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AnkokuKyo 's Moonlight
−やっぱり、Pantyhose Fetish に捧げる− 作:暗黒卿

Episode5 - Emi(pire) Strikes Back -
Subtitle:YOTA?…Who?

1.3 Reminiscence(A Letter of Recommendation)
1.3.1 Trap
「ふぁ〜、ねむ…、おふぁようございまーす。あっ、メークさん、おはようございまーす。…よろしくお願いしまーす。」

メークをつけてもらいながら、談笑する梨央。
「ちょっとー、みたー?昨日の…、日米首脳会談、やっぱ、あれよねー。小泉なんかもブッシュの言いなりって感じで…。」
「…でも、国会中継って最高よね、あれだけのコメディパフォーマンスは他にない。何回見ても飽きないし…。メークさんもそう思うでしょ?…あれって、台本ないのかしら?…。あっ、監督、おはようございまーす。昨日はどうも…、で、わたしのギャラの件、決まった?」
「えっ、そんな、話、あと?…ちょっとー!…なに?さつきが休んでる?さっき、電話があった?フン、なんか、悪いもんでも食ったのかしら?素人と初物には気をつけろって言ってんのに…。…で?…ふんふん…。なんですってー!ひとりで、昨日の続き、またやれってか〜!?冗談じゃないわよ。だいたい…。」
「…えっ、題は決まってる?ひとつ?…中身はアドリブ?…。ダメ!ゼーッタイに!…だいたい、昨日のギャラの話も聞いてないのに、これ以上…。」
「!…思い出した!…あの助監!わたしのライターは?」
「えっ、これ?あっそう。…ありがと。…これは、こっちのバッグにしまってと…。…やっぱり、いま、吸っとこっと。」
(カチン、シュボッ)
「フーッ…、いい音。やっぱ、これだわ…。で、なんだったっけ?…そうそう、だあからーっ。」
「…今日の分も含めて…、…あらためて、プロデューサーに話する?…。昨日の件もちゃんと言ってある?…O.K.って?…マジ?…うそ、言ってない?…ウフッ。…うーん、そーねー…。」
「ひとつ、条件があるわ。…あの、助監、クビにして!…って言いたいとこだけど…、今回は大目に見るとして…。後で、わたしの控え室に連れてきて。…思い知らせてやる、わたしの恐ろしさ…、こうして、ああして、こんなして…、おもちゃコレクションに…、フッフッフッ…ファーハッハッハッ…、ジュル、おーっと、いけねえ、よだれが…。…越後屋、おぬしも悪よのう、…いえいえ、滅相もございません、お代官さまほどでは…、グフフフフ。…えっ、もう、そろそろ、いいかって?」
「…はっ、いけない、…どおぞー、いつでもケッコウですよお。…で、お題は?…」
「んー、…難しいわね…、こんだけ、キャラクター、崩した後では…。できるかしら?…これって、最初にやっとかなきゃいけなかったんじゃない?っていうか、昨日のわたしのおかげで、路線変更したの?…。…なに、違う?こっちが本筋で、昨日のは、もともと、おまけ…、さらに、やりすぎで、わき道、逸れてる?…ひどいわね、プン。誰がやらせたのよ?って、わたしのアドリブが多すぎ?…あーあー、そうっすか、ケッ。…じゃ、カット、すんべ?」
「…できるわけねっか、あの、インポチンコプロデューサーに。」

「…まっ、いいじゃない。ハプニングは何にだってつきものよ、エヘッ。」


わたし、3年前に短大を卒業して、この会社に入りました。さつきとは同じ短大の同級生でゼミもサークルも一緒だったんでとっても仲良しです。
えっ、何のサークルかって?
(しまった、…そこまでは考えてなかったわ。やべっ…。)
「最初に言ってなかったっけ?えっ、言ってない?」
「…うーんと、それは…、えーっと、ほらっ、あれよ、あれ。…サークルっていうぐらいだから、…みんなが輪になってするやつ…、そう、あれっ、…なんていったかしら?…ほんとは、わかってんじゃないの?…この、いけず!」
「…んもう!適当に考えといて。イメージ、膨らませてねえん。…もう、ズボン膨らんでる?バッカ!まだ早いわよ。んー、本編に必要になりそうだったら、また、ちゃんと言うから…。とりあえず、進めるわよ。」
「ゼミ?そんなの、わたしがわかるわけないじゃない!」

