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Senior Mania -foster mother-

其の玖

「…………………………」
志乃はしばらくの間、身動き一つせずただ静かに目を閉じていた。
涙で顔をクシャクシャにしながら目を瞑った志乃の表情を見つめるわたる。
わたるには、志乃のその姿は何やら大事な考え事をしているようにも自分を落ち着かせようと精神統一をしているようにも見えた。
やがて……
「…………………………ふぅ……」
小さな溜息を一つ零した志乃がゆっくりと目を開けた。
そしてジッとわたるの顔を見つめる。
「お、お、奥様?……」
志乃の様子を不安に思ったわたるが心配そうに声をかける。
すると志乃は、無表情の能面顔にフッと優しい微笑みを浮かばせた。
それは間違いなくいつものわたるの憧れの志乃奥様の自然な微笑みだった。
「そう……ですか。オナニー覚えたての童貞坊やのくせに随分と生意気な事を言うのですね、わたるちゃんは」
「……ご、ご、ごめんなさい」
自分でも大それたことを言ってしまったと思っていたわたるはつい謝罪の言葉を口にする。
しかし志乃が本当に怒っているわけではないことは、その口調の優しさからわたるにも感じ取れていた。
そして確かにそれは、志乃の照れ隠しの言葉だった。
「とはいえ……まぁ、そうですよね。行く行くはあの人の後を継いでうちの会社を背負って立たなければならない男の子が、いつまでもコソコソとオナニーばかりしているようじゃ困りますものね」
「……は、はい……ご、ごめんなさい……」
「ほら、それもわたるちゃんの悪いところですよ。素直なことはいいことですけど、社長たる者むやみやたらに謝るようなことはしてはいけません。第一、おばさん、別に怒ってはいませんよ」
「は、はい……ごめんなさい……あ……ご、ご、ごめんなさい……」
「ぷっ!」
しどろもどろなわたるの態度が、志乃の口元に笑みを浮かばせた。
志乃の笑顔はどうやらわたるの心も軽くするようだ。
今泣いたカラスがなんとやら、わたるの顔にも笑顔が戻った。
「うふふ……面白い坊やだこと、わたるちゃんは……でも、そうですねぇ。おばさんから見ればまだまだお子様のわたるちゃんですけど……女を知れば少しはしっかりとするようになるのかしら?」
「え?……」
「いつまでも間違った使い方をしているのも問題ありますものね」
「ま、間違っ……た?……」
「チンポコの使い方、ですよ。わたるちゃんだって男の子のお股にチンポコがぶら下がっているのは自分で『おいた』するためではないことは知っていたでしょう?」
「あ……は……は……ぃ…」
志乃のあけすけな言葉に、わたるの顔が赤く染まる。
そんなわたるを余裕ある大人の女の表情で優しく見つめる志乃だ。
「ふむ……わたるちゃんも、そろそろ正しいチンポコの使い方を覚えてもいい頃なのかもしれませんね」
「!!!……お、奥様……そ、そ、それって…」
志乃の言葉にわたるはドキリと心を弾ませた。
そしてキラキラと瞳を輝かせながら志乃の表情を見つめてみる。
しかし、志乃はそんな期待のこもったわたるの視線をサラリと受け流してしまう。
「とはいえ、わたるちゃんにまず必要なのは…………御仕置ですよね」
「え?……お、お、御仕置?……」
志乃の話の意図が掴めず、訝し気に志乃を見つめるわたる。
すると志乃は、いかにも意地悪そうなそれでいてまるで少女が悪戯でもする時のような茶目っ気のある微笑みを浮かべた。
ほんの少しわたるの心に不安が過ぎる。
「だってわたるちゃんは、いけないことをしていたでしょう?勿論オナニーのことではありませんよ?」
「あ……は、はぃ……ご、ごめんな……」
「はい、確かにここは謝るところですよね。でも……謝るだけで済むようなことですか?……女の部屋を覗き見することは」
「あ……うぅ……ぅぅ……で、では……ぼ、僕は……ど、どうすれば…」
「そうですねぇ……」
言いながら志乃はスッと立ち上がった。
そしてゆっくりとわたるの横に近づき、跪く。
「あふっ!……お、奥様?……」
わたるの左横に正座した志乃が、土下座するわたるの背をスッと右手で撫でたのだ。
思わずビクッと身体を震わせてしまったわたるだった。
