home>story>

Senior Mania -kindergarten_teacher-

其の漆

「さ、早くしよう、わた君。この格好じゃあ、先生、ちょっと寒いよ」
「う、うん…」
自分よりはるかに年上の大人の女性。そしてその女性が、上半身はいまや下着だけ…ブラジャーだけの姿で、わたるの目の前に座っている。
興奮と緊張とで震える手を、わたるは、先ほどよりも慎重に、ようこのオッパイ伸ばしていく。
白いブラジャーを目指し、そろりそろりと指をゆっくりと伸ばしていく。
そしてついに、中指の先端がようこのオッパイに…ブラジャーから顔を出しているオッパイの上方に微かに触れた。
その時だ。まるで電気が走ったかのような衝撃を受けたのは。
(な、なに…こ、これ…ようこ先生のオ、オ、オッパイ…オッパイが…ゆ、指に吸い付いてくる!)
先ほどとは違った感触だった。
勿論洋服の上から揉んだオッパイも、確かにその感触のよさは声を失うほどだった。
しかし、こうして衣服を脱いだことにより、そのオッパイ自体の感触に加え、しっとりとした肌の感触をも味わうことになったのだ。
その肌の、なんとしっとりした、なんと滑らかなことか。
言葉どころか、息をすることすら忘れたわたる。瞬きもせず、息を潜め、いよいよ両の手のひら全体でようこのオッパイに触れてみる。
(う、うわっ!…う、う、うっわわ…ふわぁ…す、すごい…すごい、すごい…ふわわわわぁ…)
なんだこれは。なんて気持ちのよいものなのだ。
指の先でも感じたことだが、本当にようこのオッパイが手のひらに張り付いてくるようだ。
わたるの手のひらとようこのオッパイ。まるで空気すら入り込む余地など無いと思えるほど、それがピッタリとくっつき合っているのだ。
そして、そのまま撫で回し、揉みこんでみる。
先と同じ心地よい感触が手のひら全体に伝わってくる。
「ふぅ…はぁぁ…はぁはぁ…ふぅ…」
あまりの興奮に息苦しさを覚えるほどだ。
しっとりとした感触、フワフワの感触、パンパンの感触。いろんな感触が、わたるの手を、そして脳までも痺れさせていく。
そんなわたるの様子を、微かな笑みを浮かべながらようこは見守っている。
「どう?わた君」
「はぁはぁ…ふぅ…」
「わた君?先生のオッパイ…どう?」
「はぁはぁ…ふぅ…はぁはぁ…ふぅ…」
「フフ…また、一生懸命になっちゃたのね…しょうの無い子…」
「はぁはぁ…はぁはぁ…はぁはぁ…」
いったんオッパイを揉み始めれば、やはりようこの言葉など耳に入らない。
わたるは、時をわすれ、しばらくの間、思いのままにようこのオッパイの感触を楽しんでいた。
「あ、痛っ」
「え?…」
不意に、ようこの短い悲鳴が聞こえた。と同時に、ビクッとようこの身体が振るえ、揺れ動いた。
「いたた…」
「あ、ご、ごめんなさい…ちゅ、注意してたんだけど…」
また、乱暴にしてしまったのかとわたるは思った。手の動きをピタリと止め、ようこの顔を窺ってみる。
しかし、今度は、どうやらわたるの力加減が原因ではなかったらしい。
「あ、違う違う…別に、わた君が乱暴にしたわけじゃないよ…ただちょっと…」
「え?…ちょっと?」
「ん…これが、わた君の指に引っかかってさ…」
といって、ようこはブラジャーのストラップをクイッっと引っ張った。
