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AnkokuKyo 's Moonlight
−Pantyhose Fetish に捧げる− 作:暗黒卿

Episode4 -A New Hope ?-
Subtitle:昼休み(A Noon Recess)


1.侵入者(A Trespasser)

1.1 獲物(Victim)
「こんにちは、お邪魔します。」
昼の12時を少々回った時間に、女は現われた。

(あら、だれもいないのかしら…。…なかなか広くて綺麗なオフィスだわ…)
室内はパーティションによって規則的に仕切られているため見通しが悪い。女は遠慮なく、室内に入り込んでいくと、部屋の中程まできたところであたりを見回した。最奥のパーティションの影から僅かに白いYシャツ姿が見える。
(なんだ、いるんじゃないの…。返事ぐらいしてよね。)
女はちょっと憮然としたが、無駄足でなかったことに気を取り直して目標のパーティションに近づいた。
パーティションは大人の胸ほどの高さで、コの字型に仕切られており、開放面を背にする形で椅子が置かれている。女は目標の左後方の位置から、林立するパーティションに見え隠れするYシャツの後ろ姿を確認した。
パーティションに仕切られた通路をぬって、さらに近づいていく。5mほど先のパーティションの向こうに若い男の頭と右上半身が見えた。男はパソコン画面に向かっており、右手でマウス操作を繰返している。
(仕事中かしら?お昼休み中に…。まっ、関係ないけど…。わたしもお仕事だしぃ…。趣味と実益を兼ねたね…。フフ)
口元に妖艶な笑みを浮かべて、男を見ると同時に品定めをする女。
(んー、なかなかかわいい男の子じゃない。新入社員…、としたら22才ぐらい?でもハタチ前にしかみえないわ。私好みの“年下の男の子”って感じ…。合格! いただきまーすって感じ…フフ。でも趣味はいいとしても、実益のお仕事を忘れてしまいそう…クスッ。)
そのとき、ふとパソコンの画面がパーティション越しに女の目に飛び込んだ。
(あら?)
離れていて、さらに斜め後方からではよく見えないが、デスクトップのモニター画面には、上下に長くのびたベージュ色のものが二本、濃紺の背景に浮かび上がって見える。
(なに?…、もしかして…。)

ゆっくりと、今度は静かに近づいた。オフィス内に敷き詰められたカーペットは、足音を忍ばすことに何の支障もない。角度のついたモニター画面を遠目にもう一度見る。
(…あ…し…?)
長くのびた二本のベージュ色のものは女性の脚、さらに、上部のY字型の切れ込みに貼り付けられたカラフルな彩色は、レオタードもしくは水着姿の女性の下半身であることは容易に想像できた。
(あらあら…、やっぱり、思ったとおりね。)
男は画面を繰って、新しい女性の下半身を映し出す。こんどはヒールを履いたフレアミニだ。全く、女には気づいていない。ボディコン、タイトミニと、なまめかしい曲線を画面に映し出してゆく。

(うふふ…、だったら話が早いわ。おねえさんはボウヤのような脚フェチ君が大好きよ。ボウヤだって大好きなはずだわ…、おねえさんの…、フフ、…そして、おねえさんに苛められるの…、うれしいでしょう…。いっぱい、おねえさんに聞かせて頂戴…、喜びの嗚咽を…。)

(さあ、お楽しみ時間の・は・じ・ま・り・。イッツ、ショーターイム!)
女の瞳が一瞬光った。


1.2 接触(Contact)
「お仕事中ですか?失礼します。」
パーティション越しに話し掛ける女にあわてた様子で顔を向けるたくや。極上のそれとわかる女性の出現にしばし目を奪われそうになるが、今はそれを確認している余裕はなかった。咄嗟にパソコンに向き直り、パニック画面からの脱出を試みようとするが、慌てているため思うように行かない。
「よかった。だれもいらっしゃらないのかと思っちゃった…。」
たくやのあわてた様子には全く気づかないふりを装う女。
(さあ、落ち着くのよ、ボウヤ。おねえさんは気づかないフリをしてあげる。もちろんあなたの見ていたおもしろい絵のことも知らないのよ…。でも後でボウヤは恥ずかしい思いをすることになるわ。最初にいっておいてくれたほうがどれほどましだったかと思うぐらいに、最高に恥ずかしい思いをね…、ウフフ)

「お一人ですか?ほかの皆さんはいないんですか?」
「…、食事。」
ようやくパソコン画面の体裁を整えたたくやが、パソコンに向かったまま、ぼそっとつぶやいた。明らかに自分のしていたことに、罰の悪い思いをしている。無愛想なしぐさは、その反動からくる照れ隠しであることは明らかである。
(かわいい、照れてるのね。でも、折角、これから、二人の楽しい時間が待っているのよ。もっとリラックスしてもらわないと困るわ。)
「そーなんだー。ひとりでお仕事大変ですね。」
明るく話し掛ける女。
「…。」
たくやはパソコンに向かったままである。
(おねえさんの顔も見られないほど恥ずかしいの?ちょっと意地っ張りなのかしら?でも、そんな子ほど苛めがいがあるってものね。フフ、ぞくぞくしてきちゃった。…でもボウヤは必ずわたしを見ることに…、いいえ、見つめ続けることになるわ。そうなるようにしてあげる。…そしたら、今度は視線をそらすことができなくなるのよ…ウフフ。)
「お仕事中すいませんけど、ちょっとだけお時間いただけますか。」
「…。」
めんどくさそうに仕事のフリを続けるたくや。まだ女を見ようとはしない。
(あまり意地を張るのもかわいくないわよ…。もっと素直な子に教育するところから始める必要があるようね…。しょうのないボウヤだこと…。でも、これでもわたしをみないでいられるかしら。)
女はブラウスの上二つボタンをはずすと、胸元のアスコットタイを静かに抜き取った。


