コラム/インターネット論

◎大岡みなみの「HPジャーナリスト」


(1)HPへの反響に感動する

 パソコン素人の僕が、自分のホームページ(HP)を作ってあれこれ情報を流し始めたのは、今から1年半前の1997年9月からだ。お薦めの映画や大好きなアニメ作品を紹介するページや、毎日の生活を気ままに書き綴る「身辺雑記」のページなどを掲載する趣味のHPと、新聞記者やマスメディアの在り方を考えるまじめなHPの、現在2つのサイトを開設・運営している。

 実際にやってみて分かったのは、個人運営のHPというのは「ミニコミ誌」や「同人誌」みたいなものなんだなあ、ということだった。しかもミニコミ誌や同人誌と違って、HPには印刷や製本や発送などの手間はいらない。記事や写真、イラストなどを用意してパソコンで編集さえすれば、あとは紙面をプロバイダーに送るだけである。HP作成ソフトを使えば簡単に情報発信できる。パソコン素人の僕にだってできたのだから、だれにでもできるはずだ。

 しかし、HPを開設して最も驚いて感動したのは、自分が書いた文章に対して読者(訪問者)からの反応がそれなりにあって、さらにその反応が素早いということだった。これには心から感動した。冗談抜きに、新聞や雑誌などに書いた記事よりも反響があったりするのだ。

 もちろん、新聞社には読者からの手紙や電話が毎日数多く寄せられる。でも、よっぽど面白い連載ルポや大きな記事を書いた場合は別にして、実際には記事に対する反応が来るのはほんのわずかなのが現実である。それに比べると、インターネットのHPに掲載した記事への読者からの反響ははるかに多い。

 僕のHPへの訪問者数(アクセス数)は、2つのサイトを合わせても、これまでにたかだか延べ3万5000件程度に過ぎない。それでもこれだけの人数の人たちが僕の文章を読んでくれているというのは心強いし、おまけに長文の意見や感想を電子メールで送ってくれる人が何人もいるのである。これは、HPを作って運営する上で実に励みになる。いやそれよりも「見知らぬ読者から感想のメッセージが届けられる」というのは、ただそれだけでとにかくうれしい。

 この気持ちは、表現しようとする人、何かを伝えようとする人だったら、だれもが感じる共通の思いだろう。僕は新聞記者だから、見ず知らずの読者から自分の書いた記事に対する感想をいただいた経験は何回もあるけれど、それでも読者からの反響はいくらもらっても感激するし励まされる。だから、HPを作ってそうした気持ちを初体験した(している)人の感動はよく分かる。そういう人は数えきれないほどいるはずだ。

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 わずかなお金と時間があれば、だれもが簡単に、瞬時に世界中へ情報発信できる時代になった。インターネットに接続されたHPは、既存のマスコミとは別の大きな力と影響力を持った「もう一つのメディア」になろうとしていると、僕は認識している。

 しかしだからこそ、この新しいメディアには、いろいろと考察・検討しなければならない問題点や矛盾があるのも事実だ。不特定多数の読者に読まれ、公開された空間で情報のキャッチボールができるHPは、社会性を十分に持っている公器でもあるからだ。このコラムで、そんなHPと報道(メディア)の在り方を少しずつ考えていきたいと思う。

初出掲載(「ニフティ・スーパーインターネット」1999年5月号)

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