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Share MILF -島原 吉野-

其の参

恐らく手順が決まっているのだろう、親身になりつつもどこか事務的にテキパキと質問をしていく高尾。
その質問に吉野は所々つかえながらも正直に答えていった。
「なるほど……それで洗濯物の中から無くなることが増えた、というのですね?島原様の……下着が」
「……は、はぃ……」
「島原様のお宅はマンションの高層階……島原様の勘違いでなければ、間違いなく坊っちゃんの仕業でしょうね」
「……は、はぃ……き、きっと…」
「ですがそれは……ただオナニーをするために使っただけではないのですか?坊っちゃんくらいのお年なら女性の下着に興味津々で、それを使ってオナニーするケースは珍しく無いですよ。たとえそれが……母親のものだったとしても」
「そ、それは……私も……それくらいのことは……」
赤裸々に事情を話す吉野の顔は、先ほど高尾にナイトサービスの説明を受けていた時以上に真っ赤に染まっている。
自分の……いや、自分の息子の疚しい部分を他人に話すことが、恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なかったからだ。
「だけど……いつも朝にはまた洗濯機の中に返されていて……そ、それに……パ……し、下着には……その……何も…」
「なるほど……島原様の下着……パンティには特に汚れた形跡がなかった、というのですね?」
「……は、はい……」
「ですが、パンティを使ってオナニーした時に必ず汚すとは限りませんし、たまたま……」
「い、いえ……そ、その……わ、私の悩みは……い、いえ……パ、パンティのことは……も、勿論、き、気にはなって……いますが……」
どことなく歯切れの悪い吉野の言葉を高尾は見逃さなかった。
「島原様が気に病まれていることは……他にあるのですね?……島原様、どうか全てを正直に話してくださいませ。そうしなければ私共も何をお手伝いすればよいのか……」
「は、はい……ご、ごめんなさい……あ、あの……じ、実は……わ、私のパ……パンティは……ま、間違いなくうちの息子が……」
「そうですか。坊っちゃんが犯人だということは、分っていらっしゃるのですね。その上で気に病まれていることが他にあると……」
「……は、はぃ……ご、ごめんなさい……う、嘘をつくような真似を……」
「いえ、お気になさらず。けれど話し辛いことでしょうがどうか本当のことを……ゆっくりでよろしいですから」
「は、はい……あ、ありがとう……ございます…」
高尾に即されるがまま悩みを打ち明けていく吉野。
吉野の話を一言一句も聞き漏らすまいと、高尾も真剣に耳を傾ける。
「そうなんですか。坊っちゃんがお部屋で……それが島原様のお悩みの元となったわけですね。そこに見えた光景に」
「は、はい………部屋のドアがしっかりしまっていなくて…す、隙間から……い、いえ、けして覗こうとしたんじゃないんです。な、なんかギシギシと物音がするので気になって……そ、それに苦しそうな呻くような声も……」
吉野は蚊の鳴くような小さな声でポツリポツリと言葉を紡ぐ。
自分の見た光景を説明する吉野はよほど恥ずかしいのだろう、徐々に徐々に身体を小さく縮こまらせていく。
そんな吉野を気の毒には思うが、高尾も真実を知らねばならない。
吉野の言葉に確認を取りつつも熱心にその光景に関する話を聞き出した。
「そうですか。それでは坊っちゃんは、下半身を丸出しにしてベッドに俯せになっていたと……」
「……は、はい…」
「その坊っちゃんの目の前に……島原様のパンティが置かれていたのですね」
「…………は……ぃ…」
「そして……パンティを見つめながら、まるで平泳ぎでもするようにジタバタしていたと…」
「…………」
吉野の声は今にも消えてなくなりそうだ。
いや、実際最後は声も出せずただ頷くだけの吉野だった。
「やはりそれは……オナニーなのでしょう、坊っちゃんなりの。ですがきっとまだ正しいオナニーの仕方を知らないのでしょうね。シェアミルフの説明の時に話しましたが、オナニーを知らないお子様達は勃起したペニスを持て余してむやみやたらにそこらに擦り付けたりしてしまうことがあるのです」
「や、やっぱり……そ、そうなんですね……」
「聞いた限りでは……もしかしたら坊っちゃんは精通もしていないかもしれませんね。パンティは汚されていなかったし、坊っちゃんのお部屋をお掃除された時、屑籠にもその形跡は無かったのですよね?」
「……は、はい……」
「なるほど……」
しばし物思いに更けるような態度を見せる高尾。
