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ガウラ属


このサイトで紹介している種

ハクチョウソウ      
ヤマモモソウ、ハクチョウソウ
[リンドハイメリ]
lindheimeri
     

アカバナ科Onagraceae
学名Gaura L.
和名ヤマモモソウ属(山桃草属)
英名gaura
分布主に北アメリカで、分布の中心はテキサス州。北はカナダの南部、南はメキシコ、グアテマラまで。

種数

21種(資料によって異なります)。
Stenosiphon linifolius (Nutt. ex E. James) Heynh.をガウラ属に含める説あり。

属名の性別女性

属名の由来

ギリシャ語の「gauros(素晴らしい、見事な、立派な)」に由来し、花を形容している。

メモ

形態・生態など
 一年生、二年生、多年生の草本です。分枝はしないか、するとしても少ないです。葉は互生し、基部ではロゼット状になっています。茎についている葉は上位の葉ほど小さくなります。また、葉柄がありません。多くの種(しゅ;species)で、花は左右相称(放射相称の種もあるそうです)で、夜明けか夕暮れに開花し、1日で萎れます。花は、普通、4数性(萼、花弁、雄しべ、心皮が、4か4の倍数)です。花弁の色は白、ピンク、赤のいずれかですが、白から赤に変わることもありますし、黄色い花を咲かせる種もあるそうです。雄しべの数は萼片の2倍です。雌しべは下向きで、花柱の基部は包膜に囲まれていて、柱頭は普通4裂します。子房は下位で、子室は四つで、細い花筒が付きます。受粉はガによる虫媒だそうです。自家不和合性です。果実は刮ハです。
 基本染色体数はn=7で、18種が2倍体、3種(G. coccineaG. sinuataG. drummondii)が高次倍数体だそうです。
 栽培については、日本で主に栽培されているのが G. lindheimeri (リンドハイメリ種)なので、そちらのページで解説しています。


種類と系統発生
 種数は上記の通りです。ガウラ属に含まれる種(しゅ;species)の数やその分類方法には諸説あるようですが、Hoggard氏らの文献によると、最新の分類は1972年の Reven氏らによるものだそうです。これによると、果実の形態、花の相称性、成長習性から21種が以下のように細分されるそうです。

Gauridium
G. mutabilis Cav.(花色は黄色)
Xerogaura
G. macrocarpa Rothr.
G. boquillensis P. H. Raven et Gregory
Schizocarya
G. parviflora Douglas ex Lehm.(イヌヤマモモソウ;lizard-tail, lizard's-tail, velvet weed
Campogaura
G. coccinea Nutt. ex Purshlinda-tarde, scarlet gaura, wild honeysuckle)(4倍体か高次倍数体)
Stipogaura
G. villosa Torr.hairy gaura
G. calcicola P. H. Raven et Gregory
G. filipes Spach
G. mckelveyae (Munz) P. H. Raven et Gregory
G. sinuata Nutt. ex Ser.wavy-leaved gaura
Xenogaura
G. drummondii (Spach) Torr. et A. Gray
Gaura
G. lindheimeri Engelm. et A. Gray(ヤマモモソウ、ハクチョウソウ;clock weed, white gaura
G. angustifolia Michx.
G. neomexicana Wooton
G. longiflora Spach
G. biennis L.biennial gaura
G. demareei P. H. Raven et Gregory
Pterogaura
G. suffulta Engelm. ex A. Gray
G. hexandra Gomez Ortega
G. brachycarpa Small
G. triangulata Buckl.

 これに対し、Hoggard氏らは、ITSETStrnL-Fのような分子マーカーを用いてガウラ属植物の系統発生について検討したところ、

  •  子室が一つであることからガウラ属(子室は四つ)とは別の属とされた Stenosiphon属の S. linifoliusStenosiphon属は S. linifolius 一種からなる単型属)は G. parviflora と近縁で、クレード(clade:共通の祖先から進化した生物のグループ)を形成する。

  •  Gauridium節、Schizocarya節、Campogaura節、Stipogaura節、Xenogaura節、Gaura節は、それぞれ一つのクレードとしてまとまる(上記の分類は妥当)。

  •  Xerogaura節と Pterogaura節に含まれる種は、それぞれ一つのクレードとしてまとまらなかったので(後者については G. hexandra が別のクレード)、この二つの節については再考する必要がある。

  •  G. sinuataG. drummondii が種間雑種で、更に染色体が倍数化して生じたという仮説を裏付けることができた。

と言うことが示されたそうです。


本棚以外の参考文献
  • Hoggard, G. D., et al. The phylogeny of Gaura (Onagraceae) based on ITS, ETS, and trnL-F sequence data. American Journal of Botany. 91: 139-148. 2004.

  • Brako, L., et al. Scientific and Common Names of 7,000 Vascular Plants in the United States. APS Press. 1995.

  • CRC World Dictionary of PLANT NAMES -Common names, scientific names, eponyms, synonyms, and etymology. CRC Press. 2000.(英名)

(2007.5.14.)
 
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