メモ | ゼニアオイ属の解説は、こちらをご覧下さい。 学名の正名は、「英国王立園芸協会 ハーブ大百科」、「ハーブ スパイス館」、「Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops」に依ります。ウスベニアオイ(M. sylvestris)の亜種(subspecies; ssp.)らしいです。 私が調べた限りでは、「原色園芸植物図鑑 Vol. III」、「日本帰化植物圖鑑」、「最新園芸大辞典」、「原色・花卉園芸大事典」、「世界有用植物事典」、「園芸植物大事典(同・コンパクト版)」、「園芸植物 庭の花・花屋さんの花」、「日本帰化植物写真図鑑」等の和製の図鑑では、ウスベニアオイの変種(variety; var.)とされています。また、「ハーブ スパイス館」も、学名は亜種としつつ、説明文には変種と書いてあります(どちらかがミス?)。しかし、海外で発表された最近の研究論文(2グループ・4報)では亜種とされていたので、このページでも亜種としました。 異名の M. mauritiana は、「園芸植物大事典」に依ります。「The New RHS Dictionary of Gardening」には、「M. mauritiana は M. sylvestris を参照」のようなことが書いてあり、M. mauritiana が M. sylvestris(ウスベニアオイ、コモンマロウ)の異名扱いされています。しかし、Kumar氏らの論文によると、M. mauritiana と M. sylvestris は、種子の形態の違いから別種として区別されるようですので、このページでは、「園芸植物大事典」に従いました。なお、ゼニアオイとウスベニアオイの違いとして、以下のことが挙げられるそうです。
| ウスベニアオイ(コモンマロウ) (M. sylvestris) | ゼニアオイ(コモンマロウ・モルチアナ) (M. sylvestris ssp. mauritiana) |
種子 | 無毛 | 有毛 |
茎の毛 | 粗毛〜長毛 | 無毛〜粗毛 |
葉 | 切れ込みが深い | 切れ込みが浅い |
花色 | 淡紅色、白色 | 紫紅色 ただし、薄い物もあるので、判定には向かない。 |
分布 | ヨーロッパ、地中海地方 | ウスベニアオイが分布している地域の東〜南東部 |
英名は、「最新園芸大辞典」、「世界有用植物事典」、「日本帰化植物写真図鑑」等の和製の図鑑に依ります。「園芸植物 庭の花・花屋さんの花」には「high mallow」と記されていますが、これは、海外の文献に依ると、ウスベニアオイの英名とされています。なお、ウスベニアオイには、他に「common mallow, blue mallow, tall mallow, cheeses」と言う英名が付けられています。 別名は「ハーブ スパイス館」に依りますが、同書では別名とはされておらず、私の解釈によるものです。ご了承下さい。 原産地はヨーロッパです。日本には江戸時代に渡来し、「草花絵前集」(1699年)、「大和本草」(1709年)、「草木図説」(1856年)に記されているそうです。
栽培については、ゼニアオイ属の解説のページをご覧下さい。
ウスベニアオイ(コモンマロウ)は、花、葉、若い莢を食用にすることが出来ます。ゼニアオイもティーにすることが出来るそうです。マロウティーは、生か乾燥した花にお湯を注いで10分ほど蒸らして作るそうで、レモンを添えてもいいようです。 また、ゼニアオイに含まれる粘液には薬効があり、皮膚の軟化剤、緩下剤、咳の薬として利用できることが出来るそうです。他に、蜜源として利用されたり、中国では野菜として栽培されていた時代があったそうです。
追記(2003.8.31.) メモを全文改訂しました。
追記2(2004.7.20.) 参考文献に「Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops」を追加し、解説を一部追記しました。
本棚以外の参考文献
Hanelt, P. Mansfeld's Encyclopedia of Agricultural and Horticultural Crops. 1614-1615. Springer. 2001.
Classen, B. et al. Concentric bodies in a parasitic fungus of Malva sylvestris (Malvaceae) pollen. Journal of Phytopathology. 148: 313-317. 2000.(命名者名のみ参考)
塚本洋太郎.原色園芸植物図鑑[III]宿根草編2.保育社.1972年.
長田武正.日本帰化植物圖鑑.北隆館.1972年.
塚本洋太郎監修.原色・花卉園芸大事典.養賢堂.1984年.
堀田満ら編集.世界有用植物事典.平凡社.1989年.
清水矩宏ら編著.日本帰化植物写真図鑑 Plant invader 600種.全国農村教育協会.2001年.
Kumar, P. Development and structure of seed coat in Malva L. Phytomorphology. 41: 147-153. 1991.
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