「肩のところ…同じ場所で擦れるから、ちょっと痛くなっちゃって」
「あ…それじゃあ、やっぱり僕が…」
「うん…でも、仕方ないよね。どんなに注意しても、ブラジャーに全く触らないわけには…ね?」
「う、うん…ちょっと、む、難しい…です」
「ねぇ、わた君?まだ眠くならない?」
「え?…あ、あぁ…う、うん、まだかな?」
「ってことは、ダメなのかな?やっぱりオッパイ触っても…」
「え…そ、それは…その」
もう、終わりになってしまうのだろうか?せっかくの夢のような機会は、これで終ってしまうのだろうか?悲しいほどの失意の念にかられるわたる。
「どう?わた君…もう、止める?」
「……」
「なに、黙っちゃって?…ね?どうしたい?」
「…う、うん…」
「ん?…どうしたの、わた君?黙ってちゃ、先生、わからないよ」
「…う、うん…」
答えは決まっている。勿論、ようこのオッパイをもっと触っていたいに決まっている。けれどそれは、とても素直に言い出せる内容ではない。
わたるは言葉に詰まった。
そんなわたるの様子に苛立ったのだろう、とうとう、ようこは、少々大きめの声でわたるを叱咤した。
「こぉら。黙ってないで、答えなさい。モジモジしないの!男の子でしょ、わた君は!」
「う…うぅ…」
「どうなの? 男の子なんでしょ? ちゃんと、チンポコぶら下げてるんでしょ?」
「チンポコ」…ようこの発言に、身をピクッと振るわせる。
そして、思いつめた表情をようこに向ける。
なぜだろう、ようこの表情には、うっすらと優しげな微笑が浮かんでいた。
その微笑みに後押しさえるように、勇気を出して、わたるは思いを伝えるため口を開いた。
「あ、あの…あのね…よ、ようこ…先生」
「ん?…どうしたい?わた君」
「あ、あのね…あ、あの…ぼ、僕…僕…」
「僕?…僕が、どうするの?」
「うん、ぼ、僕…も、もう少し…もう少し…さ、触り…たいな…」
「もう少し?…何を?」
「あ、あの…オ、オッパイ…せ、先生のオッパイを…です…」
「ん、わかった。よく言えたね。それでこそチンポコぶら下げた男の子だ。フフ…でもさ、わた君?」
「な、なに?」
「もう少し…で、いいの?…オッ・パ・イ…フフフ…」
ちょっと意地悪そうな笑みを浮かべて、ようこが意味ありげな笑みを浮かべる。
「あ、あの…そ、それは…」
思わず声を失うわたる。
(な、なに?…よ、ようこ先生…ど、どういう意味?…ま、まさか、僕の本当の気持ちを…)
眠くなるか否かの大義名分。そんなものは建前だと、ようこは気がついているのだろうか?
怯えた目でようこを見つめてみる。
すると、ようこは…
「冗談。冗談だよ。わた君。さ、それじゃあ、試験を続けようか。男の子がオッパイで眠くなるかどうかをね」
「う、うん」
自分の気の回しすぎか。これで、また、あの魅惑的な感触を楽しむことができる。わたるは安堵した。
「あ、けど…このままじゃ、先生、ちょっと、痛いから…う〜ん、どうしよっかな?」
右手を顎に当て、考える仕草をするようこ。
脇が自然と閉じられた姿勢になるため、あの白いブラジャーに包まれたようこのオッパイが中央に寄せられることになる。
まるで赤ちゃんのオシリのような、くっきりとした割れ目を形成するようこのオッパイの谷間。
ブラジャーがもう少し小さければ、本当にポロッとオッパイがこぼれ落ちてしまうのではないだろうか?
