毛です。葉は卵形で、切れ込みはないか、掌状に3、あるいは、5浅裂し、鋸歯があります。葉腋に花が一つ着く場合と、腋芽から側枝が発達して、花序を形成する場合があります。花色は淡桃色で、稀に濃いピンクのこともあるそうです。葯は、紫赤色です。 繁殖は株分けか、実生で行います。土質は選びませんが、肥沃で、湿気があると良いそうです。また、陽当たりを好むそうです。耐寒性があり、−10℃くらいまでなら耐えられるそうです。 発芽率が低いそうです。種子の発芽は、20〜30℃の間の変温・明条件で促進され、20℃一定温度・暗条件で劣るという実験結果があります。
マロウの中でも高い薬効を持つと言われ、その薬効は紀元前9世紀には既に知られていたそうですが、ヨーロッパでは9世紀から栽培されたそうです。全草に粘液物質、アルテイン(althaein)、糖が含まれているそうです。薬効が高いのは根で、花や葉は根に比べたら劣るそうです。 根は、アルテア根(Radix Althaea)として、胃の炎症を抑えたり、消化器の疾患に利用されたそうです。根に含まれている成分は、デンプンが約4割、粘液物質が約1割、ペクチン、フラボノイド、ショ糖などが約1割だそうです。根は、二年目の物を秋に収穫すると良いそうですが、粘液物質は、冬に最も多くなるそうです。また、根の粉末が咳止め用のトローチ剤の原料として用いられ、これがお菓子のマシュマロの原型になったそうですが、現在は、マーシュマロウは含まれていません。根は、他に、軟膏として利用できたり、口内炎に対して用いることが出来るそうです。 地上部は、夏に花を着け始めるときに採取すると良いそうです。花をすりつぶした物は、皮膚炎に用いることが出来るそうです。野菜として利用されていたこともあったそうです。 他に、繊維が紙の原料として使うことが出来るそうです。
追記(2004.7.20.) ビロードアオイ属の解説を追加したのに伴い、内容の一部をそちらに移し、ほぼ全文を改訂しました。
本棚以外の参考文献
Watts, D. C. Elsevier's Dictionary of Plant Name and Their Origin. Elsevier. 2000.
Ilieva, St., et al. Germination of Althaea officinalis L. seeds at varying temperature and light regimes. Acta Horticulturae. 96: 211-220. 1980(摘要のみ参考)
A. シヴァリエ原著.世界薬用植物百科事典.誠文堂新光社.2000年.
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