home>story>

Senior Mania -landlady-

其の弐

「うわぁ〜ホントに凄いや」
女将の言葉どおり、その宿の風呂は大した物だった。浴槽はもちろんのこと、柱から床から、目に見えるもの全てが檜で統一された一室。辺りから、プンと檜の良い香りが漂ってくる。
(凄い。まるで江戸時代にタイムスリップしたいみたい…初めてだよ、こんなお風呂。それに浴槽もスッゴク広い…うん、気に入った。温泉は大当たりだ)
急いで着ている物を脱衣所の籠の中に脱ぎ捨てると、わたるは、勢い良く湯船の中に飛び込んでいった。
(ザッパ〜ン!)
「うはぁ…き、気持ちいい!」
自分以外誰もいないことをいいことに、バシャバシャと湯船の中ではしゃぐわたる。そして、ひとしきりはしゃいだ後、広い浴槽の中央でのびのびと身体を伸ばしてみる。
(あぁ…檜のいい香り…温泉の硫黄臭い匂いも全然気になら無いや…湯加減も丁度良くて…こんなお風呂が貸しきり状態だなんて…う〜ん、なんて贅沢なんだ…)
この旅が始まってから気に食わないことばかりで少々苛立っていたが、木造の大風呂にすっかり気を良くしたわたるだった。
「ふぅ〜、最高。でも、ホント凄いよな…ぜ〜んぶ檜なんだもん…ん?あれは?…」
ふと辺りを見回したわたるは、自分が入ってきた入口以外に、もう1つ別の入口があることに気がついた。
(あ、そうか…あっちの入口から女の人が入ってくるんだな…脱衣所は『男』『女』って別れてたもんな…)
忘れかけていた混浴の無念さが、童貞少年の心に蘇る。
(あ〜あ、あそこから、綺麗なお姉さん達が入ってくればなぁ…勿論、丸裸で…タオルなんか持ってないんだ…オ、オッパイなんか隠しもしないで…そ、その上、も、もしかして、ア、ア、アソコも……って、何考えてんだ、僕…)
ひとり妄想を膨らませていた童貞少年は、自分で自分の頭をコツンと小突いた。
(まったく、我ながら情けないな…いい加減、諦めろっていうんだ。お姉さんどころか、僕以外、他にお客さんなんていないんだから…)
わたるが自分の諦めの悪さを反省している、丁度その時だった。
「早くしろよ…ヒック…先に入っちまうぜ」
「ウィ〜…ちょ、ちょっと待ってくれよ〜」
『男』の脱衣所のほうから、人声が聞こえてきたのだ。
(な、なんだ?…だ、誰?…)
思わず湯船の中で身構え、じっと入口を見つめるるわたる。やがて、入口が勢い良く開かれた。
(ガラガラガラッ!)
