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チューリップ/ダーウィン・ハイブリッド

チューリップ
品種:‘白雪姫’


英名Darwin Hybrids (略号:DH)
メモ

 チューリップの分類では、開花期は中生(これは海外の分類の場合。日本での中生は富山県の平年開花日で4月16日〜25日)とされています(育成されて間もない頃は、晩生のグループに含まれていたそうです)。生育が旺盛で、草丈が高く、花が大きくて光沢があることが特徴だそうです。

 チューリップの園芸品種の多くは T. gesneriana(ゲスネリアナ種) だそうですが、ダーウィン・ハイブリッドは、ゲスネリアナ種のダーウィン系()を種子親、T. fosteriana(フォステリアナ種)やその品種を花粉親として種間交雑させて育成された雑種だそうです。最初に育成されたのは、1941〜1950年頃と、他の分類群と比べて比較的最近のようです。
 交雑親として用いられたフォステリアナ種の主要な品種は、オランダでは、‘Red Emperor’(緋紅色、2倍体)や‘Madame Lefeber’、日本では、‘Purissima’(白花、2倍体)だそうです。このうち、‘Red Emperor’を親とした雑種の花色は、朱赤系や黄色だそうで、‘Purissima’を親とした雑種の花色は、桃、藤、紅、白、覆輪だそうです。

 ダーウィン・ハイブリッドの多くは3倍体であるため不稔性だそうですが、2倍体や4倍体の品種も少ないながらあるそうです。

 写真の‘白雪姫’は、富山県農業技術センター野菜花き試験場で育成された品種で、発表されたのは1980年だったそうですが、交配は1960年に行われたそうです。2倍体だそうです。咲き始めは淡い黄色ですが、日が経つにつれて色が薄く白色に近くなります。

 チューリップの園芸品種の現在の分類法は、ゲスネリアナ種のページに書いてある通りですが、ダーウィン系とは、1980年以前の古い分類法に含まれていたグループ(系)の一つだそうです。名前は、「種の起源」で著名なチャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)に因むそうですが、どのような関連があるのか、分かりませんでした。Flemish Late Tulipというグループの血を引くそうです。光沢と、ビッビドな明るい花色が特徴だったそうで、晩生に分類されていたそうです。1981年に分類法が改訂された際、Cottage TulipMendel Tulip とともに、一重晩咲きグループにまとめられたそうです。

追記(2004.5.9.)
 参考文献に「チューリップが好きになる本」を追加し、‘白雪姫’の解説を少々詳しくしました。


本棚以外の参考文献
  • 萩屋薫.チューリップの種間雑種による育種.育種学最近の進歩.第12集:71〜81ページ.1971年.

  • チューリップが好きになる本.北日本新聞社.1990年.

  • van Scheepen, J. Cultivar groups in the genus Tulipa L. (Liliaceae,). Acta Horticulturae 413: 137-143. 1995.

  • Okazaki, K. Ploidy of progenies in crosses between diploid, triploid and tetraploid in tulip. Acta Horticulturae. 522: 127-133. 2000.

コメント

 球根の植え付けは昨年ですが、いつ植えたのか、記録に残すのを忘れていました。出芽は同年11月中旬、最初の開花は今年の3月末です。無加温の温室内で育てましたが、晴れた日の昼は、出来るだけ低温に当てるべく、屋外に出していました。
 品種名が気に入ったので、通販で購入しました。先述の通り、咲き始めは淡い黄色で、「どこが白なんだろう・・・(--;」と思っていました。徐々に白くなったとは言え、同時期に咲いたチューリップ・プルケラ・アルボカエルレア・オクラータの方が白かったです。(2004.4.24.)

 
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