その高尾を吉野はジッと見つめ、言葉を待っている。
「島原様、それではご依頼の趣旨は、坊っちゃんのその奇行を止めさせたい、ということでよろしいでしょうか?坊っちゃんがその奇行を止めれば島原様の心配事は解消すると…」
吉野にしてみれば色々と思うところはあるが、きっと端的に言えばそういうことなのかもしれない。
だから、小さく頷いた吉野だった。
「は、はい……」
「わかりました。恐らく坊っちゃんには座学から必要となりそうですね……ふむ……これでおおよその方針は決まりました。ご協力ありがとうございました、島原様。話し辛いお話でしたでしょうに……」
「い、いえ……そ、そんなことは……な、ない……です……」
「?……」
吉野の態度に、高尾は何やら引っかかるものがあった。
本当に勘の良い高尾だ。
確かにまだ吉野には伝えていないコトがあったのだから。
心に思うコトが他にあったのだから。
「島原様……まだ何か……お話しされていないことがおありになるようですね」
「……えっ?」
「島原様、折角、私共をお頼りになってくださったのです。お願いですから全てをお話しくださいませ。恐らくそれが解決しないと……島原様のお悩みは解消されないのではないですか?」
「ぁ……ぅ……」
「私共は奥様、お母様達の味方です。これまでの経験を活かして、きっと島原様のお力になりますから……」
「……ぁぅ……は、はぃ…………じ、実はもう一つ……き、気がかりなことがあって……」
高尾に背を押されるようにして、吉野は今度こそ最後の悩みを打ち明けた。
それを聞いた高尾の表情は、少し不思議なものだった。
ほんの少しの驚きに加え、やはりそうだったかと納得したような、それでいて哀れみと共感が入り混じったような複雑な表情だったのだ。
「そうですか……坊っちゃんは、島原様のパンティを見つめながらペニスをベッドに擦り付けて……『ママァ、ママァ』と叫んでいたのですね。『ママァ、好きぃ』と」
「…………は、はい……わ、私も……年頃の男の子が、その……オ、オナニーをしているくらいなら……た、例えパンティを悪戯されても、そ、そんなに驚きはしなかったと……お、思うんです……でも、ぼ、坊やのその声を聞いて……」
「それを目の当たりにされたと……お母様にしてみれば、やはり驚かれたでしょうね」
「は、はい、そ、それで……し、心配になって……も、もしかしたら、わ、私のせいでこの子がおかしくなってしまったかもしれないと思って……わ、私、どうしたらいいのかわからなくて……」
「?……島原様のせい?……」
吉野の態度、物言いに少々違和感を感じたのか高尾が小首を傾げた。
が、高尾はそのことには何も触れなかった。
そもそも今、思い悩む吉野に何か言ったところで、全て悪い方向に捉えてしまうだろう。
高尾は安心させるように吉野に易しく語り掛けた。
「島原様?大丈夫ですよ、オナニー覚えたての幼い子供が母親をオナペットにすることなどよくあることです」
「そ、それは……そ、そうで……しょうか?…」
「はい、島原様のような若々しく美しいお母様なら尚更のことです」
「そ、そんなことは…」
高尾の方がよっぽど美人なのにという言葉を言いかけて、吉野は想いとどまった。
悩みの相談をしている時に、お世辞の言い合いなど何の意味もありはしない。
そんな想いが高尾にも伝わったのか、クスリと溜息のような笑みを零した高尾だった。
「大丈夫ですよ。男の子の成長の過程ではさほど珍しいことではありませんから……」
「……………」
なおも心配そうな表情の吉野だったが、高尾の言葉に少しは安心できたようだ。
これまで数多くの相談を受けてきたからだろうか。
高尾の言葉は、思い悩む者の心を落ち着かせる力があるようだった。
「それでは……島原様へのシェアミルフ提供サービスは……まず座学、そしてオナニーの指導でよろしいでしょうか?勿論、坊っちゃんに実際にお会いした時に調整は必要でしょうが、まずはこれで」
「は、はい……そ、それで……お、お願いします…」
「あ、最後にもう一つ…」
「な、何でしょうか?」
そこで高尾は、何やら意味ありげな視線を吉野に向けた。
それは、これまでにない実に真剣な表情で、つい吉野は姿勢を正してしまう。
そんな吉野に高尾が静かに一言告げた。
「まれにあることなのですが……もし坊っちゃんが、セックスを希望されたらいかがいたしましょうか?」
「え?……セ、セック……えっ!?……ええぇっ!!」
高尾の言葉に、吉野は今日一番の驚きの声を上げていた。
高尾の表情を見れば真剣そのものだ。
いや、そのどこか冷たささえ感じさせる視線は、もしかすると吉野の覚悟の程を見定めているのかもしれない。
高尾の視線から逃れるように吉野は俯いた。