「さ、わたるちゃん?その姿勢のままお尻だけ高く上げてくださいな。そうそう膝をついて……あ、頭や手はそのままでいいですよ。畳に付けておいてくださいね」
「あ、あ、あの……お、お、奥様……こ、これは?……」
志乃は、わたるに土下座の姿勢……膝を突かせたままお尻だけを高々と持ち上げさせた。
なんとも見っともない格好だ。
余りに恥ずかしい姿勢に、わたるの顔が一層赤くなっていく。
「お、お、奥様……こ、こんな……こんな姿勢……ぼ、僕……は、恥ずかしい、です……」
「あら?恥ずかしいですか?何を言っているんです。もっと恥ずかしいことをしていたくせに」
「あぅ……ぅぅ……」
小首を傾げて志乃の顔を見上げるわたる。
やはり志乃はあの茶目っ気のある微笑みを浮かべている。
それが逆になんだか怖くなってきたわたるだった。
「お、お、奥様……こ、こんな……こんな格好をさせて……ぼ、僕に……い、一体何を?……」
「何を?……って、子供への御仕置は昔からお尻ペンペンと決まっているでしょう?……クスッ……」
含み笑ってわたるの丸出しの尻をサワッと一撫でした志乃だ。
「はひぃっ!……そ、そ、そ、そんな!お、お奥様、か、か、勘弁してください!……ぼ、ぼ、僕は、そ、そ、そ、そこまで、お、お、幼くないですよぉ!」
丸出しのお尻を叩かれるなど、子供を通り越してまるで幼児のようではないか。
わたるは少々取り乱しながら志乃に許しを請うたが、志乃は聞く耳を持たなかった。
「何を言っているのです。言ったでしょう?おばさんから見れば、わたるちゃんなどまだまだほんの幼いお子様ですよ」
「で、で、でも……お、奥様から見ればそうかもしれませんけど、ぼ、ぼ、ぼ、僕はもう、じゅ、十分……」
「チンポコ、剥けてもいないのに?」
「っ!!……」
その一言でわたるは何も言えなくなってしまった。
わたるだって、成長すればペニスの皮が自然と後退し剥けることは知っていた。
だからオナニーを覚えた頃から何とか自分で剥こうとしたのだが、その度にペニスの先に引裂かれるような痛みが走り、結局一度も剥いたことがなかったのだ。
いつまでも剥けない包茎ペニスは、わたるのコンプレックスの一つだった。
それを志乃に指摘され、完全に戦意を喪失したわたるだった。
しょんぼりするわたるに、志乃は優しく声をかける。
「くすっ……わたるちゃん?そんなに背伸びすることはないんですよ。子供のうちは子供らしくしていればいいんです。そして徐々に徐々に……ゆっくり大人になっていけばいいんですよ」
「……は……はぃ、奥様……」
打って変わって優しい口調の志乃は、わたるにはまるで女神様のように思えた。
けれど……
「だからぁ……ふふ……大人ぶるのは、せめてチンポコの皮くらい剥けてからにしてくださいね。包・茎・坊やぁ……クスクスクス……」
「!……ひ、酷いですよぉ……奥様ぁ……ぁ、ぅぅぅ…」
女神様のように思えた志乃の顔に、魔女のような意地の悪い微笑みが浮かんだ。
居たたまれなくなったわたるは、恨み言を言いつつ志乃から逃れるかのように顔を畳に伏せる。
「ふふふ……ごめんなさいね、わたるちゃん。ちょっと意地悪が過ぎましたね。だけど……分かりましたね?いけないことをした坊やには、おばさん、ちゃ〜んと御仕置しますからね」
「ぁ……ぁぅぅぅ……」
もはやわたるには観念するしかなかった。
丸出しのお尻を高く持ち上げた恥ずかしい姿勢のまま、畳に伏せた顔を両腕で覆い隠すようにしてじっとその時を待つわたるだ。
そしていよいよ志乃の御仕置が始められた。
「まったく……女の子のような可愛らしい顔をしておばさんの……女の部屋を覗き見するなんて。なんて嫌らしい子なんでしょうね、わたるちゃんは!」
言いながら志乃は、平手でわたるの左の尻臀に打ち据えた。
(ピシィッ!!)
「ぁ痛っ!!」
小気味の良い音が志乃の部屋に鳴り響く。
それは見た目以上に痛みを伴うもので、思わず悲鳴を上げ背を仰け反らせてしまったわたるだった。
「痛いですか、わたるちゃん?当然ですよ。これは御仕置なんですからね」
「は、は、はぃ……」
「いい子だと思っていたのにまさか覗き見するような子だったなんて……その上……その上、おばさんの霰もない姿を見てチンポコ膨らませてしまうなんて。なんてエッチな子なの、わたるちゃんは!」
今度はわたるの右の尻臀目掛けて平手を打ち下ろす志乃だ。
(ピシィッッ!!)
