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チューリップ・プルケラ

チューリップ・プルケラ
var. albocaerulea-oculata


ユリ科チューリップ属
学名正名:Tulipa pulchella (Reg.) Bak.、異名:T. violacea Boiss. et Buhse.
英名 
和名 
別名 
花言葉 
メモ

 チューリップ属の解説は、こちらをご覧下さい。
 原種系に分類されているチューリップで、原産地はトルコです。

 写真は、サカタのタネの通販で買った「チューリップ アルバ コエルレア オクラータ」で、「青いチューリップ」として高値で販売されたことがあったそうです。関連する資料は少ない上に、下記のように資料によって分類やスペルが異なっています。このページでは、「The New RHS Dictionary of Gardening」に従いましたが、これが正しいかどうかは、分かりません。

図鑑など(発行年順)学名、命名者名、分類
最新園芸大辞典T. pulchella Fenzl
Alba caerulea oculata という品種
The New RHS Dictionary of GardeningT. pulchella (Reg.) Bak.
var. albocaerulea-occulata Tuberg.

occulataは、oculataの間違いだと思われます)
チューリップ・鬱金香T. humilis Herb.Alba Coerulea Oculata

 1.種について
 上記の通り、「チューリップ・鬱金香」では、T. humilis(フミリス種)とされています。また、「The New RHS Dictionary of Gardening」では、フミリス種の解説の中で、「T. aucherianaT. pulchella(プルケラ種)、T. violacea は、野生では区別が付けられないことが後になって判明した野生種に付けられた名前である。植物は、これらの‘種’に対応するような栽培に取り入れられた。ガーデン上での重要性故に、ここでは、これらの名前を保留した。」と説明しています。しかし、チューリップ属植物の形態的特徴を解析した Van Raamsdonk氏らの研究により、フミリス種とプルケラ種は別種であることが明らかにされています(下記参考文献の Van Raamsdonk氏の文献は総説のようなもの。氏が実際に行った研究に関する論文は、要約が読めただけで、本文は手に入りませんでした)。
 分子系統学的手法を用いると、また違った結論が得られるかもしれませんが、取り敢えず、このページでは、T. pulchella を正名としました。なお、異名の T. violacea は、Van Raamsdonk氏らの文献に従いました。

2.命名者名
 上記の通り、「最新園芸大辞典」では、「Fenzl」、「The New RHS Dictionary of Gardening」では、「(Reg.) Bak.」で、他に、「園芸植物大事典」では、「(Regel) Fenzl ex Bak.」とされていますが、どれが正しいか分かりませんでした。

3.スペル
 上記の通りです。この他、サカタのタネのカタログ(園芸通信2003年秋)の「アルバ コエルレア オクラータ」をアルファベットで綴ると、「alba coerulea oculata」になると思います。なお、「alba-」と「albo-」は同義語で「白色の」を意味し、「caerulea」と「coerulea」も同義語で「青色の」を意味します。「oculata」は「目のある」を意味します。正しいスペルは、分かりませんでした。

4.園芸品種(cultivar; cv.)か、変種(variety; var.)か
 「最新園芸大辞典」と「チューリップ・鬱金香」(T. humilis ですが)では、園芸品種(‘園芸品種名’=cv. 園芸品種名)とされていますが、「The New RHS Dictionary of Gardening」では、変種とされています。これも、どちらが正しいか、分かりませんでした。
 また、「最新園芸大辞典」では「白色、基部は青色」と説明されていますが、「The New RHS Dictionary of Gardening」では、「花色は白っぽい藤色」と説明されていて、写真の花(花色は純白)と一致しません。この点が、非常に気になります。

 以上、分からないことばかりですが、新しい情報が入り次第、追記したいと思います。以下は、プルケラ種一般の解説です。

 基本種の形態ですが、矮性で花茎は20cmほど、花はカップ状で、花被片の大きさは、長さ3cm、幅1.5cmだそうです。花色は藤色で、基部のブロッチは濃紺で、白く縁取られているそうです。変種の var. albocaerulea-oculata は、花被片は白色で、基部は濃紺です。基本種より開花が早いそうです。


本棚以外の参考文献
  • 木村敬助.チューリップ・鬱金香−歩みと育てた人たち−.チューリップ文庫.農山漁村文化協会.2002年.

  • Van Raamsdonk, L. W. D. et al. The systematics of the genus Tulipa L. Acta Horticulturae. 430: 821-828. 1997.

コメント

 球根の植え付けは昨年の9月上旬、芽が出たのは11月下旬、最初の開花は3月中旬です。無加温の温室内で栽培していましたが、晴れた日は、出来るだけ低温に当てるために、外に出していました。同じ環境で育てたダーウィン・ハイブリッドの‘白雪姫’より、開花が早かったです。
 バラと同じように、チューリップも純粋な青い花を咲かせることはないそうで(バラ、チューリップに限らず、一つの属の中で赤、黄、青の3色の花色が揃う例は多くありません)、そんなことから、花被片の基部だけとは言え、青色のこのチューリップは珍しいと言われているようです。日当たりや、カメラの性能や露出のために、花の青さが、ちょっと薄くなっているかもしれません。更に、ディスプレイによっても色が変わって見えちゃうことがありますから、見たままの色を伝えるのって、なかなか難しいものです。「青いチューリップ」を体験するには、実物を見るのが一番かもしれません。
 私は、サカタのタネの通販(カタログは、「園芸通信」増刊・2003年秋)で購入しましたが、5球で1260円と、同じカタログに載っていた他の園芸品種(6球で750〜850円ほど。一部の新品種や限定品を除く)より高かったです。うちのサイトとリンクさせていただいている「園芸王国パスタイム」のパスタイム安西さんも球根を通販されている(いた?)ようです。(2004.5.9.)

 
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