「ウィ〜…お〜相変わらず立派な風呂じゃねぇか」
「ああ、この辺の宿じゃ…ヒック…やっぱりここが一番だな」
「けっ、おめえが気に入ってるのは、ここの女将じゃねぇのかい?」
「へん、そう言うお前は、混浴が気に入ってるんだっけな…ヒック…このスケベ野郎が」
入口から現れたのは、年の頃50前後と思われるオヤジ2人だった。ひとりは異様に腹の出たデブ男。そしてもうひとりは髪の毛一本も無いハゲオヤジ。会話からしても解るように、どちらもかなりの酒を飲んでいるようだ。
(な、なんで?…こ、この人たち…客か?…)
デブが湯船に浸かっているわたるに気がついた。
「ん?…お〜なんでぇ…ヒック…先客がいるじゃねえか」
「な、なに?…ウィ〜…お、女か?」
「ば〜か。お前はそのことしか頭にねえのか…ヒック…よく見ろや、坊主がひとり風呂に入ってんだろ」
「ん?…あぁ、なんでぇ…ウィ〜…ガキじゃねえか」
酔っ払い達は薄ら笑いながら、ジロジロとわたるを見る。わたるにとって、とても気分のいいことではない。
(な、なんだ、こいつら…まだ明るいのに、こんなに酔っ払って…あ〜あ、折角の良い気分が台無しじゃないか…チェッ…残念だけど、出直すとするか)
風呂は24時間いつでも入っていいことになっている。何も、こんな失礼な奴らとわざわざ一緒に入ることは無い。わたるは、一端、風呂から出ることにした。ところが…。
「お〜坊主。この宿に泊まってんのかい?」
迷惑なことに、デブの方がわたるに話しかけてきたのだ。
「え?…あ、は、はい…そうです…けど…」
「へ〜珍しいな…ヒック…客なんてよ」
「まったくだ…ウィ〜…この時期はいつも閑古鳥が鳴いてるのにな」
悪いことに、ハゲの方まで話しの仲間に入ってくる。
「そ、それじゃあ、僕は…」
「お、なんでぇ、坊主…ウィ〜…もう出ちまうのかい?」
「なんだよ…ヒック…まだいいじゃねぇか、坊主。折角何かの縁で、こうして一緒になったんだからよ…ヒック…」
「(何の縁だよ…)い、いえ、僕はもう…」
「いいじゃねぇかよ。な?」
もともと性格が大人しいわたるは、こう言う時に、強く否と言えないのだ。結局、酔っ払い2人の話し相手になってしまったわたるだった。

(な、なんで、僕がこんなめに…)
肩を並べ、銭湯に浸るわたる+オヤジ2人。わたるは酔っ払い2人に挟まれて、ジッと苦痛の時間に耐えていた。
「へ〜そうかい…ヒック…東京の方から来たのかい」
「ウィ〜…ヘ、どうりでお坊ちゃまって顔してるぜ」
「そ、そんなこと…ないです」
「ヒック…ヘヘ…坊主、気悪くすんなよ。こいつはさ、生まれも育ちも田舎もんでよ…坊主にやきもち焼いてるだけだからよ」
「ば、ばっか野郎…ウィ〜…だ、誰がやきもちなんか…」
「ヘヘ…ハゲが真っ赤になって怒ってら…ヒック…まるでたこ坊主だな…ガハハ…」
「ケッ、ほっとけ。ところでよ、坊主…ウィ〜…坊主の母ちゃん、風呂にこねぇのか?」
「え?…」
わたるには、酔っ払いの言っている意味がわからなかった。
「まだ言ってんのか、このハゲ…ヒック…へへ…どうしようもねぇ、スケベ野郎だぜ」
「うるせ〜デブ。な、坊主。いいじゃねぇか。母ちゃん呼んでこいよ」
「お前、いい加減にしとけよ…ヒック…坊主が可哀想じゃねぇか」
(あ…混浴…か?)