1.3 仕掛け(Snare)
「私、フットジョブ生命の八神麻稀といいます。はじめまして。」
今までパーティション越しに話し掛けていた麻稀は、言うと同時にパーティションを回って、たくやのすぐ左横に立った。距離にして1mほどである。しかしこの距離が、麻稀によって計算された最も効果的な距離なのである。この距離は視線の移動だけで麻稀の全身を追うことができる。そしていまや麻稀とたくやの間を遮るものは何もない。麻稀は右足をやや前に出して立ち、ブリーフケースを両手で持ってスカートの前においている。
(さあ、おねえさんをよおくみるのよ、ボウヤ。どう?ほら、ほら…。感じるでしょう、よおく見て、感じて、下半身からわきあがるもので震えるところを見せて頂戴。)
思わず振り向いた瞬間、たくやの全身に電気が走った。そしてゆっくりと時間が止まっていくように感じられた。たくやの思考回路は急速に機能を低下させていく。
一旦、麻稀と視線を交わしたたくやは、麻稀の全身像を確かめるように視線を下に移してゆく。しかし、その視線はぼんやりとして力がない。
(クスッ、目がうつろだわよぉ。お手々もお留守になっちゃって…。お仕事しないなんて悪い子ね。お仕置きしなくっちゃ…。なんちゃって…)

ベージュ系の2ピーススーツに身を包んだ麻稀。スーツの胸元はやや大きく開いており、ブラウスからのぞくふくよかな谷間が鮮やかに、さらに上品に演出されている。スカートはといえば、膝上20cmはあろうかというタイトミニで、さらに側に刻み込まれたスリットからはストッキングの切れ込みが見え隠れする程である。

(どう?このスーツ、気に入った?。今日のスカートは特別製よ。運がいいわね。ほとんどの男が私を振り返るわ。今日は車だからと思って履いてきちゃった。電車だと逃げ場のない車内で、男の絡みつく視線と同姓の羨望のまなざしでうんざり…、)

麻稀は身長167cm、抜群のプロポーションの持ち主で、存在自体が周りを圧する雰囲気を備えている。しかしながらそのプロポーションはファッションショーなどのモデルに見られる細身の創られたそれではなく、程よい肉付きでバランスの取れたものである。その悩ましいともいえる姿態は女性本来の持つ、たおやかな曲線美を高いレベルで表現していた。特にその脚は、長さ、形とも申し分なく、筋肉質を全く感じさせないなめらかでやわらかな曲線は、見るものの目を奪ってやまない。そして、その美しさを忘れられないほど脳裏に深く刻ませるのである。丸いヒップから腰のあたりで急速にすぼまる見事なくびれがアクセントとなって、その造形美を演出している。麻稀自身も、女性としての自分の武器が脚であることを自覚し、最大限に効果的に使うことを心がけるようになっていた。麻稀は「脚は顔と並んで、その形を隠すことなく発揮できる自身の最大のセックスアピール」と考えている。
隠すことのないもう一つのアピール…、顔。もちろん美貌の持ち主である。形の良い卵形の輪郭の顔立ちに、バランスよく配置された目鼻。そして、長めに切れ上がった瞳とやや大きめの口がその顔を大きく特徴づけていた。俗に言えば「男好きのする顔」で、もっと下世話な言い方をすれば「そそられるHな顔」。この瞳で横目に見つめられると大概の男は参ってしまうのである。
※1さあ、誰を連想しましたか?○○○…?正解です! 