ようこが試行錯誤している間にも、女性の身体に興味心身なこの性少年は、そんな馬鹿馬鹿しいことを考えてしまう。
数秒後、解決策が見つかったのか、ようこは「うん」と一つ頷くと、再びわたるの顔に視線を戻した。
「うん、それしかないか」
「ど、どうするの?ようこ先生…」
その問いに対するようこの返答。それを聞いたとき、わたるは、色んなことがあった今日の中でも最大の驚きを体験することになる。

ようこは、いつもと変わらぬ優しい笑顔で、まるで当たり前のことを言うように、こう言ったのだ。
「ん…先生、もうブラジャーとっちゃうね」
「………………へ?」
思わず間抜けな返事の仕方をしてしまうわたる。
しかし、そんなわたるをよそに、ようこはあっけらかんと、さも造作も無いことのように言葉を続けた。
「ブラジャーとっちゃえば、先生も痛くないし、わた君も触りやすいでしょ?…オッパイ」
「…え…え?…えぇ!?」
わたるは、口を開き、目を丸くしたまま固まってしまっていた。
ブラジャーを取る。それの意味することは…そう考えて、頭の中がパニックを起こしてしまったのだ。
(ブラジャーを取るの?ようこ先生が…ここで?…ぼ、僕の目の前で?…え?…えぇっ!?)
それは、わたるの心の中の、本当の本当の一番の願望だった。
ようこのオッパイを見たい。
それこそは、先ほどオッパイを揉ませてもらっている時、いや、恐らくはボクたんがオッパイを触っているときから心の奥底にあった本心なのだ。
それが叶うのだ。現実のものとなるのだ。わたるは、息を呑んだ。
「どうしたの?なんか、わた君…鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてるよ…クスクス…おかしなわた君」
そう言いながら、両手を背中に回していくようこ。その一挙手一投足を、瞬きもせず見つめるわたる。
「ん…っしょっと…」
その瞬間、いままでピタリとようこのオッパイに張り付いていたブラジャーに大きなたるみが生じた。
わたるの股間では、魚がかかった時のウキのように、ビクンビクンとペニスが躍動している。
そんなわたるの様子など、ようこは全く気づきもしていなのだろう。
特に悩むでもなく、また恥ずかしがる素振りなど微塵も見せず、いとも簡単に緩んだブラジャーを両腕からスルリと抜き取ってしまった。
そして、わたるの目の前にフサッとブラジャーを落とす。思わず、わたるはそのブラジャーを目で追ってしまう。
床の上に無造作に放り投げられ、淫らに横たわる純白のブラジャー。
その光景だけでも、性に目覚めたばかりの少年の股間を疼かせるには十分な材料だ。
けれど、今見たいのはようこのブラジャーなどではない。わたるが真に見たいものは…そう、ブラジャーが外れたようこ自身のオッパイなのだ。
「ほら、わた君。先生、ブラジャー取っちゃったよ。早く、続きをしよう?」
「う、うん…うん…ゴクッ!」
こうして、興奮に煽られて唾を飲み込むのは今日何回目のことだろうか?
「クスッ…ほぉら、早く、先生のほうを見て…ほら、早く」
意を決し、徐々にようこの上半身に視線を移していく。ゆっくりと、ゆっくりと…
滑らかなお腹の辺りを通り過ぎ、そして、その上方へ…
「!!!!!」
そこに見えた光景に、わたるは目が飛び出てしまうほどの、心臓が爆発してしまうのではないかと思えるほどの衝撃を受けた。

(う…う、うぅ…うわぁ!…ふわわわわぁ!…す、す、すごい…すごい、すごい!…すごいよぉ!)