さつきは、性格も真面目で優等生だったから、大学の推薦ももらって、結構早く、この会社の内定ももらっていたんだけど、わたし、あまり勉強もしないで、遊んでばかりいたから、なかなか就職が決まらなくて、困ってたんです。
この会社って、お給料も高くて、いわゆるエリートの男のひとがいっぱいいるし、人気のある会社だと知って、さつきばっかり、ずるいと思ったんだけど、仲良しのさつきに負けたくなかったし…。そう思ったら、どうしてもこの会社に入りたくなっちゃって…。わたし、頑張ったんです。
就職担当の人に聞いたら、この会社は先生の推薦がないと、会ってもくれないって言うから、あわてて、ゼミの先生にお願いにいったの。そしたら、さつきをもう推薦してるし、二人は無理だって言うんです。ひどいでしょう?先生にしつこく聞いたら、二人は無理って言っても、絶対駄目、というんじゃないみたいだった。でも、先生ったら、わたしの成績がよくないから、やっぱり、ちょっと推薦は難しいって言うんです、困った顔で…。でも、その顔がとっても、かわいかった。
この先生って、助教授なんだけど、とっても若くて、そのとき確か30代前半ぐらいだったと思う。結婚はしていたけど、子供さんはいなくて、わりとカッコ良かったから、女子生徒の中でも結構人気があって、ファンも多かった。さわやかな好青年って感じ。真面目だったし、学内の評判も上々。
そこで、あたし、ちょっと考えた。先生に何とか推薦してもらう方法…。

その日は、朝から暑かった…、ような気もするし、寒かったような気もする。…涼しかったかもしれないし、…暖かな陽気だったかも?…どうだったでしょう?…でも、そんなこと、どうでもいいんです。回想の導入部はこんな書き出しって、決まってんだから…。
わたしって、普段から、ちょっと露出オーバー?気味なもんだから、人目を引くみたい。その日も別に意識したわけじゃないけど、ちょっと胸の空いたTシャツの上からレザーのジャケットを羽織って、下はジャケットとお揃いのレザーのホットパンツという、ちょっとそそるような、ラフなカッコ。7cmヒールのサンダルだったから、つま先から太ももの付け根まで、ほとんど丸出し、…パンツまでは見えないけど…。
わたし、脚にはちょっと自身あるんだ、エヘへ。ストッキングはちょっと濃い目のサンタンブラウンだったかしら?
ちょっとお、あなた、生脚派?…だったら、用はないわよ。ここでは、基本は、ぜーんぶ、ストッキング。なんたって、宮内庁御用達…じゃなかった、プロデューサー(製作者)御用達なんだから…。
脚とストッキングにこだわらないと、ここでは、出番ないのよ。麻稀姉さんだって…、おおーっと、いけねえ…、つぎ、つぎ。

とにかく、ギリッギリのホットパンツから覗く、薄い皮膜に包まれた、ムーッチリ、ムチムチの太もも、切り返し、シームetc、…これがここでのメインテーマです。ズボン、…じゃなかった、想像力、膨らませてね、チュッ?
わたし、先生の正面の来客用のソファーに座って、さりげなく挑発した。ソファーって、腰の位置が低いから、それだけで、ホットパンツがせりあがって…。
何回も脚、組み直してあげた。絶対、見えないけど…。だって、Tバックッだったんだもーん、エヘッ。その度に、センセエったら、生唾、飲み込みそうになっちゃって…、何度も…。
もう、そろそろかなって、思った頃に…。
それでは、ここからは回想シーン、テーク1、…ちょっとだけ、どうぞ。

