このページ内の文章・画像の転載を禁止します


ニーレンベルギア・ヒッポマニカ

ニーレンベルギア・ヒッポマニカニーレンベルギア・ヒッポマニカ
品種:‘Mont Blanc(モンブラン、モンテブランコ)’


ナス科ニーレンベルギア属(アマモドキ属)
学名Nierembergia hippomanica Miers
英名 
和名 
別名 
花言葉 
メモ

 ニーレンベルギア属の解説は、こちらをご覧下さい。
 学名について、「日本花名鑑」と「フローラ」では、N. caerulea が正名で、N. hippomanica がその異名とされています(要するに、N. caeruleaN. hippomanica)。「花卉品種名鑑」では、「N. hippomanicaN. caerulea]」とされ、正名、異名は明記されていませんが、前者が正名、後者が異名のようにされています。「最新園芸大辞典」では、「N. coeruleaN. hippomanica 」としつつ、「ケールレアとヒッポマニカは近似の別種との説もある」と補足説明されています。「園芸植物図譜」では、N. coeruleaN. hippomanica を別種としています。以上のように、図鑑等によって N. hippomanicaN. caerulea の扱いが異なりますが、このサイトでは、「The Plant-book」、「The New RHS Dictionary of Gardening」、「園芸植物大事典」に従いました。この3冊によると、N. caerulea は、N. hippmanica の変種(variety or varietas; var.)の N. hippomanica var. violacea とされています。すなわち、
N. hippomanicaN. caerulea
であって、
N. hippomanica var. violaceaN. caerulea
です。ただし、Savchenko氏らの文献では、N. caerulaN. hippomanica var. violacea が別の植物として扱われていました。今回は、分類に関する文献を見つけることが出来ませんでしたが、関連する資料を見つけ次第、改訂したいと思います。とりあえず、このページでは、基本種(N. hippomanica)と変種(N. h. var. violacea)をまとめて紹介します。なお、種形容語(種小名)が、caerulea の他に、coeruleacaerula が混在していますが、これらは参考文献通りに書いたものであり、私のスペルミスではないことを申し添えておきます。種形容語(種小名)のカタカナ表記は、文献によっては「ケールレア」とされていることがありますが、このサイトでは「園芸植物大事典」に従い、「カエルレア」としました。
 原産地はアルゼンチンです。日本には昭和の初め頃に渡来したと言われています。

ニーレンベルギア・ヒッポマニカ

 耐寒性がある常緑の多年生の草本ですが、園芸上は一年草として扱うことがあります。直立し、草丈は、大きい品種では30cm、矮性の品種では十数cmだそうです。生育の初年は上位の節でよく分枝します。葉は、線状で縁に切れ込みが無く、互生します。花は、茎頂か葉腋に単生します。萼筒の先端は5裂します。花冠は高坏状で、花冠筒部が長く、先端が広がり5裂します。花色は、青系と白があり、花の中心(目)は黄色です。雄しべは5本で、そのうちの1本は仮雄ずいで、他の4本と比べて小さいです。
 変種の N. h. var. violacea は、基本種と比較して、葉が長いという特徴があるそうです。

 品種として、写真の‘モンブラン’の他、‘ブルーアイ’や‘フェアリーブルー’シリーズ(系?)があるそうです。‘Purple Robe(パープルローブ)’は N. h. var. violacea の品種だそうです。

 栽培について、繁殖は実生によります。発芽適温は15〜20℃だそうで、春だけでなく、秋にもタネを播くことが出来ます。日当たりが良い場所を好み、水分が保持され、適度に肥沃な土壌が向いているそうです。花後に軽く切り戻すと良いそうです。

 毒性があり、摂食した場合、下痢、歩行性運動失調症、興奮、心臓の動きが弱まる、呼吸困難、強い痙攣などの症状が現れ、急性の場合は、胃腸の炎症や、脳と髄膜の充血が認められるそうで、死に至ることもあるそうです。原産地のアルゼンチンでは、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ等の家畜の被害が報告されているそうです。これらの症状を引き起こす原因物質として、ピロール-3-カルバミジン(pyrrole-3-carbamidine)が単離されています。

 他に、植物エクジステロイドが含まれているそうです。変種の N. h. var. violacea の葉、茎、根には、20-ヒドロキシエクジソン(20-hydroxyecdysone)とポリポジンB(polypodine B)が主要な成分として含まれていることが確認されています。


本棚以外の参考文献
  • トニー・ロードら著(井口智子ら翻訳).フローラ.産調出版.2005年.

  • Buschi, C. A., et al. Pyrrole-3-carbamidine: A lethal principle from Nierembergia hippomanica. Phytochemistry. 26: 863-865. 1987.

  • Savchenko, T., et al. Ecdysteroid agonist and antagonist activities in species of the Solanaceae. Biochemical Systematics and Ecology. 28: 403-419. 2000.

コメント

 播種は3回行いました。1回目は2004年9月末でしたが、この時に播いたタネは育ちませんでした。その後、遅いかなと思いつつ、同年10月末に播き直したところ、2005年の5月初めに最初の花が開花しました(播種から発芽までの日数は、記録し忘れていました)。10月末に播種したものが貧弱に思えたので、2005年4月初めに3度目の播種を行いました。この時は、約10日後に発芽し、6月中旬に最初の花が咲きました。いずれも、無加温の温室内で栽培しています。現在も、一部の株は枯れずに残っていて、基部の葉腋から新芽が成長してきました。このまま無事に寒さを乗り切って貰いたいです。
 タキイ種苗の通販で購入したものですが、品種名が‘モンテブランコ’になっていました。これはフランス語の「Mont Blanc」で、日本での読み方は「モンブラン」ではないかと思うのですが。(2006.1.29.)

 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します