目の前のようこは、先ほどと同様、両手を後方の床に着き、身体を支えながら横座りをしている。
わたるのことを思い、若干胸を張り、オッパイを前に突き出すような姿勢なのも先ほどと変わりはない。
しかし、先ほどまでとは決定的に違うところがある。
今のようこには…今のようこのオッパイには、わたるの視線を遮るものが何一つ纏わりついていないのだ。
そして、そのもっとも解りやすい違いが、息をするのも辛くなるほどの興奮を、わたるに与えていた。
(オ、オ、オッパ…イ…こ、これが…よ、ようこ先生の…オ、オッパイ…オッパイなの?…)
物心ついてから、初めてこの目で実際に見る大人の女性の乳房。
先ほどブラジャーに覆い隠されていた部分が、全てわたるの目の前にさらけ出されている。
透き通るほど白い肌。大きく豊かな曲線を描き膨らむ、魅惑的なようこの双丘。
そしてその丘の頂点には、ビー玉ほどの大きさの茶褐色の乳首がピンとその存在を誇示している。
(オ、オッパイ…先っぽ…乳首?…うあ…う、うあぁ…な、なんて…なんて綺麗な…)
ドクンドクンと心臓の鼓動が早鐘をつく。それと同じ速さでビクンビクンと股間のペニスが脈を打つ。
それまで写真ですら幾度も見たことが無い、裸の女性の上半身。大人の女性…憧れのようこのオッパイ。
それが、今現実に、わたるの目の前にその姿を現しているのだ。
全てを忘れ、ただそのオッパイに視線を這わすことにだけ意識を集中させてしまうのも、近頃ようやく女の裸に興味を持ち始めたばかりのわたるには無理もない話だろう。
「な〜に、わた君たら…クスクス…オッパイばっかりジッと見ちゃって…フフ…オッパイくらい、ママのでも見たことあるでしょうに」
「はぁはぁ…ふぅ…はぁはぁはぁ…」
ようこのからかいがちな言葉も、今のわたるには全く聞こえていない。それほど、わたるはようこの魅惑のオッパイの虜になってしまっていた。
「ほらほら…そんな見てばかりいたって、仕方が…え?…キャッ…」
オッパイばかり凝視し、中々行動を起さずにいるわたるに、ようこが注意をしようとしたその時だ。
ようこの言葉が終るよりも早く、わたるの両手がようこのオッパイを鷲掴んでいた。
不意のことだったので、ようこは思わず小さな悲鳴をあげた。
「も、もう…急にオッパイに手を出すから、先生、ビックリしちゃったじゃない…って…」
「はぁ…ふぅ…はぁはぁ…はぅぅぅぅ…」
後ろに回した両手で身体を支え、なんとか倒れるのは免れたようこ。
わたるに文句の一つも言おうとしたのだが、その時のわたるの表情を見た瞬間、ようこは恨み言を言うことなど忘れ、つい苦笑いを浮かべてしまっていた。
「クスッ…やれやれ、しょうがないなぁ、わた君は…オッパイを触りだすと、先生の言うことなんか、ちっとも聞いてないんだから」
首をすくめ、ようこは、「ふぅ」と一つ溜息をつく。
わたるは、あまりに真剣な表情で、目前のようこのオッパイに手を出していた。荒く息をしながら、ギラギラと目を血走らせながら。
その真剣な表情が、ようこの口を閉ざさせたのだ。
半ば諦め顔となったようこは、体勢を整えると、わたるが触りやすいように胸を張り、オッパイを差し出してやる。
すると、目の前に餌をぶら下げられた野良犬のように、わたるはようこのオッパイに食いつくように手を出し、揉み回して来る。
そんなわたるの様子が、ようこには可笑しくてならないようだった。

もっとも、ようこのそんな心情など、今のわたるは知りようはずもない。
大人の女、憧れのようこの乳房。白く張りのある大きな膨らみ、そして、初めて生で見る茶褐色のポチッとした小さな膨らみ。
涎を垂らしていないのが不思議なくらい「はぁはぁ」と口で息をしながら、女のオッパイを視姦し、そして手を這い回らせる。
ようこの二つのオッパイの少し下側に両手を差し入れ、少し持ち上げるようにしてみる。
すると、その大きさを示すようなズッシリとした感触がわたるの両手に伝わってくる。