「…わかりました、先生。ヒイキするんですね。さつきにばっかり…、…ずるい。」
「そんな、贔屓だなんて…、ボクは…。」
「悔しい…。さつきだけなんて…。」
泣き出した。ちょっとだけ、肩を震わせて…。
「…七瀬君…。」
(さあ、もう一押しね。どーやって、推薦書、書かせようかしら?)
「エッ、エッ、シクシク。…いいわ、わたしと先生のこと、みんなにバラしてやる…。」
「!…ば、バラすって、…一体なにを?…君とぼくのことって…。」
(いまからなの。先生とわたしのことは、いまから始まるのよ…、ウフフフフ。)
「…ヒック、…だって、先生ったら…。」
「…そんな…、泣かないで…。」
「ヒック、エッ、エッ、ヒック、…、…。…ウフフ。」
「!?…。」
「冗談ですよ、先生、先生ったら…。…マジにしました?」
「…冗談って、…七瀬クン…。」
「考えたら、先生だって、困りますよね、こんなことされても…。…でも、涙は本物、わたし、本当に悲しかったんだから…。」
「…ふーっ…。…。」
(エッ、その後の言葉はないの?ここは、あんたがまとめなきゃいけない場面でしょう?やさしくリードして…、慰めるとか、なんかあるでしょう?あーあ、安心して、背中、倒しちゃったりして…。しょうがない、…とりあえず、これでいってみるか。)
「あーあ、なんだか、お腹すいちゃった…。泣きすぎちゃって…。」
「???…。」
(あのねえ、ここは、『お詫びといってはなんだけど、食事でも…』、のシーンなの。…強情というか、…ウブすぎるのかしら?気が動転してるから、どうしていいのかわからないのかもしれないけど…。んー、どうやら、もうちょっと、お助け、…わたしがリードしてあげなきゃいけないようね。しょうがないなあ…。)
「そーだ、先生。ご飯、食べに行きませんか?わたし、おいしい店、知ってるんですよ。」

これで、先生に否も応もなかった。
さすがに、お店は、先生の知ってる、串焼き屋に案内してくれたけど…。だって、変よね〜。女の子が、お店に年上の男の人を連れて入って、訳知り顔で注文したり、常連みたいにお店の人に話しかけられたりしたら…。でも、串焼き屋
ってのが、なんとなく、先生らしくて可笑しかった。
その串焼き屋はちょっとしゃれた造りで、洋風。カクテルバーみたいな背の高い椅子のあるカウンター席の端っこのほうに並んで座った、人目を避けるようにして…。

「では、カンパーイ!…なにがいいかしら?…そうねー、…未来!未来がいいわね、先生…と、わたし…二人の未来に…。」
「ああ、乾杯。」
(二人の未来って言っても、あなたには、わたしの未来のために頑張ってもらわなくっちゃっ。…さあ、どうやって、料理しようかしら?この、いい子ぶった、好青年助教授…。)
「お待たせしました。タン(舌)です。」
「うわー!おいしそう…、わたし、大好きなんです。では…。」
言いながら、上着を脱いだ。上半身はシャツ一枚…。こぼれ落ちそうなバストで、横から、いきなりのカウンターパーンチッ。
「いただきまーす。」
(基本よねー、上着脱いで、胸、強調するのって…。どう?ブラのライン、透けてるでしょう。谷間だって、ちょっと頑張って、上から見たらよく見えるわよ。どうかしら?わたしのバスト、ボリューム満点で美味しそうでしょう。)
「美味しー!もう、一枚…。」
「そう、よかった。」
(気取った振りしてもダメ。この、バストが気になるんでしょう。ちらちら、盗み見してんの、全部、バレてんだから…。ほら、もうちょっと、寄ってあげる。)
「先生も、食べてください。」
言いながら、先生側の手を後ろに回して、反対側の手で、皿を先生のほうに差し出しながら、身体を寄せた。自然、わたしの身体はやや、半身になって…。カウンターに置いた彼の肘にわたしのバストが当たるように…。
「!!」
(どう、柔らかいでしょう。それと…、はい、谷間のアップ、どうぞ、ご一緒に召し上がれ。感度、抜群なんだから…、この谷間に、何、埋めたい?顔、それとも…。あなた次第で試させてあげてもいいのよ…エヘへ。)
「…ああ、いや、食べて…。」
(あら?さりげなく、肘、引いちゃったりして…。案外、純情ボクちゃんなのかしら?緊張してる…、可愛い!)
「えーっ、…そーですかあ。…じゃ、遠慮なく。」
(あなたも、食べちゃおうかしら?ウフッ、…どうしてほしい?)

