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Senior Mania -friend's mother-

其の壱

「ごめんなさい!わたるちゃん!」
浮き浮きした気持ちで友人宅のインターホンを鳴らしたわたるを出迎えたのは、密かに憧れる友人の母、みのりの謝罪の言葉だった。
「び、びっくりしたぁ…ど、どうしたんですか?おばさん?」
「すまない、わたる!」
みのりの背後から今度は友人が手を合わせ頭を下げながら現われる。
「ど、どうしたの?二人して……」

夏休みの最初の週末、土曜から月曜にかけて、わたるは友人の家に二泊する計画を立てていた。
名目は勉強会、ここで一気に夏休みの宿題をやってしまおうというのだが勿論そんなのは建前だ。
本音を言えば、夜更かしをして心置きなく仲の良い友人とゲーム三昧としゃれこむ魂胆だったのだ、しかし……
「そ、そうなんだ。明日、おじさんと東京に野球観戦を……それで泊りで出掛けることになったんだ…」
「ごめんね、わたるちゃん。おばさん、わたるちゃんが来るのは次の土曜からだと勘違いしてておじさんにそう伝えていたのよ。だからおじさん、明日行くことにしてもうチケットも準備しちゃったって……それでナイターだから明日は球場近くのホテルに泊ってくるって…」
「俺、今さっき父さんからLINEがくるまで知らなくてさ。サプライズのつもりだったらしい…それで母さんに確認したらわたるちゃんが来るのは来週じゃないの?なんて言うからびっくりして…ホント、ごめんな、わたる」
流石に失望感は隠せないわたるだったが、そんな理由なら仕方がない。
「だ、大丈夫。そんなに謝らないで…よかったね、野球観戦なんて凄いや。あ、で、でも今日は?…」
「今日は計画通りこのまま泊っていってちょうだい。明日の昼過ぎに車で出発する予定だから……それでね、お詫びってわけじゃないんだけど今日は御馳走の準備がしてあるの。わたるちゃんに喜んでもらえるようにおばさん、腕によりを掛けてお夕飯作らせてもらうからね。あと……今夜は少しくらいなら夜更かししても怒ったりしないから……おじさんにもうまく言ってあげる。だからそれで勘弁してね、わたるちゃん」
「え?」
わたるの顔の位置まで屈み込み、視線を合わせてウィンクするみのり。
みのりの言葉にほんの少し違和感を感じつつも、その可愛らしくも大人の色気たっぷりの仕草にバクンと心臓を高鳴らせたわたるだった。

友人の母、みのり。
彼女を初めて見たのは、今年4月の入学式のことだ。
わたるはみのりを見た瞬間、落雷を受けたかのような衝撃が全身に走り、みのりから目が放せなくなってしまった。
何故なら、それほどみのりは美しく、そして何よりもセクシーな女性だったからだ。
170センチを超える長身に、洋服の上からでもそれと分かる巨乳と巨尻。
昨年精通してから毎晩オナニーを欠かさないわたるにとって、そのみのりのプロポーションはあまりに破壊力があり過ぎたのだ。
入学式だというのに人知れず学生ズボンの中で股間を膨らませてしまうほどに。
そして、彼女が同じクラスの生徒の母親だとわかったのは、式を終え教室に入った時のことだった。
スポーツ万能で勉強苦手なクラス一背が高い友人と、運動音痴で成績優秀なクラス一背が低いわたるは、なぜか馬が合い仲良くなった。
この年頃の少年達に欠かすことのできないコミュニケーションツール、ゲーム。
その趣味が似通っていたことが、二人が急速に仲良くなった大きな理由の一つだろう。
そして自然と二人は互いの家を行き来するようになっていったのだ。

(あぁ…おばさん、今日も綺麗だなぁ…それに……やっぱりおっぱいがすごく大きいや…)
夕飯の支度をするみのりを盗み見ながらそんなことを思うわたる。