次に、ようこに怒られない程度にギュッと乳房を握ってみる。
すると、指と指の間からオッパイの肉がはみ出してくるのではと思うほど、優しく柔らかくわたるの指を受け止めてくれる。
そして、そのまま最初にようこがしてくれたように、大きく円を描くように手を回してみる。
柔らかなオッパイは少し歪な形に変形するが、張りのある弾力のお陰でプルプルッと震えながら、また再び元の綺麗な乳房の形に姿を変える。
ようこのオッパイ。大人の女性の乳房を、幼い性少年は心から楽しんでいた。
「…はぁはぁ…はぁ…はぁはぁはぁ…ふぅぅぅ…はぁはぁ…」
側から見れば、体調を心配したくなるほどの様子で、わたるはようこのオッパイを触りまくる。
股間など、いつ爆発してもおかしくないほど膨らませた風船のようにパンパンになっているのだが、それにも、その痛みにも本人は気がついていないようだ。
(あぁ…すごい…すごいよう…ようこ先生のオッパイ、すごいよぉ…しっとりとして、柔らかくて…あぁ…気持ち…いい…)
大人の女の乳房を、思い通りに撫で回し、摩り、そして揉み込む少年。
その感触は、まさに病みつきなりそうなほどとても心地よい。
(あぁ…こ、こんなに…こんなに触り心地がいいモノがこの世にあるなんて…あぁ…で、でも…こ、これは…これはどうなんだろう?…)
すき放題にようこのオッパイを弄り回していたわたるが、ある一点を見つめ、しばしその動きをパタリと止めた。
(これ…せ、先生の…ようこの先生のオッパイの…先っぽ…ち、乳首って…触ったらどんな感じなんだろう?…)
わたるの目は、茶褐色のポッチリとした乳首を捕らえていた。
子供の…他の女性の乳房など、写真ですら少ししか見たこともないわたるが言うのもおかしいが、ようこのそれはとても美しいものに見えた。
周りの肌よりも大分色づいたそれ。けれど少しも汚い色ではなく、ようこの白く大きな乳房にとてもよく調和した色合いのように思える。
大きさもまた、程よい大きさだ。大きくもなく、小さくもなく。
もしかすると、ようこの白い双丘に最もバランスのいい大きさの乳首を神様が選んでくれたのではないかと思えるほど見事にマッチしている。
(こ、これも…これも…触っていいかな?…さ、触って…みたいな…)
ようこのオッパイの乳首を見ているうちに、わたるはそれをどうしても触ってみたくなってしまった。
しかし、何故だろう、なんとなくそれを触るのは躊躇われたのだ。
見た感じでは、オッパイほどの柔らかさは無いように思える。
それに、さっき、ボクたんがようこのオッパイを触っていた時の、あのようこの言葉。
『 い、痛いよボクたん…先っぽ…そんなに力入れて摘まないで 』
きっと、触られるととても痛いんじゃないだろうか。そう思えば、中々手を出すこことができない。
(け、けど…さ、触ってみたい…オ、オッパイを触るなんて…大人の女の人のオッパイを触れるなんて…こんなチャンスめったに…っていうか、もう絶対無いし…)
触ってみるか、触るまいか。わたるの心の中で葛藤が起きる。
けれど、この年頃としてはオクテなくせに、少々スケベな少年は、結局、自分にとって最も都合のよい結論を出す。
(ちょっと…ちょっとだけなら…や、優しく…軽く…なら、いいよね?…ちょっと、ちょっとだけだから…)
そして、ソロソロと右手の人差し指を、ようこの左のオッパイの先っぽ目掛けて近づけていく。
「ん?…どうしたの、わた君…え?…あ!…はぅん」
さっきまで、少々乱暴とも思えるほどの動きでようこの乳房を弄っていた幼い手の動き。
それが、不意に止まったため、ようこはわたるの顔を覗き込もうとした。
その時だ、ようこがわたるの様子をうかがうよりも早く、わたるの人差し指がようこの乳首を捉えていた。
そして、その瞬間、ようこの口から、吐息を吐くような、なにやら苦しげな溜息が漏れていた。
(し、しまった!!…や、や、やっぱり、ようこ先生、先っぽ痛いんだ…ど、ど、どうしよう…お、怒られちゃう!!)
