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NPO法人アークさんのトップページより転載させて頂きました。
2003年1月25日 9:36:47

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動物の殺処分と安楽死
"A Voice for Animals No. 29 SPRING 1998"

「第5回 動物の殺処分と安楽死」
古木 昌代

 アークには、犬や猫を引き取ってほしいと言う電話が毎日7〜8件はかかってきます。しかしアークでは現在その殆どをお断りしています。というより、施設はすでに満杯を通り越して過密状態であり、現状では申し訳ありませんが一般からの受け入れはお断りせざるをえないのです。大半の方がそれぞれに事情があり、最後の望みを託してアークに電話してこられるのはその口調でよくわかります。その方々に引き取れないと告げなければならないことは本当に身を切られる程つらい仕事です。なかには、アークに寄付をしているのにこちらの頼みは聞いてくれないのかとか、アークを保健所の出張所とでも考えているのか、引き取りはあんたらの義務だろう、と怒鳴られることもあり、アークが断ったらこの動物達は一体どうなるのかと、ただでさえ痛む心に追いうちをかけられ、泣きたくなることもあります。といってもすべての引き取りに応じていれば 日に1頭としても1ヶ月で30頭づつ増える計算となり、残念ながら現在のアークの規模では不可能と言わねばなりません。

 施設によっては無制限に引き取るかわりに、一定期間が過ぎれば安楽死、という所もあります。物事には全て限度があり、毎日何頭もの犬や猫の引き取りを続けていれば、保健所と同じく現在収容中の頭数を何らかの方法で減らす必要が生じて来るのは仕方ありませんが、保健所で恐怖と苦痛の中で殺されるよりはましでしょう。
 生き物には定められた寿命があり 何者も死を免れることは出来ず、同じ死ぬのなら苦しまずに楽な死を迎えたいというのは当然の願いです。しかし、人為的な安楽死に関する考え方には賛否両論があり、この問題は永久に並行線をたどるのではないかと思います。

 人間以外の動物は、ことに犬猫などのペットに関しては「殺処分」という問題があり、動物愛護家の間でも、例えどんな状況であろうと安楽死などもってのほかという考えの人もいれば、ホームレス犬をそのまま放置すればいずれ餓死か交通事故する可能性が高く、また里子に出しても終生幸せな生涯を送れる確約はない。それならいま安楽死してやるほうが動物にとって幸せだ、という考え方など様々です。アークでは、「頭数減らしの為の安楽死」は行っていません。それはアークの理念に反することです。しかし、獣医師が「末期的症状で回復の望みは皆無、ただ苦しみながら死を待つだけ」との診断を下した場合は、アークの最高決定機関である諮問委員会で検討し、やむを得ないと判断した時のみ獣医師に安楽死をお願いしています。「死にゆくものに無用な苦しみを与えない」(日本の武士道に於ける切腹の介錯もこの精神による作法でしょうか)どの代わりに生きる可能性を多分に持ちながら心無い人間によって死の恐怖に脅かされている他の動物を1匹でも保護してやりたい、アークではこう考えています。

 一般的にイギリスでは安楽死するか否かの判断は獣医師および保護施設の責任者が行うとのことです。イギリスは動物愛護にかけては高いレベルを持つ国ですが、一方では非常に合理的な考えも持っています。王立虐待防止協会(RSPCA)のインスペクター(監督官)F・ミルナー氏によれば、動物に関する法律も細分化されており、人間が動物に肉体的・精神的虐待を加えれば高額な罰金や禁固刑が課され、もし犬が人を噛んだ場合、1回目は不問に付されるが2回目からはその時の事情や原因にもよるが原則として安楽死を宣告されるとのことです。(日本の様に行政による不要犬の殺処分はありません。)

 昔、西部劇で荒野を通行中に足を骨折した馬を岩陰に連れていって射殺するシーンを見たことがあります。その時は何てひどいことをと思いましたが今では、輸送機もトラックも無い時代に灼熱の砂漠の真ん中で動けなくなった馬は飢えと渇きに苦しんだあげく死ぬほかは無く、それが彼等の愛馬精神なのだということが理解できるようになりました。ちなみに、現在の日本でも馬は使役動物として扱われており寿命を全う出来るのはごくわずかで、足や肩の故障などで走れなくなると,大半の馬は車と同じ感覚で「廃馬」にされ、あちこち転売されたあげく、最後は食肉用として生きたまま虐殺場に連れて行かれて、そこで殺され、安楽死すらしてもらえないのが実状です。安楽死(薬殺)すると食用には出来ず、犬や猫の何倍も大きい死体の処理に、莫大な費用がかかるが、馬肉として売れば逆に何がしかのお金になるからです。

 使用不能な馬を終生牧場などで委託飼育して貰うには多額の預託料が必要であるため実行する馬主は少なく、例え不要馬として殺処分されるにしても、安楽死してもらえる馬は非常に恵まれているといえるのです。

 犬や猫はペット(コンパニオンアニマル)として人間にとって最も身近かな存在であり、安楽死絶対反対を唱える人が多いのは当然のことでしょう。しかし保護を必要としている動物の数は余りにも多すぎ、動物愛護家として不特定多数の不幸な境遇にあるペットを保護し良い里親を見つけるのは容易なことではありません。一時的にでも収容出来る数には限度があり、全てを救護してやることは到底不可能です。

 限られた動物だけを終生面倒みてやりそれ以外は見殺しにするか、無制限に引き取って一定期間飼ってやり順番に安楽死していく方がよいのか簡単に結論を出すことは困難です。またこの両方を満たそうとして、自己の能力を考えず無計画に受け入れてその全てを飼い続ければ最後には天理や静岡の事件のように劣悪な状況となるでしょう。

 安楽死などせずに済めば理想ですが、現状ではそれぞれ自分の信念に基づいた方法で保護活動するしかないと思います。ただ、自分の理念と異なる考え方をやみくもに批判し攻撃するのは感心出来ません。人間の考えは千差万別、他人の意見を肯定しなくてもある程度は尊重することも必要ではないかと思います。殊に自分は平気で安楽死させているにもかかわらず、相手を故意に陥しめる為に他人が行う安楽死をことさら避難するというような卑劣な行為だけは真の動物愛護家ならば慎むべきです。

 アークのやり方に対して異を唱える方もあるかと思いますが、アークはアークの理念に従ってこれからも動物の保護活動を続けていきたいと思っています。
※ 今回に限り、アーク諮問委員会に諮り、その承認を得て掲載致しました。



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