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コスト基準とは
原価標準とは、原価計算をするにあたって、標準とすべきモノサシのことです。
たとえば、旋盤で軸の外径を100o削るといった場合に、何分必要になるかといった尺度です。これらを表にまとめたものを一般にコストテーブルといっています。
この原価標準は、品目を作るにあたっての標準原価を明らかにするためのものであり、製品を作る前の段階では、目標原価を達成できているかを確認するモノサシとして必要不可欠です。
自社のコスト戦略を遂行するうえで、原価標準は基礎となるものです。

原価標準の重要性
価格競争の厳しい現在、多くの製造企業が、販売価格をもとに目標原価を設定しています。
このため設計部門では、要求される仕様とともに目標原価の達成を考慮しながら開発を進めています。
それでは、その製品の目標原価の達成度は、どのように評価するのでしょうか。
社内で原価算出のための原価標準を持って、製品原価を求め、評価することになるでしょう。
しかし、求めた製品原価が、実績原価とかけ離れた数値になってしまった場合、その原因が明らかでない限り、求めた製品原価の信頼性は失われてしまうこよになります。
このため、原価算出のための原価標準の設定は、理論性を持ち、誰もが納得できるものであることが重要になってくるのです。

固定費の変動費化の課題
多くの製造企業は、中国を中心とする海外生産による人件費の抑制とともに、固定費の変動費化を進めてきました。
これは、社内への設備投資を抑制し、外部から製品や部品を調達することによって、生産量の変動による固定費の負担軽減を狙ってのことです。
しかし、その一方で社内での製品を作る機会が減ることによって、加工技術によるノウハウの失われてきました。
このため、海外を中心とする生産体制から日本国内での生産への回帰が一部に見られています。
それは、日本のもっとも優れている生産技術力を生かそうというものです。モノ作りに関するノウハウの蓄積が大切であるということではないでしょうか。

相見積りの危うさ
あまり商品知識もいらず、即効性のあるコストダウンの方法として、現在も相見積もり作業が行われています。
ある品目について、製作可能な協力会社数社に見積りを依頼し、もっとも安い価格提示のあった会社に発注を決めることです。この方法は、あまり協力会社側の政策を考慮して検討することはありません。
たとえば、協力会社が、現在ほとんど取引がなく、何とか増やしたいと考えれば、利益を考えないで安い価格提示をするでしょう。
そして、まず引き合いを受注し、さらに受注量の拡大を図るでしょう。しかし、取引をしても利益が得られなければ意味がありませんので、徐々に見積価格をアップするようになります。
つまり、時間とともに価格が上がってきて、競合他社と比較しても差がない、あるいは高額になってくることもあります。しかし、調達側では、過去の安価であるという固定観念があって、取引を進めることになってしまうのです。
そして、新たに顧客を増やそうとする協力会社が現れたときに、安い金額の見積りが出てくる。この繰り返しになるのではないでしょうか。
この繰り返しでは、会社の成長は望めるものではなくなっていくでしょう。
自社で見積りの評価基準を持ち、査定・評価できることが必要になるのです。

理論性のないコストダウンの問題
大手の製造企業に多く見られることですが、社内の製品開発に力を注ぎ、生産を海外生産や外部に依存する割合が高くなっています。
そして、厳しい価格競争の中で、利益確保のために即効性のある協力会社へのコストダウンがよく行われています。
その進め方は、協力会社に対して「納入価格の何%をコストダウンしてください。」というもので、コストダウンのための調査や評価などの多くの事前準備をすることなく、簡単に進めることができます。
そして、この結果が、期待したほどのコストダウンが達成できないと見ると、一社ずつ個別に再度のコストダウンの要求を提示することになります。

パイとしての仕事量そのものが少なくなってしまった現在、多くの協力会社がある程度のコストダウン要求を呑むことになるでしょう。
ただ、協力会社も、赤字になってまで取引を進めていくことには問題があります。
このため協力会社では、新しい引合いが出てくると、見積り金額が高めになって、過去コストダウンで失った利益を取り戻そう、どうせコストダウン依頼が来るなどと思惑が入ってくるのです。
そして、発注側企業は、一社ずつ個別に再度の見直しを依頼することになるわけです。
この繰り返しになっているではないでしょうか。

そのような状況の中で、理論性のない厳しいコストダウンを進めていると、仕事量の少ない時期は我慢している協力会社が、別の客先からの受注量が増えてくるようになったとき、従来の発注先企業へ協力関係が薄れて、採算の悪い品目を値上げするあるいは断るようになります。
これに対して発注側の企業では、コストダウンのために新しい協力会社を探すことになります。この繰り返しになってしまうのです。

ここでの一番の問題点は、従来の取引関係や人間関係を中心に、高圧的にコストダウンを依頼して、もっと安価で作れるのではないかということを理論的に説明できていない。
そこには、協力会社との打合せによるコストダウン提案や協力がなくなっています。また、協力会社においても、自社内でのコストダウン努力が失われています。
これは、発注側企業と協力会社の双方にとって、アンハッピーなことです。

原価標準の必要性
原価標準は、上記に掲げたような課題や問題点を解決するもっとも有効なツールであるのではないでしょうか。

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