みのりは今はただ長袖のTシャツにタイトスリムのジーンズといういかにも部屋着らしい格好をしているだけなのだが、それでもその胸の大きさは隠せない。
みのりが動くたびにユサユサと揺れるTシャツの撓みに、わたるはしばし視線を奪われていた。
「わたる君、悪かったね。うちのがどうやら勘違いをしていたみたいで…」
帰宅した友人の父親が謝罪の言葉をかける。
「い、い、いえ、おじさん…二人にも言いましたけど、そんなに謝らないでください。こうして今日はお邪魔してるし……そのうえ、こ、こんなご馳走まで…」
テーブルに所狭しと並べられた料理の数々、中でも目を引いたのは…
「だけどさ、確かに御馳走だけどさ……母さん、真夏にすき焼きってのは如何なものかと…」
そう、友人がぼそりと愚痴を漏らした通り、テーブルの中央にはグツグツと煮えるすき焼き鍋が置かれていたのだ。
「た、確かにな……これは旨そうではあるが…………ちょっと暑苦しいな」
父親も息子に併せて愚痴を漏らす。
そんな二人に何よとばかりに言い返すみのりだ。
「何言ってるの、いつも二人がエアコンの温度を凄く低くしてるから私は寒くて仕方がないの。こんな寒い部屋には鍋が丁度いいのよ。ねぇ、わたるちゃん?」
なるほど、だからみのりは夏だというのに長袖を着ているのかと納得するわたるだった。
「はは、そうですね。確かにちょっと寒いかも…だから僕にも丁度いいかもしれないです。それに僕、すき焼き大好物だし」
「まったく、わたるはいつも母さんには甘いんだから」
「そうよ、わたるちゃんは母さんの見方だもの。ねぇ、わたるちゃん」
みのりに微笑まれ、思わず赤面するわたるだ。
「わかった、わかった、ほら、わたる君が困ってるじゃないか、さぁ、食べよう。確かに真夏のすき焼きもおつなもの…かもしれないからな」
「まったく、あなたったら……まぁ、いいわ、それじゃあっと……いただきま〜す」
こうして真夏のすき焼きに舌鼓を打つ4人だった。

「御馳走様、さぁ、わたる、早速ゲームしようぜ!」
「もう、食べ終わったばかりなのに…少しは休憩しなさい。わたるちゃんが困ってるでしょ」
「あ、だ、大丈夫です…ぼ、僕も早くゲームしたいです」
「ははは、本当に好きだな。あー夜更かしもいいが、明日昼前にはちゃんと起きるんだぞ、昼飯を食べたら出発するからな」
「何言ってるの、気を付けるのはあなたでしょ?日曜日に12時前に起きたことなんてないくせに…」
「あ……あはは……そ、それじゃあ、父さんは、お風呂でも入らせてもらおうかな」
言いながら、そそくさとリビングを後にする友人の父親だ。
「さ、行こうぜ!」
「うん!」

それからしばらくの間、友人の部屋でゲームに興じていると不意にみのりの声が聞こえてきた。
「二人とも〜お風呂に入っちゃいなさ〜い」
「は〜い……わたる、先に入ってくれ、今、ちょっと手が離せないよ」
「はは、確かにね。それじゃあ、先に入らせてもらうね。おばさ〜ん、僕が先に入らせてもらいますー」
「は〜い」
こうしてわたるは風呂に入ることになったのだが、最初の事件はこの時起きた。
それは脱衣所とはいえ他人の家で裸になることを気恥ずかしく感じていたわたるが、なんとかパンツを下ろし無毛の包茎を晒して全裸になった時のことだった。
(ガチャリ…)
「わたるちゃ〜ん、バスタオルはこれを使ってね」
「…………………ぇ?」
不意に脱衣所の扉が開き、バスタオルを手にしたみのりが入ってきたのだ。
突然の出来事に、股間を晒したまま数秒間立ち竦んでしまうわたるだった。
(お、おば…さん?……な、なんで…こ、ここに?……バ、バスタオルって?……あ、そ、そうか…お、お風呂、だもんね……お、お風呂?……ぇ?……ぁっ!…あ、ああっ!ぼ、僕っ、いっ、いま裸だったー−−!!)
