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Scanty Master -at the bathhouse-

其の弐

「亀の湯」の脱衣所に入ると、確かに他の人は誰もいなかった。もちろん、風呂場にも。銭湯を独り占めにするなんて、こんなこと初めてだ。とっても気持ちがいい。僕はちょっとした優越感に浸っていた。みさこさんが後片付けをしてる為、女風呂の方から「ドン」「ガラン」と少し騒がしい音が聞こえてくるのがたまに傷だったけど。
(さてと、早くお風呂に入らなくちゃ…。あんまり時間は無いんだし…)
僕は着ているものを脱ぎ始めた。ジャケットを脱ぎ、薄手のセーターを脱ぎ、アンダーシャツを脱ぐ。上半身は裸になった。あとは、ズボンとパンツを脱ぐだけだ。ところが、僕がズボンのジッパーを下ろし始めた丁度その時、「バタン」と大きな音を立てて、女湯と男湯を隔てている壁のドア(普段は「亀の湯」の人達しか通り抜けできない)が急に開けられたんだ。脱衣所に入ってきたのは、もちろんみさこだった。
「み、みさこさん!」
僕は下ろし始めたジッパーを急いで引き上げながら、つい大声を出してしまったんだ。そりゃあ、みさこさんが入ってくるのは別に不思議なことじゃないけど、脱衣所で裸になろうとしてる時に女の人が入ってくるなんてやっぱり驚いちゃうよ。それに恥かしいし…。でもみさこさんは、僕がこんなにあたふたしているにも関わらず、平然と当たり前のように話しかけてくるんだ。
「何よ?どうしたの、わたるちゃん?大きな声だして」
「い、いえ…な、何でも…。あ、あの…み、みさこさん…」
「ん?どうしたの?」
「あ、あの…。も、もう女湯の方は…」
「女湯?ああ、片付けのこと?もう終わったわよ。朝風呂ってね、女はあんまり入りにこないのよ。だから、後片付けもすぐ終わるの」
「あっ…そ、そうなん…です…か…」
「何よ、変な子ね。それに、どうしたの?まだ服も脱いでないじゃない?早く入ってくれないと困るんだけどな」
「は、は…い…。ご、ごめん…な…さい…」
みさこさんは、僕の側で床に置いてあるたくさんの籠を片付け始めた。僕、困ってしまった。なんか、恥かしいだもの。とっても。みさこさんがいる所で、ズボンを脱がなきゃいけないなんて。もちろん物心ついてからは、女の人に裸の下半身を見られた経験なんて一度もない。でも営業時間後にも関らず、お風呂に入らせてくれる折角のみさこさんの好意を無駄にする訳にはいかないし…。だから僕は、みさこさんが僕に背を向けていることをいいことに、恐る恐る、出来るだけ体を小さくしてズボンを脱ぎ始めたんだ。心臓は爆発するんじゃないかって思えるくらいドキドキしてた。みさこさんは片付けをしながらも、そんな僕に話しかけてくる。全然僕の気持ちをわかっていないんだ。僕は、早く片付け終わって脱衣所から出ていってもらいたいんだけど…。
「わたるちゃん。どう?みよは元気?」
「は、はい。マ…いえ、は、母は元気です…」
みよはママの愛称で、本当の名前はみよこだ。
「クスッ…いいのよ、無理しないで。わたるちゃんが、みよをママって呼んでるのは知ってるわよ。フフフ…」
「ど、どうして?…」
「みよが言ってるもの。わたるが、ママ、ママって甘えて困るって…ウフフ…」
「チェッ、ママのやつ」
「まぁ、いいじゃないの。中学1年なんてまだ、子供なんだし…。まだまだママに甘えたい盛りなのよね。わたるちゃん」
みさこさんは、相変わらず僕を子供扱いしてる。でも今の僕には、そのことに腹を立てる余裕が無かった。いつみさこさんが僕の方を振り向くか、気になって仕方なかったんだ。だって僕はもう、ズボンを脱いでパンツ一枚になってたから。みさこさんが、脱衣所から出ていく気配は全然感じられなかった。未だに僕に背を向けて籠を片付けている。みさこさんの、ミニに包まれた肉付きの良いお尻が、悩ましく揺れ、僕の視線を引きつけようとする。屈み込んでいるため、太腿のかなり上の方までが露わになっているんだ。でも残念ながら、今はゆっくり眺めている場合じゃない。