「あぅっ!……ご、ごめんなさい、お、奥様ぁ……」
「しかも……しかも膨らませたチンポコを自分でシコシコ、シコシコしていたなんて……おばさん、ちょっとがっかりしましたよ、わたるちゃん!」
(ピシィッッッ!!)
「はぅぅっっ!ご、ごめんなさい……ゆ、許してください…お、奥様ぁ……」
「まだこれくらいじゃあ許しませんよ。助平なせんずり小僧には、もっともっと反省してもらわなくちゃなりませんからね!」
(ピシィッッッ!!)
「はひぃっっ!」
「大体、コソコソ覗き見するというのが情けないのです。わたるちゃんは将来社長になる男の子なんですよ?そんな姑息なことをして見っともないと思わないんですか!?」
(ピシィッッッッ!!)
「ひっ!ひぃっ!ご、ごめんな……」
「どうせなら、着替えを見せてくださいと堂々とおばさんに頼むくらいの器量を持ってくださいね!」
(ピシィッッッッッ!!)
「あひぃぃっっ!……え?……」
思いもよらない志乃の言葉に、思わず顔を上げたわたるだ。
わたるの顔を見れば、あたかも『頼めば見せてくれるんですか?』と書いてあるような表情だった。
「何を考えてるんですか、わたるちゃんは!ただの例え話ですよ。男ならコソコソしないで堂々としていなさいという話です。頼まれても裸など見せるわけがないでしょう?もう!この助平小僧め!」
(ピシィッッッッッッ!!)
「ひっ!ひぃぃっっっ!ご、ご、ご、ごめんなさい!ごめんなさい、奥様ぁ!」
こうして志乃はわたるの尻臀を左右交互に打ち据えていった。
そして片方10発づつ、合計20発ほどわたるの尻に平手を打ち込んだ頃だろうか、志乃は静かに御仕置の終了を告げた。
「さ、これくらいでいいかしら。どうですか、わたるちゃん。少しは反省してくれましたか?」
「……はぁはぁ……ぁぅぅ……はぁはぁ……は、はい……は、反省……しまし……た……ひっく……ご、ごめんなさい、お、奥様……ひっく……も、もう…ゆ、許して……下さいぃ……ひっくひっく……」
尻叩きの御仕置を受けて、どうやらわたるは本当に泣いてしまったようだ。
やはりまだまだ子供だと、首を竦め苦笑いを零した志乃だった。
「やれやれ……御仕置をされて泣くくらいなら最初から悪さなんかしなければいいのに。それもおばさんの着替えを覗きながらオナニーなんて……しょうのない助平小僧ですね。わたるちゃんは」
「ご……ごめんな……ひっく……さ…い……ひっく…」
「ほら、もう泣かないの。御仕置は終わりですよ、わたるちゃん……くすっ……お尻、こぉんなに真っ赤になって。お猿さんみたいですね……くすくすくす……」
含み笑って、スッとわたるの尻を撫で回す志乃。
そこは確かに痛々しいまでに赤く染まっていた。
「はぅっ!……ぅ……ぅぅぅ……」
今だジンジンと疼く尻を不意に撫で上げられ、ひりっとした痛みと擽ったさに小さな悲鳴を上げるわたる。
そんなわたるが可愛らしくてつい意地悪を言ってしまう志乃だ。
「でも……くすっ……お猿さんみたいな真っ赤なお尻はわたるちゃんにはお似合いかもしれませんね。毎日毎日シコシコシコシコせんずりばっかりしているお猿さんですものねぇ、わたるちゃんは……くすくすくす…」
「ふ、ふぐ……ひ、ひどい……ですよぉ…」
恨みがましい視線を志乃に向けるわたる。
そんな仕草も大人の志乃には可愛らしく思えてしまう。
「ふふふ……ごめんなさいね。また意地悪が過ぎました……さ、いつまでもそんな土下座みたいな姿勢をしていないで身体をおこしてください。わたるちゃん」
「……は、はぃ…」
やがて二人は再び正座の姿勢で向かい合った。
いつも通り自然の笑みを浮かべ、優しい瞳でわたるを見つめる志乃がそこにいた。
けれどもわたるはそんな志乃に視線を合わすことが出来なかった。
男として一番見られたくない姿を見られてしまった今となっては、それも仕方のないことだろう。
志乃はそんなわたるの心情など手に取るように理解していたようだ。
だから、やれやれと小さな溜息を零した後でわたるに助け舟を出してやる。
「ふぅ……大丈夫ですよ、わたるちゃん」
「ぇ?……」