それからは、お酒飲みながら、他愛もない話、したんだけど、スキンシップサービスは怠らないようにした。先生の足に、わたしの脚を擦り付けたり、手を置いて、そっと刺激するようにして…。最初はドギマギしてたみたいだけど、だんだん…。
(純情ボクちゃんにも苦労するわね。リラックスできたかしら?逆に警戒されたら、台無しなんだけど…。…大丈夫そうね。)
推薦の話は、わたしのほうからは振らなかった。先生もひょっとしたらって、思ってたみたいだけど、まず、ここは、いい子にしておかなきゃ…。ストレートはだめ。ちょっと、メンドくさいけど、手順が要る…。自ら、推薦したくなるっていうか、推薦しなきゃいけないって、なるためには…。

「いやだー、先生ったら…。」
(すっかり、硬さも取れたわね、アソコはどうか知らないけど…、フフッ。)
「面白いんですねー、先生って。」
「で、その学会で、ボクが…。」
(ハイハイ、なんですか?もう、どーでもいいの、あんたの話なんか、マジに聞いてないんだから…。あんまり、しつこいのは嫌われるわよ。…そろそろ、いい頃かしらね。切り上げて、次いかなきゃ。…でわっと、ここは、あっさり感で気を引かないと…。)

「先生、わたし、なんだか、酔っちゃったみたい。もう、帰ります。ゴメンなさい。」
「えっ。…あっ、そう?…まだ…。」
(すんごく、残念そう。これなら、いけるわね…。)
立ち上がって、横に立った。
「いいお店ですね。とっても、おいしかった。また、誘って下さい。」
(おっと、いけない、御決まり、御決まり。ここは、申し訳なさそうに、小さな声でっと…。)
「…あのー、ところで…、…ここ、…いいですか?」
「なに?」
(なにって…。まったく、鈍感なんだから…、だいたい、わかりそうなもんでしょうに!それに、他に言うことがあるんじゃないの?)
「…ああ、お金?…もちろん。…そんな、心配しないで…。」
(もう!…ここで、割り勘なんていったら、どうしようかって思っちゃった。どんな、三文文士だって、それだけはないわよねー。でも、ここは大袈裟に…。)
「キャッ、ありがとうございます。どうも、ごちそうさまでした。」
「…ああ、あの…。」
(来た!)
「はい?」
(…そーよねー、なにか、言いたいことあるはず…、焦らさないで早く言って!)「…上着、…忘れてる。」
(ガクッ、ガクッ、ガクッ、んもー、三段階トリプル、ウルトラ逆回転降下ー。…別れるのが惜しいんでしょう?…ここって、話を続けて、繋ぎ止めなきゃダメじゃない?さっきの推薦の話を考え直す、に、もってかなきゃいけないのにい…。も〜、怒ったかんね。作戦変更、強硬手段に訴えるわよ。)
「わたし、ちょっとトイレだけ、いってきます。申し訳ないんですけど、ちょっと、荷物、ここに置いといていいですか?」
わたし、返事も待たずに、トイレに駆け込む振りをして…。