「ん?どうしたの?わたるちゃん」
みのりがキョトンとした表情で、全裸のわたるを見つめいている。
「うっ……うわぁっー−!」
「キャッ!」
突然、悲鳴のような声を上げ、股間を両手で覆い隠し身を屈めたわたる。
そのわたるにみのりは驚きの表情だ。
「な、な、何?わたるちゃん、急に大きな声を出して……」
「い、いえ……ご、ご、めんなさい……な、なんでも……なんでもないですぅっ!」
いや、普通、全裸になっているところに他人が…それもみのりのように美しい大人の女性が現われたら誰だって驚くでしょう?
などとは、とても言えないわたる。
ただ股間をしっかりと隠し、身を縮み込まらせているのが精一杯だ。
そんなわたるの様子を暫く見ていたみのりが何やら納得したように呟いた。
「はは〜ん、そうか…まぁ、そうよねぇ……」
「え?な、な、何?おばさん…」
みのりの言葉に、顔だけをみのりに向けるわたる。
そのわたるにみのりはゆっくりと近づいてくる。
わたるには、みのりの顔にどことなく意地悪な微笑みが浮かんでいるように見えた。
「お、おばさん…な、何?…」
股間を両手で覆い隠しお辞儀するように身を縮めているわたるの前まで来ると、みのりは今日最初に出会った時のようにわたるの顔の位置まで屈み込み視線を合わせてきた。
「お、おばさ…」
「大丈夫よ、わたるちゃん」
「え?…な、何が?…」
懐疑的な表情を向けるわたるの耳元にそっと口を近づけるみのり。
そしてみのりは、何事かと思っているわたるに実に衝撃的な言葉を投げかけるのだった。
「おばさん、小っちゃくて良く見えなかったから。わたるちゃんのぉ…可愛らしいお股のぶらぶら……くすっ……だから安心してね。はい、バスタオル」
「!!!」
そう言って、呆然とするわたるの頭を2度3度よしよしと撫で、何事もなかったかのように脱衣所を後にするみのり。
わたるは両手で股間を隠した見っともない姿のまま、しばしみのりが消えた脱衣所の扉を見つめ続けるのだった。

(み、見られちゃった!見られちゃった!見られちゃったよぉー!お、おばさんに…おばさんに…あ、あそこを……ち、ちんちん、見られちゃったよーっ!)
それからのわたるは、終始そんな言葉が頭に渦巻いていた。
お風呂に入ったことも、いつ友人の部屋に戻ったのかも覚えていないくらいだ。
(お、おばさんに見られちゃった……ちんちん、見られちゃった…は、恥ずかしい…よぉ……し、しかも、おばさんったら……ち、小っちゃくて良く見えなかったって…か、可愛らしいぶらぶらって…………うわぁーは、恥ずかしぃ!恥ずかしいよぉ!)