ようこの溜息が聞こえた刹那、わたるは、ピタリと人差し指の…というより、全身の動きをとめた。
1秒、2秒、3秒…しばらくの間石のように身体全体を硬直させたわたる。しかし、ようこの口からは、一向に自分への怒声や罵声は聞こえてこない。
おそるおそる、おっかなびっくり、わたるは視線を上げて行き、ようこの表情をうかがってみる。
するとようこは、特に怒った表情ではなかった。けれど無表情ではない、いつもの笑顔でもない。
強いて言えば、少し拗ねたような表情をしているように思えた。そして…なぜだろう、ようこの両頬が少し赤らんでいるようにも見えたのだ。
「ど、どうしたの…よ、ようこ…あ”でっ!!…あいてててて!!」
いきなりだった。またしても、ようこに頬を抓りあげられてしまったのだ。
わたるは、ようこは怒っていないとすっかりたかをくくっていたので、不意をつかれることになってしまった。
それも、結構痛い。さっきの倍くらいは十分痛い抓り方だ。
オッパイから手を離し、ようこの右手を捕まえる。するとようやく、ようこが頬を離してくれた。
自分の頬を摩るわたる。まだヒリヒリと痛みが残っている。
「もう…わた君のバカ」
「え?…な、なに?…ど、どういうこと?…」
いまだ頬を摩りながら、ようこの顔を見る。すると、ようこは、今度こそプクッと頬を膨らまし少し怒った表情を見せていた。
そして、恨めしげな視線をわたるに送ると、ちょこんとわたるのおでこを小突いたのだ。
「もう…いきなりなんだもん、わた君ったら」
「え?…」
「とぼけないの。いきなり、先っぽ…オッパイの先っぽ触ったでしょ?…や〜ね、もう」
「あ…そ、それは、その…ご、ごめんなさい」
失敗した。やはり、ようこは痛がっていたんだ。自分の不注意を反省し、素直にようこに謝るわたる。
「ご、ごめんなさい…か、軽く触ったつもりだったんだけど…よ、ようこ先生が、その…そんなに痛がるなんて思わなかったから…ご、ごめんなさい」
ところがようこの反応は、わたるが全然想像していなかったものだった。
「え?…痛がる?…私が?…なんで?…」
何故かキョトンした表情になるようこ。
なんで、と聞かれても、わたるにはその理由など解るはずも無い。すっかり、ようこに痛い思いをさせてしまったと思い込んでいたのだから。
「え?…あ、あの…僕が、その…ようこ先生のオッ…あの、先っぽを触ったから…痛かったんじゃないんですか?」
「えぇ?……」
ようこの表情は、今度は少し呆れたそれになった。
目を丸くして、わたるの顔を覗き込む。わたるの真意を確かめようとでも言うのだろうか、ジッとわたるの瞳を見つめている。
「…え、え?…な、なに?…」
大人の女性に不意に顔を近づけられ、自分の顔をマジマジと見つめられれば、いくら子供のわたるだとて思わず赤面してしまう。
ドキドキと心臓の鼓動が早くなる。
「な、な、なんですか?…よ、ようこ先生…ど、どうした…の?…」
しどろもどろになるわたる。
そんなわたるを、ようこは暫くの間、観察していたのだが…
「プッーーーッ!…ププッ…ククク…クスクスクス…フフッ…アハッ!…アッハッハッハッハ…」
急に吹き出したかと思うと、ようこは、ボクたんが寝ているにもかかわらず大笑いをし始めたのだ。
「あぷっ…ひどい、ようこ先生…唾が…あ、あ…だめだよ先生、そんな大きな声出しちゃ。ボクたんが…」
「プッ…ククククク…う〜おかしい。あ、そ、そうだね…ボクたんが…で、でも…クククク…あ、だめ、あんまりおかしくて…クックククク…」
なんとか、声を出すのは我慢しているが、中々ようこは笑いを抑えることができないようだった。
オッパイ丸出しのまま笑い転げるようこ。
顔にかかった少量のようこの唾を手の甲で拭いながら、わたるは、そんなようこをただ呆然と見守っていた。