「すいませーん。ゴメンなさいね…。あっと…。」
ちょっと、ふらつく振りしてやった。
「…いや、…大丈夫?ちょっと、ふらついてたけど…。」
(バーカ、わざとやってんだよ。前振りなんだから…。)
「ええ、大丈夫です。…えーっと、あっ、上着、上着…。」
(大丈夫だけど、大丈夫じゃないわよ。これから、いろいろ、あんだから…。覚悟なさい。)
上着を取るために、ちょっと、屈んだ拍子に…。
「キャッ。」
そのまま、先生に覆いかぶさるように倒れこんでやった。
「うわっ!…。」
Tシャツだけでパンパンのバストを先生の顔に押し付けるようにして…。
「ゴメンなさい。ちょっと、おかしいわね、わたし。いつも、こんなことないのに…。やっぱり、飲みすぎたのかしら…。」
「!!」
上体起すついでに、さりげなくズボンの股間に置いた手で、軽ーく、なでなで…。
(ここが、急所なんでしょう?…あら?普通だったらこの辺から、ストライクゾーン…。ありゃりゃ、なんだか、とってもチッチャいわ。ここか!?…ど真ん中…。やっぱり…、こんなに硬くしてるくせに…。上品ぶったってダメよ。)
「ああ…。」
(なに、ぼーっとしてんのよ!気持ちよくなってる場合じゃないの。ここまでしてやってんのに…。この先まで言わせる気?)
「…あっ、…送っていこうか?…それとも…。」
(んだ!…それ、それっ。それでしょう?待ってました!…えっ、ちょっと待って。『それとも…』って。…もしかして、それに続くのって、『ちょっと、休んでく?』かしら?…上出来やんけ、あんたにしては。…でも、もう、作戦決めて、段取りしちゃったから…、残念ねー。また、今度って、ことで…。)
「エッ、…でもー。」
「うん、やっぱり、送ってくよ。うん、そうしよう、そうに決めた、うんうん。」
(なに、一人で納得してんのよ。…フーッ、全く、手間がかかるわね、ウブな純情ボウヤは…。やっぱ、これは先生のほうから言い出してくれないと、おかしいわよねー。でも、…あなたって、年は上だけど、女に関しては全くのど素人っていうか、オコチャマ、…ガキンチョ同然ね。そこが、まあ可愛いといえば可愛いんだけど…。…どうでもいいことだけど、奥さん、どんな人なのかしら?そっちのほうが興味あるわね。今度、会わせてもらおうかしらん?)
「…いいんですか?ホントに…。すいません、じゃあ…。」
「…確か、成城…。」
「エッ、いや、あの…。」
(ヤベッ、なんで、このヒト、そんなこと知ってんの?…それは、まずいわよ。いっくらなんでも、男の人と一緒にタクシーで家に乗り付けなんかしたら…、それこそ…。それに、段取り、台無し…。)
「いや、最近、一人暮らしはじめて…、××のほうで…。」
「…ふーん、そう。…じゃ、まっ、いこうか?」
(見たわよ、いやらしい笑い、浮かべちゃって…。あんたの魂胆なんか、見え見え。なーんか、急に元気になってきたわね。さっきの顔面バスト攻撃で、はじけちゃったのかしら?…まあ、そのほうがやりやすいけど…。)

タクシーの中で、わたし、もうちょっとだけ、サービスしてあげた。
ピッタリ、寄り添って、気分の悪い振りして、頭を彼の肩に持たせ掛けたりしちゃって。もちろん、脚も彼に沿わせて、膝が合わさるようにして…。左カーブでは、ふんばって彼を支えたし、右カーブでは大袈裟に彼に覆いかぶさるように倒れこんだりして、さりげなくズボンの上から、サワサワしてあげた。
でも、タクシーの運転手さんったら、おもしろいのよ。バックミラー越しにわたしたちの様子、チラチラみて…、わかってる筈なのに、ラジオのナイター中継に夢中の振りしちゃって…。
「どうした、田淵!ミスタータイガースの意地見せい!堀内なんかのヘナチョコ球、打ったらんかい!」
…とか、
「よっしゃあ、三振!ザマミロ、王!江夏の球は新幹線より速いんじゃあー!」
…とか、
「ナイス!さすが、三宅…、長嶋なんか目じゃないぜ、…少なくとも守備は…。吉田と黄金の三遊間じゃい!」
…とか、
「さあ、ここだぞ、ラインバック。メリケンの大和魂、見せたらんかい!」
…ですって。…時代考証、合ってるのかしらん。
それで、彼、…先生も安心したみたい…、だって…。
(そんな、恐る恐る、手伸ばして、膝、触ったりして…、なーんか、震えてんじゃないの、大丈夫?…。…オオーッと右カーブ、お仕事、お仕事。)
「!!」
今度は、股間に手をついて、体勢を立て直す振りしてやった。
「あっ、ごめんなさい、何度も…。」
「ああ、…いや…。」
(その気になっちゃって…。大分、きてるわね。なーんか、湿っぽいし、…先走り、匂うわよ、これぐらいで…、ホーント、オコチャマなんだから…、サイズも…、クスッ。…さあ、書いてもらうわよ、推薦書、もう逃がさない…。ちょっと、可哀想な気もするけど…、しょうがないわよねー。)

