クレマチス属の解説は、こちらをご覧下さい。 日本の中部以南(「農業技術体系」によると、秋田以南)、中国、朝鮮に分布しているそうですが、中国では自生していないと言われています。
園芸品種の主要な交配親の一つで、ヨーロッパで育種が行われた際に、八重咲きの原種として用いられたのは‘雪おこし’だと言われています。
| 耐寒性がある多年草です。クレマチス属の分類では、カザグルマ節に含まれます。葉は3〜5枚の小葉から成る複葉で、対生します。小葉には切れ込みがありません。花は茎の先端に単生します。萼片(あるいは、花被片)は8枚ですが、雄しべが弁化して八重咲きになることがあります。萼片の色には、淡紫、濃紫、白があります。八重咲きの花の、基部に近い萼片には葉と中間の形態のものがあったり(左の写真)、萼片と雄しべの中間の形態のものがあったりして、形態的変化の連続性が認められます。 |
「園芸植物図譜」や「最新園芸大辞典」に依ると、以下の変種(variety or varietas; var. )や品種(ここで言う品種は、園芸品種[cultivar; cv. ]ではなく、分類階級で変種の下のランクの品種[forma; f. ])があるそうです。
- カザグルマ(風車; P. patens Morr. et Decne.)
- ヤエカザグルマ(八重風車; var. monstrosa Planch.)
- ユキオコシ(別名:キクザキカザグルマ[菊咲き風車]; f. alba Makino)
- ルリオコシ(別名:フジボタン[藤牡丹]; f. coerulescens Makino)
命名者名を見ての通り、ユキオコシとルリオコシを品種(forma)としたのは、牧野富太郎氏です。しかし、「園芸植物大事典」や、図鑑としては比較的新しい「日本花名鑑」では、ユキオコシを園芸品種(cultivar)として扱っているので(前者は‘ユキオコシ’、後者は‘雪おこし’ですが)、このページでも園芸品種としました。詳しい情報なり最新の研究成果なりを入手出来たら、修正等をしたいと思います。
‘雪おこし’と‘ルリオコシ’は野生種から選抜された品種だそうです。他の園芸品種として‘伊勢カザグルマ’、‘土岐カザグルマ’、‘ミスベイトマン’、‘Fortunei’、‘Standishii’等があるそうです。 ‘伊勢カザグルマ’、‘土岐カザグルマ’、‘ミスベイトマン’を15-merと20-merのプライマーを用いてRAPD分析を行ったところ、これらの品種は近縁で、特に‘土岐カザグルマ’と‘ミスベイトマン’は一つのクレードとしてまとまることが明らかになったそうです。なお、10-merのプライマーを用いてRAPD分析を行った場合と結果が異なったようですが、これは、長いプライマーの方がミスが少ないとされることに依るもののようです。
栽培については、クレマチス属の解説のページをご覧下さい。開花期は春です。花は、前年に発達した側枝の腋芽から発生した新しい側枝に着くので、剪定する際は、切りすぎないように注意する必要があります。また、乾燥に弱いと言われています。
関連する文献が少なかったです。入手可能な文献の中に、維管束走向に関するものがありましたが、個人的に興味がある内容ではなかったので、割愛させて頂きます。
本棚以外の参考文献
細木高志ら.クレマチス属のPAPD分析.園芸学会雑誌第69巻別冊2:419ページ.2000年.
細木高志ら.ロングプライマーを用いた場合のクレマチスのPAPD分析.園芸学会雑誌第70巻別冊1:297ページ.2001年.
塚本洋太郎監修.原色・花卉園芸大事典.養賢堂.1984年.
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