「あの人……社長には今日のことは内緒にしておいてあげますからね」
「ほ、本当ですか?!」
わたるの表情がパっと明るくなる。
現金なものだと、志乃は苦笑いを零す。
「はい、本当ですよ。おばさんも今日のことは忘れてあげます。さっきの御仕置でわたるちゃんも反省したようですからね」
「は、はい。も、もう、しません。ぜ、ぜ、絶対しません」
そこで志乃は表情から笑みを消し、ジッとわたるを見据えながら静かに呟いた。
「何を?……何をしないのですか?」
「え?……えっと……そ、それは、その……も、もう、奥様の部屋を……の、覗いたり……とか……」
「覗き……だけですか?」
「え?…あ、あの……そ、それ……は、あ、あの……」
無表情の志乃の問い掛けにわたるはしどろもどろだ。
とても志乃の顔を見ていられず俯いてしますわたる。
そんなわたるの様に志乃はさも呆れたといった表情で少々大げさに溜息を吐いた。
「はぁ……やれやれ、やっぱり……わたるちゃんには少しばかり男の子らしさが足りないみたいですね」
「ぇ?……男の子……らしさ?……」
「はい。男の子らしさ、です。いくら『悪さ』を咎められたとはいえ、おばさんがちょっと真剣な顔をしただけでオドオドしてしまうなんて……少し気が小さすぎます、わたるちゃんは」
「ご、ご、ごめん……なさい……」
「ほら、そういうところもです。おばさん、別に怒っているわけじゃないのですよ。それにわたるちゃんだって今は別に悪いことをしたわけじゃないでしょう?なのにすぐそうやって謝ってばかり…」
「ご、ごめんな……ぁ……ぅ……」
志乃はそう言うが、わたるにしてみればやはり叱られているように感じてしまうようだ。
シュンと俯くわたるに、また志乃は溜息を零す。
そして暫く考えたようなそぶりを見せた後、志乃は独り言のようにポツリと呟いた。
「はぁ……仕方ないですね。やっぱりわたるちゃんには、少し教育をしてあげた方がいいのかもしれませんね……」
「え?……きょ、教……育?……」
志乃の言葉にわたるの心が騒めいた。
少し前に志乃が言った『女を知れば』という言葉が脳裏に浮かんだからだ。
思わずゴクリと唾を飲み、期待にあふれた目で志乃を見るわたる。
そんなわたるの視線を素知らぬ顔で受け流し、志乃はいよいよある提案をわたるに持ちかけた。
老人とのあの密約を果たすために。
「わ、わ、わたるちゃん?……ん……コ、コホン……」
さすがの志乃もこの時ばかりは、かなり緊張していた。
少しどもってしまった失態を軽い咳払いでごまかす志乃。
そして一つ小さな深呼吸をすると姿勢を正し、いつも浮かべているの自然な微笑みをスッと表情から消した。
貫禄のある社長夫人・志乃がそこにいた。
わたるにもその緊張感は伝わったようだ。
股間を手で隠したままではあるけれど、精一杯背筋をピンッと伸ばしその志乃に対峙する。
「ん……わたるちゃん?何度も伝えてきたことですけど……おばさんとあの人はね、わたるちゃんにこの家と社を受け継いでもらいたいと思っているのです」
「は、はい……」
「あの人……社長は、これから後継ぎとなったわたるちゃんに仕事は勿論のこと帝王学のようなものも教えていくと言っていました」
「は、はい……ぼ、ぼ、僕も、しゃ、社長から聞いています」
「そうですか……ですが、本当のことを言えばおばさんはそのことはあまり心配はしていないのです」
「え?……」
「ごめんなさいね。実はわたるちゃんのことは施設の方に色々と聞いているのです」
「……は、はい……い、いえ、そ、そ、そんな……あ、謝らないでください、奥様」
少々申し訳なさそうな顔をした志乃だったが、わたるはそんなことは元より気にしてはいない。
これから家族に迎えようとする者を事前に調べるのは当然のことだと思ったからだ。
「わたるちゃんはとても頑張り屋さんで、学校の成績もとても良いと……これからあの人に色々と学んでいくのは勿論大変なことでしょうが、わたるちゃんならばきっとそんな試練も乗り越えていくことでしょう」
「は、はい……お、奥様としゃ、社長のご期待に添うことが出来るよう、せ、せ、精一杯頑張りたいと思います」
