生殖・受粉・受精
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最新の更新:2007年 5月14日
- 自家不和合性(self-incompatibility)
自家不和合性とは、近親交配を避けるために植物が自己・非自己を認識して同一個体や遺伝的に近い個体の花粉で受精しない性質のことです。
雌ずいにおいて自己・非自己が認識されますが、雌ずいは心皮から構成されることから、被子植物で見られる現象です。半数以上の高等植物に備わっていると言われています。種(しゅ;species)に固定した形質であって、科や属が同じであっても自家不和合性であったり、なかったりします。
花の形態(異形、同形)と認識機構の違いから、以下のタイプがあります。
異形花型自家不和合性(heteromorphic self-incompatibility)
同一種(しゅ;species)内で異なる形態の花を着けて、異なる形態の花の花粉でのみ受粉します。
サクラソウ科、タデ科、カタバミ科、他
関連:ソバ
同形花型自家不和合性(homomorphic self-incompatibility)
花の形態に関わらず不和合性です。複対立遺伝子である S遺伝子(S は self-incompatibility[自家不和合性]の頭文字)によって説明できます。
胞子体型と配偶体型がありますが、どちらのタイプであるかは科のレベルで分類することが出来ます。
胞子体型自家不和合性(sporophytic self-incompatibility)
花粉の表現型が、由来する植物体(胞子体)のS遺伝子型によって決まるタイプです。
配偶体型自家不和合性(gametophytic self-incompatibility)
配偶体=花粉自体のS遺伝子によって花粉のS表現型が決まるタイプです。
参考文献
角田重三郎ら.新版植物育種学.文永堂出版.1991年.
日向康吉編著.花・性と生殖の分子生物学.学界出版センター.2001年.
美濃部侑三編.植物・ふしぎな世界[ネオ生物学シリーズ7・ゲノムから見た新しい生物像].共立出版.1996年.(渡辺正夫・鳥山欽哉.受粉と受精の謎:遺伝的な多様性を保つ知恵.25〜36ページ.)
山木昭平編.園芸生理学・分子生物学とバイオテクノロジー.文永堂出版.2007年.(田尾龍太郎.不和合生の機構.90〜102ページ.)
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