メモ | ロブラリア属の解説は、こちらをご覧下さい。 原産は西地中海だそうです。
多年草ですが、夏の暑さに弱いため、秋播きの一年草として扱うそうです。しかし、春播きも可能だそうです。種子は小さくて好光性なので、覆土は薄くすると良いそうです。発芽の適温は15℃くらいで、播種から1週間も経たないうちに発芽します。日当たりと排水が良いところを好みます。種小名の「maritima(海の、海浜生の)」の通り、海岸地で生じたことから、海浜の環境に強いそうです。多湿によって株が弱ることがあるので、乾燥気味にすると良いと言われているようです。切り戻しすると、花期が長くなるそうです。主に、鉢物や花壇の縁取りに用います。
温室内で、寄生蜂にスイート・アリッサムを餌として与えると、水だけで育てた場合と比較して、Cotesia marginiventris(ハチ目:コマユバチ科、和名不明)は4.8倍長生きし、Diadegma insulare(ハチ目:ヒメバチ科、和名不明)は12.7倍長生きしたそうです。このことから、キャベツ畑にスイート・アリッサムを植えることで、鱗翅目害虫の天敵であるこれらのハチの成虫を長生きさせ、生物的制御を改善することが出来るかもしれないと考察されているようです。 この実験については、検索してヒットした論文の摘要を読んだだけで、本文は入手できなかったので読んでいないのですが、水だけで育てた時は飢死しただけではないかとか、スイート・アリッサム以外の植物ではどうなるのかとか、本当に実用化できるのかとか色々と気になることがあります。
発芽にpH(範囲は4.5〜7.5)がどのような影響を与えるのかについて調査した実験があります。この実験では、培地にろ紙かピートライト(水苔のピートとバーミキュライトを混ぜたもの)を用いていますが、ろ紙では、pH5.6〜7.5で発芽したところ、ピートライトではpH4.5〜7.5と、ろ紙より低いpHでも発芽することが出来たそうです。また、ろ紙でも、ピートライトでも、pHが6.0以上で発芽率が高くなる傾向があったそうです。同じpHでは、ピートライトよりろ紙の方が発芽率が高かったそうです。 調査したpHの範囲が狭かったため最適pHについては不明ですし、ろ紙とピートライトでどうして異なる結果になったのかについては考察されていませんでした。
成長に塩分濃度が与える影響について、調査した範囲内では、乾物重は増加、茎の直径と草丈は影響を受けない、花数は減ると言うことが分かったそうです。このことから、スイート・アリッサムでは栄養成長より生殖成長の方が塩の影響を受けやすいことが示されたそうです。
本棚以外の参考文献
Quattrocchi, U. CRC World Dictionary of PLANT NAMES. Vol. II. CRC Press LLC. 2000.
Johanowicz, D. L., et al. Effects of sweet alyssum flower on the longevity of the parasitoid wasps Cotesia marginiventris (Hymenoptera: Braconidae) and Diadegma insulare (Hymenoptera: Ichneumonidae). Florida Entomologist. 83: 41-47. 2000.(摘要のみ参考)
Shoemaker, C. A., et al. pH affects seed germination of eight bedding plant species. HortScience. 25: 762-764. 1990.
Devitt, D. A., et al. Morphological response of flowering annuals to salinity. Journal of American Society for Horticultural Science. 112: 951-955. 1987.
松田徳一郎監修.リーダーズ英和辞典(初版・第21刷).研究社.1995年.
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