「甘えたいだなんて…」
「フフフ…いいじゃない、甘えたって。それに、みよも嬉しいのよ。わたるちゃんにママ、ママって甘えられるのはね」
「そ、そんな…。僕はもうママに甘えてなんか無い…です…」
「さぁどうだか?…フフ…。でも…そうねぇ…よく見ると、身体は少し大きくなってきたかなぁ?…。身長はどれくらいあるの?わたるちゃん」
「えっ?あ、あ!。み、みさこさん!」
僕はみさこさんを見て驚き、つい大声を出しちゃたんだ。だって、みさこさんたら、いつのまにか僕の方をじっと見ているんだもの。この時僕は、みさこさんに見られないように体を小さくして屈み込みながらパンツを脱ごうとしていた。みさこさん、その僕を腕組みしながら見下ろしてたんだ。僕はパンツに手をかけたままの、とってもかっこ悪い姿勢のまま身動きが取れなくなってしまった。みさこさんが、真直ぐ僕を見据えてるんだ。恥かしくて脱ぐことなんて出来ないよ。パンツ姿を見られていることすら、恥かしくて恥かしくて仕方がないのに…。
「ど、どうしたの?急に、大きな声だして」
「い、いえ…な、な、何でも無い…です…そ、その…152…です…」
やっとのことで僕はそれだけ言った。もう、消え入るぐらいの小さな声で。心臓はドックンドックンと高鳴ってる。あまりの羞恥で顔どころか身体全身が紅く染まリだす。次にどう行動すればいいのか、僕は全く解らなくなっていたんだ。そんな僕にはお構いなしに、みさこさんは、僕を見下ろしながら話しかけてくる。
「そう、そうなの。じゃあまだ私より16センチも小っちゃいんだね。フフフ…。まだまだ、おちびさんだ」
「そ、そんなこと…。そのうち…僕だって…」
「ん?そのうち?そのうち何なの?おちびさん」
「ぼ、僕だって…、お、大きくなる…よ…」
「あら…怒ったの?ごめんごめん。そうよねぇ、そのうちもっと大きくなるわよねぇ。今はおちびさんでも…フフフ…」
「そ、そうさ。すぐ大きくなって、みさこさんなんか追い越しちゃうよ」
「あら、生意気な口きいて。意地っ張りなお子様だこと」
「ち、違うよ!僕は、お子様じゃないよ!」
みさこさん、まだ僕を子供扱いしてるんだ。ストレートにお子様って言われて、僕は、今まで恥かしがっていたこともすっかり忘れて、また頭にきてしまった。そして、みさこさんをキッと睨んでやったんだ。パンツを脱ぎかけたままの格好だったから、全然スゴミがなかったけど…。とにかく僕は何か言い返そうとみさこさんの顔を見上げたんだ。そしたらその時、みさこさんの口から、僕の頭に上った血が一瞬にして引いてしまうような言葉が発せられた。
「フフ、恐い顔しちゃって…。ねぇ、ところで、わたるちゃん?…」
「な、なに?…」
「いつまでそんな格好してるの?早く下ろさなきゃ…パンツ。お風呂入れないわよ」
「う…あ…」
僕は言葉を失った。一番言われたくなかったことを、言われてしまったんだ。最悪だ。思い出したように恥かしさが込み上げてくるし、それに、上手く言えないけど、何か恐怖のようなものも感じていた。膝がガクガクと震えて、パンツを掴んでいる手に、じっとりと汗が滲んでくる。
「ぼ…ぼ…く…」
「わたるちゃん。入りにきたのよね、お風呂。パンツ履いてちゃ入れないわよ」
「え?…う…うん…」
「何よ?あら?…どうしたの?震えてるじゃない?」
「…」
「何黙ってるのよ?変な子ね。怒ったり、大人しくなったり、おかしな坊や。ほら、早くなさい。言ったでしょう?あんまり時間は上げられないって。ね、わたるちゃん。それに、そんな格好のままでいたら、また熱がでてきちゃうわよ」
諭すような目で僕の顔を見つめながら、みさこさん、そう言うんだ。僕はみさこさんに、脱衣所から出ていって欲しいって言いたかったんだけど、それはとても出来なかった。だって、目の前で男の僕がこれから裸になるっていうのに、みさこさんは全然気にしていないんだもの。だから、僕だけ変に気を回してるみたいに思われるのは、なんか嫌だったんだ。僕の精一杯のやせ我慢だ。
「あ…あ…の…」
