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ダンギク

ダンギク


シソ科カリオプテリス属(カリガネソウ属)
学名正名:Caryopteris incana (Thunb.) Miq.
異名:C. mastacanthus Schauer、Nepeta incana Thunb.
英名blue spirea, common bluebeard
和名ダンギク(段菊)
別名カリオプテリス、ランギク(蘭菊)
花言葉悩み
メモ

 カリオプテリス属の解説は、こちらをご覧下さい。
 かつてはクマツヅラ科に含まれていたそうですが、現在はシソ科とされています。詳細は、カリオプテリス属の解説をご覧下さい。
 和名のダンギクは、花序が段状に着くことに由来するそうです。
 日本(九州)、中国、朝鮮半島、台湾に自生していると言われています。

 耐寒性がある多年草ですが、低木となることもあるようです。また、園芸上は春播き一年草として扱うことがあるそうです。茎が細かい毛に覆われて白っぽく見えますが、これが種形容語(種小名)の「incana(灰白色の)」の由来となっていると思われます。

ダンギク

葉は有柄で、鋸歯があって先の尖った卵形で対生しています。葉腋に花序が着きます。萼は5裂しています。花冠も5裂していて、下唇の中央の裂片は更に細かく裂けています。花色は青、紫、白があるそうです。雄しべは4本です。異名(C. mastacanthus)の種形容語の意味は調べが付きませんでしたが、もし、仮に「mas(男性の)+acanthus(刺)[t は不明]」だとしたら、雄しべが突出している様子を表したものなのかもしれません。雌しべは1本で、柱頭は2裂しています。

 品種(ここで言う品種は、園芸品種[cultivar; cv. ]ではなく、分類階級で変種[variety or varietas; var. ]の下のランクの品種[forma; f. ])として、シロバナダンギク(f. candida)があるそうです。ただし、シロバナダンギクの分類については、園芸品種(‘Candida’)であるとか、変種(var. candida)であるとかという説があるようです。また、‘Nana’と言う矮性の園芸品種もあるそうです。
 花壇のボーダーや切り花としての利用があります。
 繁殖は実生か株分けによります。播種は3〜5月、株分けは早春に行うと良いそうです。生育適温は10〜25℃で、気温が−5℃以下になると枯死するそうです。日当たりと水捌けの良い土地を好みます。

 8、12、16時間日長条件で栽培した場合、16時間日長では花芽が形成されず、8、12時間日長では開花したことから、質的短日性であると言われています。なお、12時間日長より8時間日長の方が開花するまでの日数が短かったそうです。栄養成長(草丈、乾物重、茎数、茎の直径)に関しては、8時間日長より12時間日長で優れた(高い、重い、多い、太い)そうです。

 中国では民間薬としての利用があり、風邪、月経不順、湿疹、リウマチ痛などに対して薬効が認められていて、「原色和漢薬図鑑」によると漢方では「山荊芥(さんけいがい)」と言う名前が付いているそうです。これらの疾病との関係は分かりませんが、成分として数種類のフェニルプロパノイドグリコシドが含まれていて、ダンギクからは新たにインカノサイド(インカノシド;incanoside)が見つかったそうです。フェニルプロパノイドグリコシドには、フリーラジカル(遊離基。活性酸素のように、不対電子を有するために反応性が高い物質。癌、老化、リウマチ性関節炎など、様々な生化学的障害の病原)を捕捉して安定化させるスカベンジャー(遊離基捕捉剤)としての性質があるそうです。また、転移アビエタン型ジテルペノイドの一種であるインカノン(incanone)も新規に発見されて、インカノンにはヒトの白血病細胞に対して細胞毒性が認められたそうです。

追記(2005.9.20.)
 小花の写真を差し替えました。

追記2(2007.11.12.)
 小花の写真を差し替えました。


本棚以外の参考文献
  • Armitage, A. M., et al. Shade and photoperiod influence Caryopteris incana used as cut flowers. HortScience. 27: 1275-1276. 1992.

  • Gao, J-J. et al. Radical scavenging activity of phenylpropanoid glycosides in Caryopteris incana. Bioscience, Biotechnology and Biochemistry. 63: 983-988. 1999.

  • Gao, J-J. et al. Cytotoxic abietane diterpenoids from Caryopteris incana. Phytochemistry. 44: 759-761. 1997.

  • 今堀和友ら監修.生化学辞典・第3版.東京化学同人.1998年.

  • 村松正実ら編集.分子細胞生物学辞典.東京化学同人.1997年.

コメント

 播種は昨年の4月上旬、発芽は約2週間後、最初の開花は同年の9月中旬です。開花がずいぶん遅いと思っていましたが、改めて調べたら短日性と分かり、納得です。昨年の秋以降、無加温の温室内で栽培していますが、無事に越冬しました。
 昨年の9月20日〜10月3日に花リレーでダンギクを紹介した時に、「名前に「キク」が入っていますが、キク科ではなくて、クマツヅラ科です。」というコメントを載せました。この期間中の9月23・24日に浜名湖花博に行ってきましたが、そこでクマツヅラ科ではなくシソ科とされているのを見て、「え゛っ、間違ったかなぁΣ( ̄□ ̄;」と不安になったものです。先の旅行のページを作っている時に、クマツヅラ科はかつての分類なので必ずしも間違いではないと言うことを知りましたが、さすがに、国際博覧会だけあって、情報が早いものだと感心しました。(2005.6.5.)

 
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