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オックスアイ・デージー[フランスギク]

オックスアイデージー花オックスアイデージー葉
オックスアイデージー


キク科レウカンテムム属
学名正名:Leucanthemum vulgare Lam.、異名:Chrysanthemum leucanthemum L.
英名marguerite, ox-eye daisy, moon daisy, white daisy, whiteweed
和名フランスギク
別名 
花言葉私はそれを思う(夢見ることができる)、無実、忍耐と悲哀
利用部
利用法ローション、軟膏、切り花
薬効 
メモ

 レウカンテムム属の解説は、こちらをご覧下さい。以前は Chrysanthemum属としていましたが、上記のように訂正しました。
 日本では、マーガレットと呼ばれていたことがあったそうですが、現在、マーガレットと言ったらモクシュンギク(正名:Argyranthemum frutescens、異名:Chrysanthemum frutescens)のことを指し、それと区別するために和名のフランスギクと呼ばれるようになったそうです。
 原産はユーラシア大陸の温暖な地域で、北アメリカやニュージーランドなどにも野生化しているそうです。「原色花卉園芸大事典」によると、日本への来歴は不明だそうですが、少なくとも1875年(明治8年)には導入されていたそうです。

 耐寒性がある多年草です。栽培に関することは、レウカンテムム属のページをご覧下さい。繁殖は、実生の他、株分け、挿し芽が可能だそうです。

 ハマギク(正名:Nipponanthemum nipponicum、異名:Chrysanthemum nipponicum)等とともに、シャスターデージー(L. × superbumの育成に関わったそうです。

 開花は、低温に遭遇した後の長日によって誘導されるそうです。これは、高緯度地域を原産とする植物の特徴だそうです。
 播種してからおよそ6週間経った展開葉数10枚の実生苗を、連続照明下の10℃の低温に遭遇させた後、20℃・8時間日長、20℃・連続照明、30℃・8時間日長、30℃・連続照明のいずれかの環境条件で栽培した実験があります。この結果、低温に遭遇させる日数が45日以下の場合は、その後の環境条件に関わらず発蕾しなかったそうです。低温に遭遇させる日数が60日以上の場合は、20℃・連続照明で出蕾・開花が早かったそうです。なお、この実験では、使った苗が小さかったので、完全に開花するのが難しかったと考察されています。
 苗齢の影響を見るために、7〜12月の各月の第1日から、連続照明下の10℃の低温処理を行った後に20℃・連続光で栽培した場合は、10月以降に低温処理を開始し、更に低温処理日数が長いほど開花率が高かったそうです。それに対し、8、9月から低温処理を行った苗では、花芽が発育せず、開花率が低かったそうです。
 また、近年、ノルウェーでも同様の実験が行われています。これについては、前述の実験とは異なる結果もあったようです。掻い摘んで説明すると、

  1. 花成誘導に有効な低温の範囲
    実験に用いた苗:播種後6週間経って約20枚の葉が着いた苗
    低温処理:6〜18℃の3℃おきの温度。8、あるいは、24時間日長。8週間
    低温処理後の栽培条件:21℃・24時間日長
    結果
     低温処理の温度が6、9℃の場合は、低温処理中の日長に関わらず、開花株率は100%。低温処理の温度が12℃以上では、温度が高いほど開花株率が低下するが、低温処理中の日長が8時間より24時間の方が開花株率が低い。低温処理後開花までの日数は、低温処理中の日長が8時間の場合は、温度が高いほど長く(6℃で約36日、18℃で約43日)、24時間の場合は、温度が高いほど短い(6℃で約37日、18℃で約22℃)。

  2. 花成誘導に有効な低温処理期間
    実験に用いた苗:1.と同じ
    低温処理:6、あるいは、9℃。8時間日長。6、9、12週間
    低温処理後の栽培条件:18℃・24時間日長
    結果
     開花株率は、低温処理の温度に関わらず、6週間以上の低温処理期間で100%。開花したシュートの割合は、低温処理が6℃の場合は、低温処理期間に関わらずほぼ一定だったが、9℃の場合は、処理期間が長いほど高い。花茎の数も開花したシュートの割合と同様の傾向があった。低温処理後開花までの日数は、低温処理中の温度に関わらず、処理期間が長いほど短い。

  3. 苗齢の影響
    実験に用いた苗:播種後8、6、4週間の苗(それぞれ、大、中、小。葉数は43、26、5枚)
    低温処理:6℃。8時間日長。6、9、12週間
    低温処理後の栽培条件:18℃・24時間日長
    結果
     開花株率は、大苗と中苗は、処理期間に関わらず100%。小苗は低温処理期間が長くなるほど開花株率が高くなり、6週間では20%のところ12週間では60%。花茎の数は、苗が大きいほど、低温処理期間が長いほど多い。低温処理後開花までの日数は、苗の大きさに関わらず、低温処理期間が長いほど短かったが、どの苗の大きさでもほぼ同じ日数で開花に至った。

  4. 低温処理後の環境の影響
    実験に用いた苗:1.と同じ
    低温処理:6℃。8時間日長。8週間
    低温処理後の温度条件:温度:9、15、21℃
    低温処理後の日長条件:24時間日長。0〜16回の4回おきと、回数制限無し。
    (24時間の長日処理が終わった後、どのような日長条件で栽培したのかは不明です)
    結果
     開花株率は、低温処理後の温度が高く、長日処理の回数が多いほど高い。花芽が見えるようになるまでの日数も、同様の傾向がある。ただし、花茎が伸長する(抽台する)ためには、温度に関わらず、16回より多く長日処理をする必要がある。シュートの数は長日処理の回数が12回以上の場合に少なくなる。

追記(2003.4.20.)
メモを全文改訂しました.


本棚以外の参考文献
  • 塚本洋太郎監修.原色・花卉園芸大事典.養賢堂.1984年.(フランスギク:439ページ)

  • 塚本洋太郎ら.フランスギクの開花に関する研究.園芸学会発表要旨.昭和45年秋:250〜251ページ.1970年.

  • Heide, O. M. Dual induction control of flowering in Leucanthemum vulgare. Physiologia Plantarum. 95: 159-165. 1995.

コメント

 L. paludosum を追加したついでに、メモを全文改訂、大きい写真を差し替え、コメントを追加しました。
職場で栽培しているものですが、私は手出ししていません(^^;。撮影は2000年6月です。

 
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