「あの、じゃないでしょ、わたるちゃん。私の言ってること、わかるでしょ?」
「で、でも…」
「でも、何よ?」
「は、恥かしい…よ…」
「恥かしい?何が?」
「…裸に…なるの…」
「ん?…なんで?」
「み、みさこさん…こ、ここにいる…のに…」
「はあ?何言ってるのよ、私は「亀の湯」の人間よ。ここにいるのは、当たり前じゃないの。おかしなこと言うわね」
みさこさんは全然わかってくれない。きっとみさこさんの目には、僕なんかただの子供としか映ってないんだ。僕は決心して、みさこさんに僕の本当の気持ちを言うことにした。とても声にならないような、小さな声しか出せなかったけど…。
「…あ、あの…。そうじゃ…なくて…」
「そうじゃなくて、どうなの?」
「み、みさこさんに見られること…ぼ、僕の裸…。みさこさんに裸を見られることが、は、恥かしい…よ…」
「裸?…アハッ、あぁ、そういうことなの…クスッ…クスクス…。何を言い出すのかと思ったら…フフフ…やぁねぇ…クスクス…」
みさこさん、急に笑い出した。心なしか僕を見下すような目つきをしながら。
「クスクス…。わたるちゃん、私に裸を見られることが恥かしいんだ。へぇ〜、一人前にねぇ…。クスッ…生意気言って。ホ〜ント、おませなんだから…。でもね、わたるちゃん。今更そんなこと言っても遅いんだけどなぁ」
「ど、どういうこと?…」
「わたるちゃん、裸を見られるのが恥かしいって言ったよね。それって…フフ…正確に  言うと、ちんちんを見られるのが恥かしいってことでしょ?そうよね。クスッ…」
僕、面食らっちゃった。みさこさん、ちんちんなんて言うんだもの。しかも、平然と。なんだか、言われた僕の方がドキドキしちゃっている。
「え?…う…うん…。そ、そう…で…す…」
「私ね、もう何度も見てるんだなぁ…。わたるちゃんの、ち・ん・ち・ん」
「え!」
「フフ…私ね、わたるちゃんのオシメ何度も取替えたことがあるんだ。みよに頼まれてね。だから、ちんちんなんか何度も見てるのよ。わたるちゃんの、可愛らしい小さな小さなちんちんをね」
「そ、そんなの、こっ、子供の時じゃないか!」
「今だって、子供じゃない」
「ち、違…」
「子供よ。充分にね。でも、いいわよ別に。私も忙しいし。そんなに恥かしいんなら、このままお風呂に入らずに帰っても。そうしたい?わたるちゃん」
「い、いえ…そういうわけじゃ…」
「じゃあ、早くパンツ下ろして、お風呂にお入りなさい。大体、私はいつも番台に座ってるのよ。大人のちんちんだって一杯見てるんだから、子供のわたるちゃんが気にすることないの。それにこれ以上、グズグズするようなら、私にも考えがあるわよ」
「え?」
「みよに話しちゃうわよ。ウフフ…わたるちゃんが女のパンティにとっても興味があるって言ってたこと。それに…フフ…私の…私の黒いパンティをじぃっと盗み見てたってことも、ついでに話しちゃおうかなぁ?。フフ…どうする?」
「そ、それは…み、みさこさん…」
「嫌なの?だったら言うことを聞きなさい。私だって忙しいんだから」
「は、は…い…」
「わかったら、ほら。早くそれを下ろしなさい」
今まで僕の顔に向けられていたみさこさんの視線が、ゆっくりとゆっくり下に移動していった。みさこさんの舐めるような視線が僕の胸、お腹を通り過ぎる。そして、ある一点でその動きが止ったんだ。間違いない。みさこさんの視線は僕のパンツに向けられていた。みさこさんは、丁度僕の真正面に立っている。だから、当然みさこさんの視線は僕の股間を…おちんちんでもっこリとしたパンツの前の辺りを、捉えているに違いない。
(うあ…ぼ、僕の恥かしいところ…み、みさこさんに…見られてる…)
この時、僕の身体に異変が起きた。これホントに恥かしいから、言いたくないんだけど…僕、勃起してきちゃったんだ。みさこさんに、僕のおちんちんの辺りを見られてるって思ったら、何故か興奮してきちゃって、どうしてなのかわからないんだけど、おちんちんがだんだん膨らんできちゃたんだ。
(な、なんで?や、やば…)
僕、この時、本当に困った。パンツ姿どころか、勃起してるところ見られるなんて、恥かしいなんてもんじゃない。