「はい。ふふ……やっぱり良い子ですねわたるちゃんは」
たどたどしくはあったが凛としたわたるの返答に優しく微笑む志乃。
しかし本題はこれからだ。
志乃の表情が再び緊張の面持ちに変わる。
「ですが……さっきも言いましたが、おばさんはやっぱりわたるちゃんには少し男の子らしさが足りないと思うのです」
「……は、は……ぃ…」
「良い子なのは無論悪いことではありません。けれど、社長ともなればただ善人なだけでは務まらないのです。社のためならばハッタリを言うこともあるでしょう。脅し文句を言わなければならない時もあるでしょう」
「……そ、それ……は……」
大人しく優しい子として知られてきたわたるにとって、それは確かに辛いことだった。
けれど、志乃の言うことが多分……いや、間違いなく正しいだろうことはわたるにも理解できた。
「……い、いえ……は、はい……そういうことは、た、確かに苦手ですけど……そ、それが出来るようになることも、い、一人前になることだと、お、思います」
「やはり………賢い子ですね。わたるちゃんは」
「い、いえ、そん、そんなことは……で、でも……」
「でも?」
「そ、そういことが出来るようになるために……お、奥様の言う男の子らしさが必要なこともわかるんですが……そ、それは一体どうしたら?…」
「そうですね。まず、自信を持つことだと思いますよ。男の子としての自信を」
「お、男の子としての……じ、自信?……そ、それは?……」
そこで志乃はクスリと笑みを零した。
それは今までのような自然な優しい微笑みではなく、男のわたるが思わずドキリとしてしまうような妖艶な微笑だった。
「わたるちゃん?男の子……殿方に自信を与えるのは、昔から女の仕事と相場が決まっているのですよ」
「え?……お、奥……様?……」
その志乃の言葉に、わたるは全身の産毛がゾワッと逆立つような感覚を覚えた。
目の前にいるのは確かに志乃だ。
あの優しく美しい志乃に間違いはない。
けれど今の志乃は何かが違う。
強いて言うならばオーラが違うのだ。
なにやら艶めかしい、いかにも女そのものを感じさせるような怪しく妖艶なオーラが志乃の全身から立ち昇っているのだ。
志乃に御仕置されてすっかりと萎んだわたるのペニスがピクンと打ち震える。
「お、お、女の……し、仕事?……」
「はい。男の子に自信をつけさせるのは、女の仕事なのですよ。わたるちゃん」
「そ、そ、それって……」
「わたるちゃん?女が男の子に自信をつけさせるといえば、それは……」
「そ、そ、それは…………はぁ……はぁはぁ…」
はぁはぁとわたるの息が段々と荒くなる。
まるで発情した子犬のようなわたるの姿に、苦笑いを浮かべる志乃。
興奮するわたるを見ているうちに、志乃の緊張はすっかり解れたようだ。
そして志乃は、まるで幼いわたるを挑発するかのように娼婦のような艶やかな微笑みを浮かべながら静かに告げた。
「それは、女を教えるということです」
「!!!」
(お、お、奥様……い、今、なんて?……お、お、女を……お、教えるって?!)
少し前、そうだったらいいのにと、このむっつり助平な少年は確かに思っていた。
志乃に 『 おばさんとセックスでもしたいんですか? 』 と聞かれた時、もしかしたらと期待してしまったのも事実だ。
けれど例の御仕置の尻叩きで、そんなことはすっかり忘れてしまっていた。
そこに志乃のこの発言だ。
しかも今の志乃は、まるで大人の女の色気を全身に纏っているかのような雰囲気を漂わせている。
喉がヒリヒリと乾く。
心臓の鼓動がドキドキと高鳴っていく。
「ねぇ、わたるちゃん?おばさんもあの人も、わたるちゃんには早く一人前になってもらいたいと思っているんですよ」
「は、は、は……ぃ…」
「わたるちゃんを一人前にするために、あの人はわたるちゃんに仕事を教える。だからおばさんは、わたるちゃんに……」
「……はぁ……はぁはぁ…………ぉ、お、奥様は……ぼ、僕……に?……」
「…………女を教えてあげます」
「!!!!!!!!」
静かな夜の和室に、またわたるの唾を飲む音がゴクリと鳴り響いた。