メモ | アスチルベ属の解説は、こちらをご覧下さい。
園芸上、アスチルベと呼ばれているのはこの A. × arendsii(アレンジー種)で、種形容語(種小名)の由来になっているドイツのゲオルグ・アレンズ(Georg Arends)によって育成され、1908年に発表された雑種の系統だそうです。アレンジー種の確立には50年かかったと言われています。育種に関わった原種は、日本原産のアカショウマ、アワモリショウマ、チダケサシ、ヒトツバショウマや、中国原産のオオチダケサシ(花粉親)だそうです。園芸品種として、‘Amethyst(アメジスト)’、‘エリカ’、‘Fire(Feuer、ファイア)’、‘Venus’、他多数があります。ドイツで育成されたためか、ドイツ語らしい園芸品種名が付けられたものもあります。
耐寒性の多年草です。冬の間は、地上部は枯れます。春になって暖かくなると、芽が出ます(写真左下)。開花期は5月〜9月です。 形態と栽培については、属の解説をご覧下さい。草丈は40〜120cm、花色は、白、赤、桃、サーモン、ライラックなどがあります。 鉢植えか花壇に植える他、切り花としての利用もあるそうですが、切り花としては水揚げが悪く、花が落ちやすいという欠点があるそうです。
鉢植えにしたアスチルベを促成栽培して春に開花させるために、生態特性について調べられています。 花序は、休眠する前に形成されるそうです。休眠を打破するためには低温に遭遇させる必要があるそうですが、休眠打破に必要とされる低温遭遇量は品種によって異なるそうです。5℃で低温処理した場合、3週間の低温遭遇では、実験に供試された全ての品種で花序が発達しなかったそうですが、6週間の低温遭遇では、一部の品種で花序が発達するようになったそうです。2℃で低温処理した場合は、3週間の低温遭遇でも開花した品種があったそうです。また、低温遭遇量が長いほど、1株当たりに着く花序の数が増えたり、花序の新鮮重が増えたり、花序の長さが長くなったり、開花までの日数が短くなったりしたそうです。 低温遭遇した後の日長については、9時間日長と14時間日長で比較した場合、統計的に有意な差はほとんどなかったそうですが、14時間日長で、1株当たりの花序数が増えたり、花序の長さが長くなる傾向が認められたそうです。また、14時間日長で、開花までの日数が短縮されるとも言われています。 低温遭遇後に加温する場合の温度については、昼温/夜温が22/18℃が最適で、それより低くても(18/14℃)、高くても(26/22℃)、開花率が低かったそうです。なお、この温度の範囲では、温度が高いほど開花までの日数が短縮されたそうですが、高温では花の発育停止が起きたそうです。また、低温処理中や加温中に乾燥させた場合も、花の発育停止が起こったそうです。
本棚以外の参考文献
Beattie, D. J., et al. Effects of chilling and photoperiod on forcing Astilbe. HortScience. 18: 449-450.
Pemberton, G. H., et al. Floral development of Astilbe × arendsii. Acta Horticulturae. 325: 229-234. 1992.
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