二本松アニマルポリス
動物の不妊去勢と尊厳死を考える会)
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updated15/1/26


読売新聞(15年1月24日)より
飼い主女性が事故に!放置犬のうち約60匹安楽死
京都府亀岡市で100匹近い犬を自宅で飼っていた1人暮らしの女性(57)が交通事故で重体になり、放置されていた犬のうち約60匹を大阪府内の動物愛護NPO(非営利組織)のスタッフが安楽死させていたことが、24日までにわかった。引き取り手のあった10匹程度を除く残り約30匹も同じ運命になる可能性がある。
 女性は先月8日、道路脇に停車中、追突されて頭を強く打ち、意識不明で入院した。NPOが世話することになったが、大半は自宅敷地内のプレハブ小屋に押し込められるか、敷地で放し飼いされていて、皮膚病を患うなどして回復の見込みもなかった。
 このため、引き取り手がない犬は、女性の長女の同意を得て安楽死が始まった。週2回、大阪府内の動物病院で5匹ずつ、「せめて人の腕の中で死なせてやりたい」と話すNPOスタッフに抱かれて息を引き取っている。
 女性は4年前から犬を飼い始め、数が増えて近隣住民から苦情が相次いだ。地元の保健所は3年前、女性に注意したが、「飼い方まで指導できない」として飼育実態などは調べていなかった。動物愛護法は、業者に多頭飼育の届け出を義務づけているが、愛玩(あいがん)目的の飼育は対象外。このため、指定区域で10匹以上の犬猫飼育を禁止する条例を制定した鳥取県のケースもある。(読売新聞)
◎リンク ARK(アニマルレフュージ関西へ)



《上のニュースを読んで・・動物の安楽死に関する考察  星野節子》
まず、上のNPOとはARK(アニマルレフュージ関西)のことです。
現状をご存じない方は、安楽死しなくても里親を見つければよいと思うでしょうが、今の日本では動物人口過剰なので、全ての動物に里親を見つけるのは不可能です。不可能だからこそ、行政処分だけでも年43万匹もあるのです。地方によっては仔猫の処分数は数えない所も・・。行政処分以外にも、野たれ死等の様々な不幸な死を遂げている数は量り知れません。有志が全てをレスキューするのは不可能だからこそ処分されているのです。
里親が見つからない動物の全てを愛護団体や個人の家で飼育するだけの維持費を捻出できないのは誰もが解ります。ごく少数の動物しか保護しない《受け入れ頭数に限りのあるシェルター》は、保護した全てに里親を見つけることが可能でしょうが、遺棄動物と出会った時に見過ごすことが出来ずに、必ず全てを保護したり、保護はしたが自分では飼えないという人からも引き取る《全動物受け入れシェルター》は、動物病院による安楽死処置も取り入れなければ保護活動を維持できません。
また、一般の方々は、現に自分では保護できないからこそ、愛護団体を頼っているのですから、愛護団体だけが無制限に助けられるだろうと考えること自体が矛盾しています。
 里親が見つかるまでの間、保護スペースの確保、エサ代、医療費、ワクチン等、誰が出すのですか?安楽死を否定する人が出してくれますか?多頭飼育における動物が受けるストレスやケンカ、感染症、世話をするボランティアが捻出する金銭や、時間の負担等も考えてみてください。単に「安楽死は可哀想」という情緒論だけでは済まない物理的な多くの問題があります。すばらしい理想論を語る方は、是非、口先だけでなく、実践してみてください。できないからこそ、口だけで終わらせているのではありませんか? 多くの方々は家庭の事情や仕事が多忙などをボランティアできない理由として並べますが、私達だけがお金や時間が余っているはずはないのです。(莫大な寄付を集めて、高給を得ている人はその限りではありません)
 また、去勢避妊手術の確約のできない人への譲渡は、かえって処分数を増やす結果となります。現に、福島県においては猫の処分数は増え続けています。
 このような日本の悪状況における里親さがしは《里親争奪戦》です。動物病院による安楽死をする愛護団体があるからこそ安楽死できない人たちへ《里親さんが分配されている》と解釈すべきではありませんか。
「私達は安楽死しない団体よ!全てを助けている!」と言い放つことは、あたかも動物を心から愛しているかのような印象を与えますが、現に、活動エリアを狭い範囲に限定し、受け入れ頭数を制限していること自体が、全てを助けていないことの証。『全てを助けている』は誤認に過ぎず、視野が狭いからこそ誤認をするのです。
「私は一匹も殺さない」とカッコつけて、動物病院へ預けっぱなしで医療費を払わなかったり、他のボランティアさんへ動物を預けっぱなしにしたままの人もいます。このタイプの人は、動物を助けるという建て前のもとで他人へどんなに迷惑をかけてもお構いなしというエゴ。
呆れたことにアメリカの団体の中には「一匹も安楽死しない」と公言し、実は、その団体施設の廊下伝いに行政機関の施設があり、処分対象動物を行政機関へ引取らせているところもあるらしいのです。行政がそれを暴露すれば良いのですが愛護団体のほうが圧倒的な力を持ち、行政へ圧力を掛けている場合にはそうもいなかいでしょう。
アークは「一匹も安楽死しない」と表向きのスタンスを公言して、裏ではJAWS阪神支部に大分お世話になっていたのです。お世話になっていた内容は安楽死です。このようなARKの不誠実さにJAWS阪神支部が怒り、引き取りを断ってからは、ARKも安楽死をせざるを得なくなったのです。
皆さんに冷静に考えて頂きたいことは、「助けたいけれどアパートだから一匹も助けられない」という人が多い中、主婦の集まりである動物福祉団体だけが、無限に引き取って無限に助けられると思いますか?例えばあなたが子猫を5匹保護したとします。飼ってくれる人が簡単に見つかりますか?主婦の集まりである動物福祉団体の周りにだけ、里親候補者が沢山いると思いますか?



●関連ファイル JAWS阪神支部へ敬意と同情
●処分される原因をつくっているのは去勢避妊しない人と、そういう人間を温存する体質。
相談内容別に対処法を紹介