「じゃ、ここでいい?あっ、運転手さん、ここで…。」
「すいません。…なんだか、車でよけい、気分が悪くなっちゃったみたい。先生、ちょっと…。」
「あっ、うん。…じゃ、ボクの肩につかまって…、じゃ、運転手さん、これで…。お釣りは、いいですから…。」
(見栄、張っちゃって…、お給料、そんなにたくさんもらってるの?知らないから…。)
「ああ、こりゃどうも。…いいぞ、やっぱ、ミスタータイガースはお前じゃ!カケフ…。」

先生の肩につかまりながら、車から降りた。ワンルームマンションの正面入り口…。
(ピカッ。)
「!…いま、なんか光ったような…。」
(ヤベッ、まだ早いわよ、先生、そんなの気にしてる場合じゃない。気にするのはこっち!…もう一枚ぐらいは…。)
「先生、わたし、もうだめ…。お部屋までお願いします。」
「あ、うんうん、…わかった。」
先生の肩につかまりながら、エントランスまで来た…。
(ピカッ、カシャッ。)
「!うわっ!」
エントランスの陰から、カメラを持ったいかつい?男が出てきた。
もう、わかった?…そう、これが、帰り際にトイレに行く振りして、仕組んだ仕掛け…、携帯で…。もちろん、ここは、男、彼の住処のマンション。私のオトモダチ…おもちゃ…かしら、エヘッ。
「あっれーっ、なんか、写真、撮られちゃったみたい。」
「…シャ…シン…。」
「フフ、まだ、よくわかってないようね。じゃあ、もう一枚。はい、チーズ。…おまけのピース。」
(ピカッ、カシャッ。)
「やめろ。…これって…!!」
「やっと、わかったようね。大学の先生にしては、おつむの巡りが悪いわね。…さあ、いま撮った写真、どうしようかしら?…えっ、すぐ、現像できる?部屋に道具、…あんの?…。それは、話が早くていいわねー。しっかし、マニアねー。イマドキ、『銀塩』?…。ま、なんでもいいんだけど…。さあ、どうして欲しい?…早速明日にでも、大学にばら撒く?…それとも、ご自宅にお送りしましょうか?奥さん宛に…。」
(ピカッ、カシャッ。)
(まーた、撮ってる。もう、いいってのに…。やっぱ、アホだわ。言われたら、やめろって言われるまでやってんだから…。…もっとも、アホだから、扱いやすいんだけどね、エヘッ。)
「やめてくれ!」
先生、肩に掛かったわたしの手を振りほどいて、突き放すようにすると、男に向き直って…。
「あらっ、乱暴なんだからー…。おおーっと、気をつけたほうがいいわよ。そのヒト、大学のボクシング部で重量級の東日本チャンピオン、…いい体してるでしょう。
まともにやったら、殺されちゃうかも…、ウフッ。…それに、カメラが趣味ってんだから、おもしろいわよねー。きっと、上手に撮れてると思うわ、二人の…。」
んー、ボクシング部でカメラが趣味ってのも、なんか、ご都合主義に過ぎるような…。ここは、ボクシング部と、カメラ小僧の二人出しにしとこうかしら?…それも、とってつけたような感じが…、うーん、どっちがいいかしら。
その間、男が二人になったり、見え隠れするようにして、二人目が消えたり、現れたり、半透明になったりしちゃって…
(どっ…ちに、…するん…だ…よう…、…は…やく…、…きめ…て…くれよ…う…。)
言葉まで、とぎれとぎれで…、フェード…しちゃったり…する…もんだ…から…。
あら、わたしまで、うつっちゃった。
なーんか、シュールよねえ、ここんとこ。筒井康隆先生の作品にこんなのあったような…、筒井先生、ゴメンなさい。『虚構船団』だったかしら?間違ってたら、重ねてゴメンなさい。