心ここに在らずのわたるは、当然、ゲームなどに集中できはしない。
「なんだよ、わたる。今日は調子悪いなぁ」
「あ、ご、ご、ごめん……そ、そうだね、ちょっとちょ、調子悪いみたい…」
友人と協力してモンスターを倒すゲームだというのに、全然いつも通りの動きが出来ずわたるのせいでミッションを失敗してばかりだ。
「はぁ……でも、もう……2時か。流石に疲れたな。そろそろ寝るか、わたる?」
友人はゲームに、わたるは衝撃的な出来事に気を取られ過ぎて、時間が経つのをすっかり忘れていた。
時計を見れば確かに午前2時を指している、二人の年齢では十分夜更かしと言える時間だ。
「あ、そ、そうだね…も、もうこんな時間だったんだ」
「泊りでやってると時間経つのを忘れちゃうよな、あーあ、本当ならもう一日……ごめんな、わたる」
「ううん、もういいよ。今日だけだって十分楽しかったよ。またいつか…今度は、うちに泊りに来てよ」
「あぁ、約束だぜ。さてと……わたるはリビング横の和室で寝るんだっけ?」
「う、うん……この部屋じゃ狭いでしょって、あそこにおばさんが布団を敷いてくれたから」
「はは、確かにな…それじゃあ、お休みわたる」
「うん、お休み」

友人の部屋を出ると、当然だが辺りはしんと静まり返っている。
(おばさんもおじさんも、もう寝ちゃったよな。できるだけ静かにしなきゃ…)
常夜灯の薄暗いオレンジ色の灯りの中、忍び足でリビング横の和室を目指すわたる。
「っ!!」
その時だ、わたるが思わず小さな身体をビクッと震わせたのは。
何やらキッチンの方にゆらりと揺れる白い影が見えたからだ。
悲鳴こそ押し殺したものの、心臓はあまりの驚きでバクバクと鼓動している。
(な、なに?…なんなの…まさか…お、お化け?…)
なるほど今は夜中の2時、所謂丑三つ時だ。
幽霊に出会うにはもってこいの時間だろう、けれど……
「あれ?わたるちゃん?」
「え?……な、なんだおばさんかぁ……あぁ…び、びっくりしたぁ」
なんのことはない、目を凝らしてよく見ればそれは確かにみのりだった。
みのりは、膝下まで隠れる丈が長めの真っ白いネグリジェを身に着けていた。
間違いなくこれがユラユラ揺れる白い影の正体だろう。
「なんだは酷いんじゃない、わたるちゃん?それに人をまるでお化けみたいに…失礼しちゃうわね」
「あ、ご、ごめんなさい。で、でも…暗い中に白い影が見えて…おばさんたちはもう寝てるだろうから、もしかしたらって…」
「ちょっと目が覚めちゃって喉が渇いたからお水を飲みに来たのよ。でも、随分臆病な子だったのね、わたるちゃんは…うふふ…可愛い。大丈夫よ、この家の中なら何が出ようとおばさんがわたるちゃんを守ってあげるからね」
「そ、そんな…臆病だなんて……ちぇっ…」
憧れの女性にそんなことを言われればわたるで無くてもショックだろう。
思わず口を尖らせたわたるだ。
「ああ、ごめんごめん、別にわたるちゃんを馬鹿にしたわけじゃないのよ、ただ、本当に可愛い子だなって思ったの」
そう思われるのは男としてどうなんだろう、という気もするがみのりに気に入られれていることは素直に嬉しいわたるだった。
「それで、もうゲームはお終いなの?あの子は寝ちゃった?」
「は、はい…もう終わりました。二人とも疲れちゃったんでもう寝ようって」
「そっか、もう夜中だものね。だけど……わたるちゃん、ごめんなさいね、本当なら明日…」
「お、おばさん…も、もう謝らないで…きょ、今日は本当に楽しかったから…それにあんな御馳走までいただいちゃって…こちらこそ申し訳ないくらいです」
わたるの健気な様子に、苦笑いともとれる微笑みを浮かべたみのりだ。
「ありがと、わたるちゃん……さてと、それじゃあ、おばさんも寝ようかな。あ、エアコン止めちゃったけど暑くないかしら?」
「あ、大丈夫です。それに、僕、自分の部屋にはエアコン付いてないんで暑いのには慣れてるから」
