属名について
上記の由来は、「The New RHS Dictionary of Gardening」、「CRC World Dictionary of PLANT NAMES. Vol. II.」に依ります。「園芸植物大事典」や「最新園芸大辞典」では、「ラテン語のlobulus(小裂片、小浅裂)で、分岐した毛にちなむ」と説明されています。
形態・生態・栽培など
一年草か多年草です。毛が生えているとのことですが、私がスイート・アリッサムの‘スノー・クリスタル’を観察した限りでは、肉眼ではほとんど見分けが付かず、顕微鏡なら見える程度に小さいです。葉は全縁で、縁に切れ込みがありません。小花は総状花序を形成します。果実は長角果、あるいは、短角果だそうです。 Alyssum属と良く似ているそうで、「園芸植物大事典」や「最新園芸大辞典」によると、Lobularia属は、「花色が純白で、分岐した毛がある」点で Alyssum属と違うと説明されています。ただし、花色については、スイート・アリッサムの園芸品種には桃、紫、黄、橙色等のものもあります。 栽培については、スイート・アリッサムのページをご覧下さい。
種類など
種数は上記の通りですが、図鑑などでは、スイート・アリッサム(L. maritima) 以外の種を紹介している資料は見つかりませんでした。参考にした Borgen の論文の摘要には4種について触れられていたので、以下に挙げます。
・L. arabica (Boiss.) Muschler(東地中海、染色体数 x=23)
・L. canariensis (DC.) Borgen(マカロネシア[※]、染色体数 x=11)
・L. libyca (Viv.) Meisn.(南地中海、染色体数 x=11)
・スイート・アリッサム(L. maritima (L.) Desv.;西地中海、染色体数 x=12)
原文では、染色体数は「n=」となっていましたが、ここでは上記のように「x=」とさせていただきました。 上記の種のうち、L. arabica は、L. libyca のゲノムとスイート・アリッサムのゲノムを持つ複二倍体であると考えられているそうです。 この論文については、本文が手に入りませんでしたが(手に入ったとしても相当な量なので読んでいる時間がありませんが)、南地中海の L. libyca と西地中海のスイート・アリッサムが交雑したと考えられている L. arabica が、どうして東地中海に分布しているのか気になるところです。
※マカロネシア(Macaronesia):カナリー諸島、マデイラ諸島、アゾレス諸島等を含む北大西洋東部の地域。
本棚以外の参考文献
Quattrocchi, U. CRC World Dictionary of PLANT NAMES. Vol. II. CRC Press LLC. 2000.
Borgen, L. Lobularia Cruciferae a biosystematic study with special reference to the macaronesian region. Opera Botanica. 91: 1-96. 1987.(摘要のみ参考)
(2003.4.30.)
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