「まあ、どっちでも、いいじゃない。どうせ、あんたの出番はこれっきりなんだから、…多分、テヘッ。」
(…そ…んな…!…どうす…んだよ…オ…レ…。)
相変わらず、消えそうになったりしてる彼(ら?)を無視して…、
「わかってるわよね。写真のお披露目されたくなかったら、どうしたらいいか?カーンタンよねー。どうせ、紙切れ一枚ぐらいなんだし…。さつきより、良く書いとくのよ。ス・イ・セ・ン・ジョ・ウ、わかったわね!」
「…ああ…。」
(あらあら、座り込んじゃった。案外、だらしないのね。まさに、腰抜け…、クスッ。ちょっと、反則技だったかしら?可哀想な気もするけど、しょうがないわよね。素直に最初からわたしの言うこと聞いとけば、こんなことしなくてすんだのに…、あんたが全く、鈍感…、オコチャマなもんだから…。苦労したのはこっち…。手間掛けさせて…。)
(あ〜あ、頭、抱えちゃって…、まさか、泣いてんじゃないでしょうね。ダメじゃない、横取りは…、それって、わたしの技なんだから。それに、へたねえ、…そんなんじゃダメ。アッ、マジか…、じゃ、しょうがない…かな。)
(ちょっと、カワイソ過ぎかしら?ちょこっとだけ、慰めてあげようかな?でも、この様子じゃ、今日は無理ね。さすがに、萎んでる…。ショックだったんでしょうねー。それに、ここでは、まずい…。場所、変える?…ボクシング部の彼、いや、彼らかしら?…まーだ、中途半端な姿のままだし…、…の部屋じゃ、いっくら、なんでもねー…。まあ、十分弱みも握ったことだし、先生とは、これっきりじゃないってことで、今日はこれでお終いにしときましょ。わたしも、なんだか疲れちゃった。先生のミニサイズ、…こっちもオコチャマ…クスッ、ちょっと、拝んでみたかったけど…。)
「それじゃ、わたし、帰るから。ちゃんと現像しとくのよ。あんた…たち?…それと
…、先生にタクシー、拾ってあげて。」
(…は…い…。)
「それじゃ、先生、写真、出来たら、また、お伺いしまーす。お楽しみにー。先生も書類、揃えといてくださいねー。サヨナラー。」

その後、ちょっと、可哀想だったから、…先生…。わたし、何回か遊んであげた。結構、楽しかった…、いや、楽しめたわ、…面白かった。不倫?いまさら、野暮な事いわないでよ。そんなもんじゃない…。ちょっとしたお遊び…。だって、先生って…、ウフフ。…それに、先生のとこって…、あれって、夫婦といえるのかしら?だから、不倫って言葉はあてはまらないんじゃないかしら…。
言っとくけど、もう、先生とは会ってないわよ。今頃、なにしてるのかなあ…。さつきから聞いたんだけど、一時期、学校にも行ってなかったみたい、病気、とか言ってたけどホントかしら?…そうだ、心の病って、精神病のこと?…なんか奥さんと揉めてるような噂も耳にしたけど…。
ま、わたしには関係のないことだけどね、エヘへのへ。


カーッ!なっがーっ、ホンット!まーったく、わたし、殺す気?出ずっぱりで…。わたしって、主役だった?こーんな、前振りの前振りの前振りみたいな回想シーンその1で、ここまでやんなきゃいけないの?『ちょっとだけ』って言わなかった?えっ、言ったの、わたし?そーだったかしら?…そんなことどうだっていいの…。

エッ、何、それ?聞いてないよーっ!
『その後…』からの続き〜!?…もう、上でまとめてるじゃない!いまさら、なにやれって…。えっ、いいかげん、この辺で一発、ヌイとかないと間延びしてしょうがない?
それもそうだけど…、って感心してる場合じゃないっての!…なに?わたしのせい?ほーですか、ほーですか、そりゃ、悪うござんしたね。みーんな、わたしが悪いんでごぜえますよ。
アッタマ、キタ!…だいたい、その場、その場の行き当たりばったりで…、総合的な企画力ってもんがないのかしら、あの、バカプロデューサー。それに、これやりだすと時間かかるのよねー、ただでさえ、ライターが、…早漏…ちがった、遅漏…もっとちがった、…遅筆だっていうのに…。
(回想シーン、その1の2、入りまーす。ハイッ、3、2、1…。)
ウソッ!?チョッ、チョッ、チョッ…、ちょっと、待ってよ〜。