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ゼニアオイ属


このサイトで紹介している種

ムスクマロウ ゼニアオイ    
ムスクマロウ
moschata
ゼニアオイ
[コモンマロウ・モルチアナ]
sylvestris ssp. mauritiana
   

アオイ科Malvaceae
学名Malva L.
和名ゼニアオイ属
英名mallow
分布ヨーロッパ、アジア、熱帯アフリカ、アフリカ南部。一部の種は北アメリカに帰化
種数30〜40種(資料によって異なります)
属名の性別女性

属名の由来

 ギリシア語の「malachos, malache(柔らかくする)」を起源とするラテン古名に由来する。これについては、1)葉が下垂するほど柔軟である、2)緩和剤としての薬効を有する、という二つの説がある。

メモ

形態・生態・栽培など
 一年草、二年草、多年草だそうで、亜低木の種もあるそうです。茎は、直立か、傾伏し、葉は互生します。葉は厚みのある円形を基本として、基部は切れ込みの深い心臓形〜切れ込みの浅い腎臓形、葉縁は全縁、円鋸歯状、浅裂、羽状です。花は葉腋に着きますが、単生する場合と花序を作る場合があるそうです。萼片は5裂しますが、通常、1〜3つの離生した総苞片が萼片の基部に着生しています。花弁は倒心形で、5つあります。雄蕊は複数が合着して雄ずい筒を形成し、花柱を包んでいます。花柱も複数あり、基部で合着しているそうです。果実は多数の分果から成る分離果です。また、果実(未熟な莢)はチーズと呼ばれることがあるそうですが、これは、形がある種のチーズと似ていることによるそうです。
 実生、株分け、挿し芽で繁殖出来るそうです。多年生の種は耐寒性があり、中には−15℃にも耐えることが出来る種があるようです。日当たりと排水が良いところが向いているそうです。

 ゼニアオイ属(Malva)、ビロードアオイ属(Althaea属)、タチアオイ属(Alcea属)、ハナアオイ属(Lavatera)は近縁で、この4つの属は、Malvinae亜連()というグループにまとめられるそうです。ハナアオイ属以外の属の違いをまとめると以下のようになります。

 ゼニアオイ属
Malva L.
ビロードアオイ属
Althaea L.
タチアオイ属
Alcea L.
花の直径0.4〜10cm3.5cm以下5cm以上
雄ずい筒の
断面
 円形五角形
分果の数多数約20個約40個
総苞片1〜3枚、離生6〜9枚、基部が合着6〜11枚、基部が合着

 連(tribe / tribus)は、科と属の間の分類。亜連(subtribe / subtribus)は連の下のもう少し細かい分類。「連」の代わりに、「族」を用いることもあります。
 また、タチアオイ属(ビロードアオイ属)、ハナアオイ属、ゼニアオイ属を Malva allianceallianceは「群団」の意。アオイ科植物の分類をした Bates氏らが用いた語。学術的に認められた分類ではなく、和訳は不明)にまとめる分類方法もあります。


種類など
 種数は上記の通りですが、私が調べた限りでは、40種としていたのは「The Plant-Book」で、それ以外の資料は30種としていました。確認出来た種、変種、亜種は、以下の通りです。

M. alcea L.
ジャコウアオイ(ムスクマロウ;M. moschata L.;英名:musk mallow
M. neglecta Wallr.(英名:common mallow, dwarf mallow)(※1
M. nicaeensis All.
・ウサギアオイ(M. parviflora L.;英名:Egyptian mallow, little mallow)(※2
・ハイアオイ(M. pusilla Smith)(※3
・ハイアオイ(M. rotundifolia L.;英名:common mallow, small mallow)(※4
・ウスベニアオイ(M. sylvestris L.;英名:common mallow, blue mallow, high mallow, tall mallow, cheeses
  ゼニアオイ(コモンマロウ・モルチアナ;ssp. mauritiana (L.) Asch. et Graebn.;英名:tree mallow
・フユアオイ(別名:カンアオイ;M. verticillata L.;英名:curled mallow
  オカノリ(var. crispa Makino)(※5

※1:英名のうち、common mallow は「The New RHS Dictionary of Gardening」に、dwarf mallow は「英国王立園芸協会 ハーブ大百科」依ります。
※2:英名のうち、Egyptian mallow は「The Plant-Book」に、little mallow は「日本帰化植物写真図鑑」依ります。
※3:和名は、「日本帰化植物圖鑑」に依ります。
※4:和名は、「園芸植物大事典」と「日本帰化植物写真図鑑」に依ります。英名のうち、common mallow は「園芸植物大事典」に、small mallow は「日本帰化植物写真図鑑」に依ります。「The Plant-Book」では、この学名は M. pusilla の異名とされていますが、Kumar の論文によると別種であることが示されています。
※5:「The New RHS Dictionary of Gardening」、「The Plant-Book」では、変種(variety)ではなく、園芸品種(cultivar)とされています。

 和名について、M. pusillaM. rotundifolia の2種が「ハイアオイ」と名付けられています。
 また、英名について、「The Plant-Book」、「英国王立園芸協会 ハーブ大百科」、「世界薬用植物百科事典」に依ると M. sylvestris に、「The New RHS Dictionary of Gardening」に依ると M. neglecta に、「園芸植物大事典」に依ると M. rotundifolia に、common mallow(コモンマロウ)と言う英名が付けられています。

 以上の通り、図鑑によって、分類が異なったり、学名に対応する和名や英名が一致していないことがあります。信頼できる情報が欲しいところです。


本棚以外の参考文献
  • Hanelt, P. Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops. 1614-1621. Springer. 2001.

  • A. シヴァリエ原著.世界薬用植物百科事典.誠文堂新光社.2000年.

  • 長田武正.日本帰化植物圖鑑.北隆館.1972年.

  • 清水矩宏ら編著.日本帰化植物写真図鑑 Plant invader 600種.全国農村教育協会.2001年.

  • Kumar, P. Developmen and structure of seed coat in Malva L. Phytomorphology. 41: 147-153. 1991.

  • Duke, J. C. L. A Chloroplast DNA based phylogeny of the Malvacea. Systematic Botany. 20: 259-271. 1995.

(2003.8.31./最新の更新:2005.2.19.)
 
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