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ブルースター

ブルースター・果実ブルースター・種子
果実種子
ブルースター


ガガイモ科トゥイーディア属
学名正名:Tweedia caerulea D. Don、異名:Oxypetalum caeruleum (D. Don) Decne.
英名southern star
和名ルリトウワタ(瑠璃唐綿)
別名ブルースター、オキシペタルム
花言葉信じあう心
メモ

 トゥイーディア属の解説は、こちらをご覧下さい。
 正名と異名は、「The New RHS Dictionary of Gardening」に従いました。和製の図鑑等では、「園芸植物大事典」、「最新園芸大辞典」では正名と異名が逆になっていますが、「Flower Oasia」、「花卉品種名鑑」のような新しい図鑑等では Tweedia属が正名となっています。今現在、日本ではオキシペタルムの方が馴染みがあると思いますので、オキシペタルム属の解説をこちらに作りました。
 原産はブラジル南部、ウルグアイです。

 蔓性か低木性で、草丈は90〜100cmほどに伸びるそうです。白い毛に覆われています。葉の形は長楕円形で、先端は鈍形、基部は心臓形です。葉序は対生です。花序は葉腋に着き、1つの花序は1〜6個の小花から成ります。花の形態ですが、萼片は5つあります。花冠は合弁で、深い切れ込みが入って5裂し、星形になっています。花冠の直ぐ内側にある先端が青いものは副花冠で、5つの鱗片から成ります。真ん中の白い物は蕊柱(ずいちゅう)と呼ばれる、葯と柱頭が合着したものです。顕微鏡で見たところ、蕊柱の先端は2裂していました。蕊柱の下には離生した2心皮から成る子房があります。なお、子房は上位です。
 植物体からは白い樹液が出ますが、「Flower Oasis」によると「乳液は有毒」で、「花屋さんの花がわかる本」によると「肌が弱い人はかぶれる心配がある」そうです。

 半耐寒性で、最低でも3〜5℃くらいに保つと越冬できるそうですが、寒い地域では一年草として扱うと良いそうで、この場合、夏の終わりから秋の初めに咲くそうです。日当たりと水捌けが良いところを好むそうです。切り戻しすると、花を長期間楽しむことが出来るそうです。繁殖は、種子の他、挿し木でも出来るそうです。
 播種の適温は18〜20℃で、発芽までに約2週間かかるそうです。生育可能な温度は10〜30℃、生育適温は20〜25℃だそうです。温度が生育にどのような影響を与えるのかを調べるために、14℃、22℃、30℃で栽培した実験があります。これによると、草丈は温度が高いほど長かったそうです。開花までにかかる日数は、14℃で他の温度の3倍以上長かったそうです。また、30℃では花の発育が悪かったそうです。花の色にも温度が影響し、30℃では青っぽいピンクで色が褪せやすく、22℃ではスカイブルーで、14℃では濁ったような青みがかった藤色だったそうです。総合的には、22℃付近がベストだと考えられたそうです。また、日長が生育に与える影響について、8、10、12、14時間の日長で栽培した場合、草丈は日長が長いほど長く、花の品質は12、14時間日長で良く、花数は日長時間が長いほど多かったそうです。開花までにかかる日数には、日長による一定の傾向はないと言われていますが、長日性(日長が長いほど開花しやすく、開花までにかかる日数が短い)であるとも言われています。

 切り花として利用されていますが、汁液が切り口を塞ぐために水揚げが悪く、花持ちが悪いと言われているようです。切り口を熱湯に浸すと水揚げが良くなり、花持ちすると言われています。
 また、エチレンに対する感受性が高いことも、花持ちが悪い要因の一つだそうです。小花(花序の中の一つ一つの花)にエチレンを処理すると老化が促進されたそうです。逆に、エチレンの作用を阻害するSTSsilver thiosulfate complex;チオ硫酸銀錯塩[チオスルファト銀錯塩])を処理すると、花持ちが良くなったそうです。また、小花のエチレン生成量について調べたところ、花色が変わって以降、生成される量が増えたそうです。
 小花ではなく、切り花全体について鮮度保持方法を検討した実験もあります。切り花を5%か10%のスクロース(砂糖)で18時間処理した場合、花持ちは良くなったものの、褐変が生じて観賞価値がなくなったそうです。3%のスクロースとSTSを組み合わせて12時間処理した場合は、そのような褐変を生じることなく、花持ちが良くなったそうです。なお、このような薬剤処理をする前に、切り口を熱湯に20秒間浸したそうですが、先にも述べた通り、汁液が切り口を塞ぐのを防止するために必要だと言われています。
 この実験より更に濃い濃度のSTSを処理しても鮮度保持効果が得られなかったとする実験結果も報告されていますが、こちらは処理時間が20分と短かったために効果が現れなかったように思えました。