「まぁ、そうなの。夜はともかく…昼はどうしてるの?」
「あは…ほとんど下着で過ごしてます」
「パンツ一丁で?」
「は、はい、まぁ…」
自分で言い出したことながら、みのりのパンツ一丁発言に思わず赤面してしまったわたるだ。
けれどみのりは、さらにわたるが赤面してしまうようなことを言う。
「それならこの家でもパンツ一丁でいてもらっていいわよ。もしそれでも暑かったら…スッポンポンでも構わないからね…ふふふ…」
「そそそ、そんなこと……」
スッポンポン…全裸と言われ、わたるの脳裏に脱衣所の一件が蘇る。
みのりに股間を見られたあの恥ずかしい思いまでもが鮮明に。
自覚できるほど顔を火照らせたわたるは、それをみのりに悟られぬようあたふたと話題を変えるのだった。
けれどこれが第二の事件の引き金になってしまうのだ。
「あ、あの…そ、それより、お、おばさん?ぼ、僕も…な、何か飲み物をもらっていいですか?ちょ、ちょっと喉が渇いて…」
「ん?えぇ、勿論、いいわよ。あーそうだ、ペットボトルごとあげるからお部屋に持っていきなさい……えっーと、何があったかなぁ…」
それは、みのりが飲み物を取り出すため冷蔵庫をガチャリと開けた時だった。
薄暗い常夜灯のオレンジ色の世界に冷蔵庫の中から溢れた光が降り注ぐ。
薄暗さに目が慣れていたわたるは、余りの眩しさに一瞬目を瞑る。
そして、ゆっくりと目を開けた時だ。
「!!!…」
わたるはそこに見えた光景に言葉を失った。
なぜならわたるの目の前に、全裸のみのりが現われたからだ。
いや違う、それは冷蔵庫の光が逆光となりネグリジェを透かして現われたみのりのボディラインのシルエットだった。
(お、お、お、おばさん……の……は、裸……ゴクリ)
毎晩オナニーに励む童貞少年は、その黒いシルエットに思わず固唾を飲む。
「えーっと、お水と…緑茶…あとは…」
きっと飲み物は冷蔵庫の下方に置いてあるのだろう。
みのりはわたると話をする時のように、若干屈み込んだ姿勢で冷蔵庫の中を物色している。
そのみのりのシルエットを真横から見つめるわたるの目に、しなやかの腰のライン、滑らかなヒップが何とも悩ましく映り込む。
本当に全裸のみのりを見ているようだ。
いやそれより何より、胸だ、バストだ。
まるでメロンが振ら下がっているかのようなその黒い影の頂点に、ブルーベリー程の大きさの小さく丸いシルエットがハッキリと見て取れるのだ。
(お、おばさん……ブ、ブラジャーしてない!ノ、ノ、ノーブラだなんだ!!)
よく考えれば眠る時にブラジャーを外していることなど当たり前なのだが、童貞少年はその現実に喚起する。
(だ、だけど、もしかしたら……パ、パンティも穿いていないのかも……だって、お尻のシルエット、あんなに滑らかだし…………あ!いけない!)
みのりの全裸と思われるシルエットに興奮を煽られた童貞ペニスがムクムクと体積を増してきた。
わたるが今穿いているのはジャージ生地の短パンだ。
勃起すればそれは簡単にばれてしまうだろう。
けれど流石に、脱衣所の時のよう両手で股間を覆い隠すことなどできはしない。
そんなことをすれば、勃起してますと自分から白状するようなものだ。
だからわたるには、みのりに気付かれぬよう静かにゆっくりと前屈みの姿勢になるくらいしか手立てが無かった。
けれどそんな見っともない姿勢になっても、わたるの視線はみのりの黒い全裸シルエットに釘付けだったのだが。
「あーごめんね、わたるちゃん、今、水と緑茶しかないみたい……どっちがいいかな?」
「………………」
「わたるちゃん?どうしたの?」
「え?…………は、はい、な、な、何ですか?」
みのりの全裸シルエットに見惚れていたわたるがハッと我に帰る。
「何って…飲み物よ。お水とお茶、どっちがいい?……ん?…どうしたの、わたるちゃん?変な格好して」