どうやら、この2人はわたるが親と来たと思いこんでいるようだ。混浴にしか興味の無いハゲオヤジは、わたるの母親と一緒に銭湯に浸かりたいらしい。わたるは、スケベな酔っ払いに軽蔑の視線を送った。自分の方こそ混浴を楽しみしていたくせに、どうやらそんなことはすっかり棚の上のようだ。
(まったく、スケベオヤジめ…残念だけど、僕は一人出来たんだ…もっとも、ママがいたって、呼んでくるわけ無いだろ…)
わたるは、酔っ払い達に自分が一人で泊まりにきた旨を伝えた。ところが、彼らは、わたるの言うことなど全然信じようとはしなかった。
「あの…ぼ、僕、一人で来たんです…」
「あ〜ん?…ウィ〜…嘘つくなよ坊主」
「い、いえ、本当に、僕一人で…」
「ヘヘヘ…ヒック…坊主よぉ、坊主みたいなのが、ひとりでこんなところに来れるわけねぇじゃねぇか」
「な、何故?」
「だってよぉ、坊主。坊主、まだ小学生だろ?小学生がこんなとこまで…ヒック…一人で来れるわけねぇだろ?」
「!」
「そうそう。だから、な?坊主。母ちゃん呼んでこいよ。坊主、いつも母ちゃんと風呂に入ってんだろ?」
「な、なにぃ!」
小学生と言われ、そしていまだ母親と風呂を共にしていると言われ、さすがにわたるも頭にきた。
「ぼ、ぼ、僕は、ひ、一人で来たんだ!僕は、中学…い、いや、今年の四月からは、高校生だよ!」
キッと2人を睨みつけ、わたるは、大きな怒鳴り声をあげた。けれど…。
「へ?…ブ…ブワッハッハッハッ…ヒック…こ、こうこうせぇ〜?」
「はぁ?…ゲ、ゲハハハ…ウィ〜…おもしれぇ冗談じゃねぇか、坊主。ゲハハ…」
2人の酔っ払いは、わたるの怒声よりもさらに大きな声で笑い始めたのだ。
「ヒック…高校生とは、でかく出たなぁ、坊主。ガハハハ…」
「ウィ〜…中学生って言われても信じられんぇのによ。ゲハハハ…」
「な、な、な…」
わたるの言うことを頭から信用しない2人の酔っ払い。酔っ払いに笑われ、馬鹿にされ、わたるは、とてもいたたまれない気持ちになった。
「も、も、もう、いいよ!ぼ、僕、もう出ます」
わたるは、その場から逃げ出すため、股間を両手で隠しながら、急いで浴槽からあがろうとした。しかし、もっと最悪な事態が、わたるの身に降りかかることになる。
「あれぇ?なんだよ、坊主。まだいいじゃねぇか」
わたるをひき止めようと、デブの酔っ払いがわたるの右足を掴んだのだ。
「あ、な、何?!……う、うわぁ!」
不意に足を掴まれて、バランスを崩してしまうわたる。身体をひねりなんとか体制を整えようとしたが、結局尻餅をつくように、わたるは檜の床に倒れこんだ。
(ビッタ〜ン!!)
「い、痛ったぁ〜」
したたかに腰を床に打ち付け、そのまま床に寝そべってしまったわたるだ。
「お〜ガッハッハッハ…悪い、悪い…ヒック…坊主、大丈夫かぁ?」
「ゲハハ…坊主ぅ、しっかりしろよぉ…ウィ〜…ゲハハハハ」
わたるの無様な様子を笑い転げている酔っ払い達。悪いとは言いつつ、少しも悪びれた様子など感じられない。
「だ、大丈夫なわけ…あ痛っ!」
わたるの腰に激痛が走る。思ったより強く腰を打ちつけたようだ。立つどころか、寝そべったまま体を起こすことも出来ない。
「あ…あいた…た…」
「おい、おい…ヒック…坊主、そんなところで寝ちゃ駄目じゃねぇか」
「ウィ〜、しょうがねぇ。ちょっと、まってろ坊主…今、起しに行ってやっから」
中々身体を起さないわたるに、さすがの酔っ払いも少しは罪悪感を感じたらしい。2人は湯船から這い出すと、わたるの腕を一本ずつ掴み、わたるを引き起こした。
「ヒック…そぉれ!」
「ほれ、坊主。大丈夫か?」