「そ、それは…その…う、うちのボ、ボクには、す、少し……は、早いような…」
「そうですか、それでは…」
「あ、でっ、でも……ど、どうしてもボクがし、したいというなら……わ、私に駄目だと言うことは……け、けど…」
「…………」
黙って吉野の言葉を待っている高尾には、経験則から吉野の…この質問をした時の母親の気持ちはよくわかっていた。
本音を言えば嫌に違いないのだ。
しかし自分の息子の世話を、それも性に関する世話を他人に任せる負い目からなのだろうか、息子が望むなら、息子のためならなどと言いハッキリと断る母親は意外と少なかった。
だから高尾は助け舟を出す。
「わかりました」
「え?…」
「島原様、そう急いで結論を出さなくても良いですよ。当日までに決めていただければ……いえ、もし結論が出せないようならば、どうでしょう?私共に任せていただけませんか?」
「任せる?」
「はい。サービス提供の流れの中で、私共が必要だと感じたならば坊っちゃんのお相手をさせていただく、ということです。勿論、坊っちゃんが望まれていることが前提ですが。いかがでしょうか?」
どうせこの問いを持ち帰ったところで結論などではしない。
ただ悶々と悩むだけだ。
そう思った吉野は、高尾の案に静かに首を縦に振った。
「は、はい…そ、それでは…そ、そのように…お、お願い……いたします」
「かしこまりました」
言いながら優しい微笑みを吉野に向ける高尾。
吉野も緊張で強張る顔に無理やり作り笑いを浮かべそれに応えた。
「さて、それではおおよそのサービス内容が決まりましたので、次は具体的な日程について決めさせていただきたいと思いますが…」
「あ、は、はい……」
「ただ誠に申し訳ございませんが、初めてご利用の方へのサービス提供はご依頼を受けてから1週間後からとさせていただいております。また、実はシェアミルフの担当はあまり数が多くないのです。ですので島原様の希望される日にちにお応えできるか……」
「い、いえ、い、いつでも…こ、こちらはいつでも構いません、で、出来る限り早くしていただければ……」
「かしこまりました。それでは、こちらから2、3案を出させていただき…」
「た、た、ただ!」
めずらしく吉野が口を挟んだ。
吉野にしてみれば、日程などより気になることがあったからだ。
「なんでしょうか?」
「あ、あの……ご、ご担当されるのは…ど、どなたが?……」
自分の可愛い息子の……もしかすると生まれて初めての性の相手となる女性だ。
吉野にとっては、まずそれが最も気になることだった。
「はい、それもまず担当の空き具合から日程案を2、3出させていただきますので、島原様の都合の良い日の……」
「あ、あ、あの……よ、よ、吉原さんは……シェ、シェアミルフのご担当は、さ、されないんでしょう…か?」
「え?私…ですか?」
今まで大人しく高尾の話を聞き短い返事をするだけだった吉野が、珍しく強い口調で尋ねた。
思わずキョトンとした表情をした高尾だ。
「は、はい…み、短い時間でしたけど、お、お話を聞いていて…よ、吉原さんは、うちの坊やくらいの年頃の男の子のことを、よ、良くご理解されているようですし、何より……と、と、とっても信用出来る方だと…し、信頼できる方だと思いました…」
「…………」
「よ、吉原さんなら……う、うちの坊やを任せられると思いました……そ、それに、よ、吉原さんみたいなき、綺麗な方ならば、うちの坊やも喜ぶんじゃないかと……ど、どうでしょう?それとも……よ、吉原さんは、代表者様…とのことですので……ご、ご担当はされたりはしないんでしょうか?……」
しどろもどろになりながら自分の意志を告げる吉野。
確かに短い間だったが、これまでの高尾の言動を考えると高尾は十二分なほどの経験を持ち合わせていることだろう。
また息子の身になれば、その美貌も申し分ない。
だから吉野は、是非高尾に担当してもらいたいと思うようになっていたのだ。
祈るような気持ちで高尾に視線を送る吉野。
その視線に高尾は……
「…………クス……はい、私もシェアミルフを担当しておりますよ。そこまでお母様に見込まれたならば、とてもお断りすることなどできませんわね」
吉野の真剣すぎる表情が少々滑稽に思えたのか、クスリと苦笑いを零しつつ了承した高尾だった。
「ほ、ほ、ホントですか!……あ、あぁ、よ、良かった…」
「はい、大丈夫ですよ。私が責任を持ってお坊っちゃんを担当させていただきます。それでは、私のスケジュールは、と……再来週の土曜、日曜あたりはどうでしょうか?」
「は、はい、土、日ならい、いつでも、だ、大丈夫です」
こうして吉野は可愛い息子のためシェアミルフを活用することになったのだった。