追記(2004.2.7.)
 果実と種子の写真を追加しました。果実の写真は、構図の都合上、45度ほど回転させています。

追記2(2004.2.14.)
 種子の写真を更新しました。


本棚以外の参考文献
  • Armitage, A. M., et al. Response of Oxypetalum caeruleum to irradiance, temperature, and photoperiod. Journal of the Amrican Society for Horticultural Science. 115: 910-914. 1990.

  • Hiraya, T. et al. Role of ethylene in senescence of cut Oxypetalum florets. Journal of the Japanese Society for Horticultural Science. 71: 59-61. 2002.

  • 平谷敏彦ら.ブルースター(Oxypetalum caeruleum)切り花の品質保持に及ぼすSTS1-MCPおよびスクロース処理の影響.園芸学研究.第1巻:67〜70ページ.2002年.

コメント

 播種は昨年の4月下旬、発芽は同年の5月中旬、最初の開花は今年の6月上旬です。無加温の温室で栽培しています。
 タネを播いたその年のうちに咲かなかったので、文献を調べるまで二年草かと思っていました。昨年咲かなかったのは、密植したのが悪かったのかもしれません(^^;。無加温の温室は、冬の間は氷点下になることがありましたが、それでも無事越冬してくれました。葉っぱがほぼ落ちちゃって、ダメかと思っていましたけど、新しい芽が出てきました。一般に言われている以上に耐寒性があるようです。(2003.7.19.)

もう一言(2004.2.7.)
 果実を初めて見たのは、昨年の9月頃だったと思います。それまで、観察していたつもりで、実は、よく見ていなかったようで、果実がなっているのを発見した時は、虫えいの一種かと思いました(^^;。何しろ、唐突のことでしたし、大きさが10数cmと可憐な花からは想像しにくい大きさだったので。その後は、花びらが散ってから果実が発達する様子を見たので、間違いなく、ブルースターの果実であることを確認しました。その後、またしばらく見ていなかったら、虫えいかと思った果実第一号がいつの間にか裂開して、種子を飛ばしていました( ̄▽ ̄;。飛んでいる様子は見ていませんが、たぶん、タンポポのように綿毛(冠毛)で飛ぶのだと思います。たまたま、育てているところから数10メートル離れたところに種子が落ちているのを見つけました。意外とすぐに見分けが付きました。今年以降、職場の畑に野良ブルースターが増えちゃったら、私のせいです( ̄▽ ̄ゞ
 和名のルリトウワタのワタは、種子に付いている冠毛に由来することが、よく分かりました。果実と言い、名前の由来と言い、百聞は一見にしかずの栽培でした。

もう一言2(2004.6.22.)
 今年も咲きました。3鉢あったので、昨年の秋から無加温の温室に1鉢、屋外に2鉢と分けて育てていました。温室では、一番早い花は5月中旬に開花しました。この花は、昨年形成された花芽で無事に越冬できた物のようでした。その後、暖かくなってから伸長した新梢からも花が咲きました。露地は、2鉢のうち1鉢から4月下旬に新芽が伸びてきて、6月中旬に最初の花が咲きました。今年の仙台は暖冬で、積もる程の雪は2回ほどしか降っていなかったと思いますし、もう一鉢は枯れてしまいましたが、それでも、一般に言われている以上に、耐寒性があるのかもしれません。

もう一言3(2005.12.4.)
 屋外の株は残念ながら枯れてしまいましたが、無加温の温室に入れていた株は、今年は6月末に最初の花を咲かせ、12月上旬の今も咲いています。春の時点では、昨年育った枝についた新芽が寒さのせいで枯れてしまい、今年で終わりかと思っていましたが、暖かくなってから地際から新しい枝が伸びてきて無事復活しました(^^)

 
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