「あた…あたたた…」
座ったままではあるが、酔っ払い2人の肩を借り、なんとかわたるは体を起すことが出来た。その時だ。2人の酔っ払いが、再び大笑いをし始めたのは。
「ヒック…ん?なんだこりゃ?…ガハッ!ガッ〜ハッハッハッ…おい、ちょっとコレ見てみろよ」
「あ〜ん?何を…ウィ〜…何を見ろって…うん?…ゲハッ!ゲハハハハ…」
「え?…な、何?…」
何が起きたのか理解できずに、わたるは戸惑った。自分の両脇にいる酔っ払い2人の顔を交互に見てみる。すると、彼らの視線が、ある一点に集中していることがわかった。
「あ!」
しかし、時、既に遅し。
「ガッハッハ…おい、坊主。お前、やっぱり小学生だろ」
「ウィ〜ああ、そうに違ぇねぇ。ゲハハ…だってよぉ…」
「や、やめろぉ!」
彼らが何を言おうとしているか、わたるには痛いほどわかった。それは、以前より自分でも気にしていたことなのだ。わたるにとって、最も大きなコンプレックスの1つなのだ。しかし、2人の酔っ払いは、無慈悲にも…。
「だってよぉ、坊主。おめえのチンポ、また随分と小せえチンポじゃねぇか」
「ガッハッハ…小せえだけじゃねぇよ。まだ毛も生えてねぇぜ。ガッハッハ…」
わたるのコンプレックス。それは、高校生にもなろうとしているにも関わらず、まだ満足に陰毛が生え揃っていないことだ。
「や、止めてよぉ…み、見ないでよぉ…」
こんな恥ずかしい思いは、生まれて初めてだった。いかに同姓のオヤジ達とはいえ、こんな近くで繁々と自分の性器を他人に見られたことなど、今までに一度も無い。恥ずかしさに、わたるの顔は真っ赤に染まっていった。
「ガハハ…こんな小せえのぶら下げてちゃあ、もう高校生だぁ、中学生だぁ、言えねぇよな。なぁ?坊主」
「ウィ〜…そりゃあそうだ。こ〜んな、ツルツルのチンポじゃあな。ゲハハハ…」
酔っ払い達は、さも可笑しそうに笑いながら、わたるの股間を覗き込む。わたるは、一刻も早く自分のペニスを手で隠したいのだが、両腕を2人に押さえられているため、それが出来ないのだ。ベッタリと床に尻をつけ、足をだらしなく伸ばし座っているわたる。その足と足の間には、まだまだ幼いわたるのペニスが、ポロリと頼りなげにぶら下がっている。
「ち、違うよぉ…ぼ、僕は、本当に…」
わたるは、半泣き状態だ。けれど、2人の酔っ払いは更に追い討ちをかけてくる。
「あ〜ん?…ウィ〜…諦めが悪い坊主だなぁ…あのなぁ、坊主。男も女も中学生にもなれば、しっかりと下の毛が生えてるもんなんだぜ」
「それに男だったらよぉ…ヒック…そろそろチンポの皮がズルッと剥けてくる頃だぜ。なのによ、坊主のチンポは、ぜ〜んぜん剥けてねぇじゃねか」
「全くだ…ウィ〜…まるで赤ん坊のチンポだよな…イモムシみてえだ…ゲハハハ…」
「おい、そりゃあ可哀想ってもんだぜ…ヒック…せめて、ミノムシにしといてやれよ」
「ゲハハ…そりゃあいい。スッポリと殻に入った、ミノムシチンポだ」
「ガッ〜ハッハッハッ…」
酔っ払いの言葉が、わたるの心にグサリと突き刺さる。毛が生えてないこともそうだが、ペニスをスッポリと覆った皮のことも、わたるのコンプレックスの一つだったからだ。今まで何回か自分で剥こうとしたこともある。けれど、引き裂かれるよな痛みをペニスの先に感じて、その度に断念してきたのだ。
「で、でも…でも…」
「でも、でもって、坊主…ヒック…往生際が悪いなぁ。子供でも男だろ。ミノムシぶら下げてんだろ。だったら、男らしくしろい」
この時、ハゲのほうが、とんでもないことを言ってきた。
「ウィ〜…しょうがねぇから、この坊主に、大人のチンポってもんがどんなもんか見せてやるか」