「こら、まだグズグズしてる。早くなさい。それとも、いつもママにパンツ脱がしてもらってるの?わたるちゃん。だから自分では脱げないのかな?ねぇ、私が変わりに、坊やのパンツ下ろしてあげようか?…フフフ…」
含み笑いをしながら、みさこさんは僕をからかう。その間にも僕のおちんちんは、どんどん膨らんでくる。僕は、途方に暮れてしまった。そして結局、情けないことに、とうとうみさこさんに、僕が勃起してることがばれちゃったんだ。パンツ一枚の姿で、おちんちんを勃起させてれば、ばれるのは当たり前なんだけど…。
「ん?わたるちゃん…もしかして…」
「…」
僕、涙が出るぐらい恥かしかった。全身が恥かしさでワナワナ震えてた。もう、みさこさんの顔なんて見ていられなくて、僕は下を向いてしまった。その僕に向かってみさこさんは、ゆっくりとゆっくりと近づいてくる。まるで、獲物を捕らえようとする女豹の様だ。そして、俯いた僕の視界に、みさこさんの、あのミニから伸びる悩ましい生脚がフェードインしてきたと思った瞬間…。
「ほぉら、やっぱり。キャハッ!キャハハハハ…まあ、わたるちゃんたらいやらしい。  こんな大事なもの、おっ立てて…。クスッ…クスクスクス…」
みさこさん、甲高い笑い声を上げながらそう言うと、パンツの上から、僕のおちんちんを右手でポンって軽く叩いたんだ。
「あん…」
思わず声がでる。だって、パンツの上からにしろ、ほんのちょっとだけだったにしろ、おちんちんを他人に触られたことなんて、初めてだったんだもの。感じちゃうのは当たり前だよ。みさこさんは、さも可笑しそうに笑っている。
「なるほどねぇ、これがパンツを下ろせない理由だったんだ。クスクス…。あらあら、こんなにテント張っちゃって。フフフ…これじゃあパンツ下ろし難いはずよねぇ…。でも、なんで?…なんで、ちんちんおっ立ててるの?わたるちゃん。ねぇ、どうしてなの?あっ、そうか。フフ…わかった。さては、わたるちゃん…。また、私のを思い出してたんじゃない?…私の…パンティ…。そうでしょ?私の黒いパンティを思い出しちゃって、ちんちんを立ててるのね。フフ…ホントにエッチな坊やなんだから…。困った子だこと…。わたるちゃんは…」
「そ、そんなこと…」
みさこさんは、勝手に決めつけて納得してる。でも、僕にしたって何故おちんちんが勃起しちゃったのか、よくわからなかったから、何も言い返すことが出来なかった。
「しょうがない子ね。まぁいいわ。ほらそっち向きなさい」
「え?あ、あの」
「いいから、後ろ向いて。ほら、早く」
「え?え!あ、ああ!」
みさこさん、僕の肩を掴んで後ろを向かせると、おもむろに僕のパンツを一気に足元まで引き下ろしたんだ。勃起したおちんちんが、勢いよく跳ね上がり、パチンと下腹を打ちつける。僕は、びっくりして、股間を両手で抑えてその場に座り込んでしまった。
「な、なにするの!」
「どうしたのぉ?何、座り込んでるのよ?わたるちゃん」
「だ、だ、だって、み、みさこさんが…」
「フフフ…何よ、わたるちゃんがグズグズしてるから、パンツ下ろしてあげたんじゃない。何かがパンツの中で大きくなっちゃって、とっても脱ぎ難そうだったでしょう?だから、手伝ってあげたのよ。クスッ…それに少しは気を使ってあげたんだけどな。エッチ坊やのちんちんが、私には見えないように、ちゃ〜んと後ろを向かせてあげたでしょ。フフフ…」
「で、でも…」
「いいから、早くお入りなさい。風邪ひくわよ。おちびちゃん。そらっ!」
そう言って、みさこさんは僕の両脇を抱えて僕を立たせると、剥き出しになったお尻を掌でピシャッて叩いたんだ。まるっきり、僕は子供扱いされていた。
「痛っ!」
「フフ…かわいらしいお尻して…ウフフ…」
「み、みさこさんの、エッチ!」
僕は、恥かしいやら、情けないやらで、おちんちんを両手で隠しながら、逃げるようにしてお風呂場に駆け込んだんだ。
「アハッ…アハハハハハ…」
僕の背後で、嘲るようなみさこさんの高笑いが、脱衣所の中一杯に響き渡っていた。