みのりの目に映ったわたるは、不自然な前傾姿勢に極端なへっぴり腰。
みのりが不思議がるのも当然だった。
「あ、え、え、えっと、これは。そのぉ……あ、そ、そうだ、せ、せ、正座をして、ゲゲ、ゲームをしてたから、あ、足が、し、痺れちゃって…」
「?…さっきまで普通に立ってたのに?」
「そ、それはそのぉ……あ……」
その時、水とお茶のペットボトルを持ったみのりがわたるの方に身体を向けた。
正面から見たみのりの全裸シルエット。
コーラ瓶を思わせる悩ましく縊れた黒いシルエットにまたしてもわたるの視線が釘付けになる。
「?……わたるちゃん、どこ…見てるの?…………あら?…………あ、あぁ…そういうこと…ね…」
それはわたるの視線の在りかに気付いたみのりが、下を向いて自分の身体を一瞥した時だった。
まるでくだらないなぞなぞの答えでも聞いた時のように、みのりの口からはぁと溜息が零れたのだ。
「ほら、わたるちゃん?お水にするの?それともお茶?」
「え?……あ、そ、そ、それじゃあ…お、お水を…」
「お水ね…」
そう言いながら、お茶のペットボトルを冷蔵庫に戻しバタンと扉を閉めるみのり。
無情にも悩ましいみのりの全裸シルエットは消え去り、また薄暗いオレンジ色の世界が二人を包み込む。
そしてみのりは、わたるにゆっくりと近づくといつものように…いや、わたるがへっぴり越しのためいつも以上に屈んでわたるの顔を覗き込んだ。
「はーい、お水」
言いながら右手でペットボトルを差し出すみのり。
「あ、ありが…とう…………え?……お、おば…さん?」
みのりの手からペットボトルを受け取ろうとしたのだが、中々みのりが手を放してくれない。
何事かと思ってみのりを見れば、いつしかみのりはさらにわたるに顔を近づけていた。
その距離わずか20センチほど、みのりの息遣いさえ聞こえる近さだ。
あまりの急接近にわたるはドギマギしてしまう。
「ど、どど、どうしたの……お、おば…………へ?」
不意にみのりの左の掌がわたるの右頬に触れてきたのだ。
そしてまるで赤ちゃんにでもそうするようにそっとスリスリと摩りだす。
「お、おば…さん?……な、なな、なに?」
心臓がバクバクと高鳴るわたる。
みのりのボディラインシルエットにすっかり膨らまされた股間がピクンピクンと打ち震える。
慌てるわたるをよそに、みのりはなおもわたるの頬を摩りながら…
「わたるちゃんは…………お顔はこんなに…女の子みたに可愛らしいのにね…」
そこまで言ってから、さらに顔の距離を縮めていくみのり。
そしてわたるの耳に口を近づけると、いよいよ囁くように呟いた。
「見かけによらず……………………エッチなのね」
「え?……………………はっ?はうぅっ!!」
思いもよらなかったみのりの言葉、しかしわたるが驚かされたのはその言葉だけではなかった。
わたるの頬を摩っていたはずのみのりの左手。
それがいつしか下方に移動し、こともあろうかみのりの全裸シルエットにピンピンに膨らまされたわたる股間をサワリと撫で上げたのだ。
いやそれだけではない、撫で上げ終わる最後の一瞬。
あたかも誤魔化しても無駄よと言わんばかりに、みのりは親指と人差し指でわたるの勃起の先っぽをキュッと摘まみ上げた。
「うひぃっ!!」
突然の出来事に、わたるの口から間抜けな悲鳴が漏れる。
そしてみのりは、何事もなかったかのようにスッと姿勢を戻す。
へっぴり腰のまま顔だけを上げ、みのりの顔を仰ぎ見るわたる。
そのわたるの目に映ったのは、あたかも汚いものでも見ているかのような冷ややかなみのりの表情だった。
少なくともわたるにはそう思えた、そして…
「……厭らしい子ね」
静かにそう呟くと、わたるを一人残しスタスタと寝室に戻ってしまうみのり。
常夜灯の薄暗いオレンジ色の中、無様に股間を膨らませた情けないへっぴり腰の姿勢のまま、しばし身動きが取れなくなってしまったわたるだった。