「え?」
「おぉ、そりゃあいい。どれ、坊主…ちょっと見てみろよ」
「ウィ〜…よいしょっと…」
「ちょ、ちょ、ちょっと…や、止め…」
冗談じゃない。そんなもの見たいわけがない。しかしわたるの制止も聞かず、酔っ払い2人は立ちあがると、誇らしげに己の股間を晒しだしたのだ。
「ほれ、坊主…ヒック…これが大人のチンポってもんだぜ」
「な?…ウィ〜…坊主のミノムシとは、全然違うだろう?…ゲハハハハ…」
わたるは決して男には興味は無い。ましてや他人の男性器など見たいとも思っていない。ところがわたるは、目に飛び込んできた酔っ払い2人のペニスから目を離せなくなってしまった。
(な、なんだ…コ、コレ…)
形状に多少の違いこそあれ、わたるの目には、2本とも巨大なモノに見えた。どちらも、ミノムシと呼ばれたわたるのペニスの3〜4倍はありそうなシロモノだ。大きさだけではない。それらは、カリの部分が当然のように剥き出しになっており、しかも先端は赤黒い光沢を放っている。
「どうでい、坊主。わかったかい?…ヒック…坊主も高校生に見られたかったら、この半分ぐらいには成長しねぇとな…ガハハハ…」
「ウィ〜…母ちゃんに教わりな。『どうしたら、ボクのミノムシ、成長するの?』ってよ。ゲハハ…」
(コ、コレが…大人の…ウ、ウップ…)
酔っ払いのグロテスクなモノを見ているうちに、わたるは、何やら気分が悪くなってきた。いや、もしかしたら、自分のペニスにはない強暴さを備えたそれらを恐ろしく感じたのかもしれない。
「う、うわぁ!」
恐ろしいのか、悔しいのか、それとも悲しいのか。そんな複雑な心境に陥ったわたるは、気がつくとその場から逃げ出していた。股間を隠そうともせず、腰が痛いことも忘れて。
「ガッハハハハハハ…」
「ゲハッ、ゲハハハ…」
趣のある檜風呂には全くふさわしくない下品な笑い声。酔っ払い達の勝ち誇ったようなそれが、風呂場一杯に鳴り響いた。

「あら、坊や…お風呂だったのかい。どうだい?うちのお風呂、良かっただろう」
部屋に逃げ帰る途中、わたるは、廊下で女将とすれ違った。
「え?…は、はい…お、お、お風呂は…よ、良かった…で、です…」
「ん?どうした、坊や?何、慌ててんだい?」
「べ、べ、べ…べ、別に…」
「ほら、慌ててるじゃないか。なんだよ、おかしな子だね。あらあら、浴衣…ビショ濡れじゃないか。駄目だろ、ちゃんと拭かないと風邪ひくよ」
「ご、ご、ごめんなさい」
「ほんと手の掛かる子だね…ほら、早く部屋に戻って、しっかり拭いといで」
女将の態度は、先刻通り変わらない。相変わらず、わたるを子供扱いだ。けれど、今のわたるには女将の言葉など気にする余裕は無かった。お風呂での、あの酔っ払い達の一件が、あまりにも衝撃的かつ屈辱的だったからだ。
「う、うん…そ、そうします…あ、あの…女将さん?」
「なんだい?」
「あ、あの…い、今、お風呂に…2人の男の人が…」
「ん?…ああ、デブ・ハゲコンビのこと?そうか、ごめんね、坊や。お風呂、貸しきりにはならなかったね」
「い、いえ、別に…そ、それより、デブ・ハゲコンビって?…」
「あいつらは、うちがひいきにしてやってる近くの肉屋と魚屋だよ。うちのお風呂が好きでね。たまに入りに来るんだ」
「そ、そうなんだ…」
近所の肉屋と魚屋。客でもない奴らにあんなに侮辱されたのかと思うと、一層わたるの心に怒りが込み上げてくる。
「2人とも面白いオジサンだろ?」
「と、とんでもない!最悪だよ!」
「え?」
わたるの言葉に、目を丸くする女将。そんな女将に背を向け、さっさと自分の部屋に戻ってしまったわたるだった。