全身から枯れることなく溢れ出る色香、麻稀は尽きることのない媚薬を振りまく、まさに「歩くフェロモン工場」といえた。

(商売柄、あからさまにHな服は着れないけど、あなたみたいな男の子のために工夫はしているのよ。でもあなたには十分でしょう…、いや、最高かもしれないわね。あなたは制服フェチでもあるはず…。ひょっとしたら自分では気づいてはいないかもしれないけど…。)
(これからゆっくりと思い知らせてあげる。そして私好みのフェチ男君にしてあげるわ。ウフフ、覚悟はいいかしら?)
たくやの視線はさらにゆっくりと下へと下がってゆく。
腰から太腿にかけてぴっちりとはりついた布きれの下からのびる二本の脚。二本のラインが織成す曲線が、なまめかしい陰影を伴った、眩いばかりのイリュージョンとなって映し出される。曲線を包む人工製のもう一つの皮膚は、やや濃い目ベージュブラウンで、室内灯と自然光の微妙なバランスに反射して艶美で独特な光沢を放っている。
(綺麗でしょう、あたしの脚。あなたがパソコンで見ていたよりも綺麗な脚が、いま目の前にあるのよ。実物のほうがずぅーっといいでしょう…。触りたい?。今はだーめ。もっともボウヤにそんなことのできるはずもないわね。今は見るだけで精一杯、そんな余裕もないもんね。…でも、いい子にはあとでご褒美をあげるわ。この脚でいろんなところを擦り付けてあげる…。ボウヤはどっちが好きなの?…。生脚?、それとも、…スト脚?、フフ)
さらに下がってゆくたくやの視線は、麻稀の足元で一時停止する。
オープントゥ、バックストラップタイプのサンダルからのぞくつま先。つま先はたくやに向けられた銃口である。濃いブラウンのナイロン製の皮膚は素肌以上に素肌らしく、なまめかしい。エメラルドグリーンに彩られたペディキュアから放たれる妖しい光。光は、つま先の銃口から破壊光線となって脳髄の奥に達し、痺れにも似た快感となってたくやを刺激する。さらに、足首に絡まるアンクレットの黄金の輝きに増幅された破壊光線はたくやの脳髄を突き破って全身を駆け巡った。
(フフ、もう先走りでチンコの先が濡れてるんじゃないの。このつま先で、後でやさしくなでなでしてあげる。ヒーヒー泣いて頼んでも、ダメッ。だって、おねえさんは、ボウヤの苦痛打ち震えて…、…快感かしら…フフ、…泣く顔がいっぱい見たいの。おねえさんをいっぱい楽しませるのよ。でなきゃ、許してあげない。)
たくやはこれまでに経験したことのないような幻想の世界に入り込んだような錯覚を覚えた。大人の女性の色香によって創り出される桃源郷。


1.4 捕獲(Capture)
うつろな視線をもう一度麻稀の顔に戻すたくや。
麻稀は椅子に座ったたくやを上から見下ろしている。ヒールのついたサンダルを履いた麻稀の身長は優に170cmを超えている。椅子に座ったたくやを威圧するには十二分にすぎる高さである。たくやは下から放心状態に近い形で麻稀を見上げているが、眼は一点を見つめたまま動かない。動かせないのである。表情は軽く微笑んでいるように見えるものの、たくやはそのやや横目に構えた瞳の奥に吸い込まれるような魔力を感じていた。瞳からの魔力は艶然たる輝きを放って、見るものを捉えて決して離さない。それほどの吸引力を持っている。
(さあ、もう逃がさないわよ。…やっと素直におねえさんのいうことを聞くおりこうさんになったかな?名づけて「フェロモン攻撃ーっ!気に入ってもらえたかしら?…聞くまでもないことね。ウフフ…。)
この時点で二人には勝者と敗者、支配者と被支配者の関係が生じたといっていい。たくやは麻稀に仕える奴隷となりつつあった。
この間に、二人の交わした会話はもちろんなく、麻稀はたくやの横で立っていただけである。恐るべきフェロモンの発散量といってよかった。いや、正確には麻稀のたったひとつの何気ないしぐさが、たくやに波状攻撃を加えていたのである。もちろん、麻稀が計算して意識的に用いたもので、「フェロモン攻撃」の一環であるのだが…。
たくやの横に立った麻稀は、腰の前で両手に抱えていたブリーフケースを片手に持ち替えて身体の脇に寄せた。無防備となったタイトミニ。
そして、「あら?」と独り言のようにつぶやいて、片手でタイトミニのスリットの端を指で摘み上げると、もう片方の手でゴミを払う仕草を2、3度繰返したのである。ただでさえ眩しいほどあらわになった太腿が露出度を増して、さらにストッキングの切れ込みが見え隠れする。チラリズムを刺激する極上のテクニック。
この瞬間、麻稀はたくやの視線の動きを見逃さなかった。

※2つぎの3つのうちから、適切なものを1つ選びなさい
@(みーたーなーっ(あみだばばあ口調で)…。)
A(ちょっとだけよ…ウッフーン。あんたもすきねぇ(加藤茶口調で)…。)
B(やっぱり、かかったわね。はい、おしまい。この続きは、・お・あ・と・の・お・た・の・し・み・!ね、スケベボウヤ…ウフッ)

完全にたくやは麻稀の術中にはまった。かすかに香る香水が、最後の抵抗勢力を一掃するかのように攻撃を援護する。たくやはこのときすでに身動きできなくなるような全身を包み込むやわらかな何かを感じていた。
恐るべし!「フェロモン攻撃」

たくやは半ば呆然と口を半開きにした状態で化石のように固まっている。
獲物を捕らえた征服感に満たされた麻稀は小さく舌なめずりした。いや、正確には舌で右の唇の端を軽く舐めた。その仕草はまさに女豹のそれであり、妖艶そのもの、しとめた獲物の料理の仕方に思案をめぐらせていたのである。
(ちょっと、ききすぎたかしら?フフ。でも、まだまだ序の口。フェロモン攻撃はここからが本番よ、覚悟しなさい。)
麻稀は口の中で小さく呟いた。