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ユキモチソウ

ユキモチソウユキモチソウ


サトイモ科テンナンショウ属(アリサエマ属)
学名Arisaema sikokianum Franch. et Savat.
英名 
和名ユキモチソウ(雪餅草)
別名カンキソウ
花言葉 
メモ

 テンナンショウ属の解説は、こちらをご覧下さい。
 別名は「原色牧野植物大圖鑑」によります。
 原産地は日本で、四国、近畿地方、三重県に分布しているそうです。

 乱獲のために絶滅する恐れがあり、日本版レッドデータカテゴリーの絶滅危惧II類(絶滅の危険が増大している種)に分類されています。詳細は後述します。

 多年草です。開花期は春です。形態については、テンナンショウ属の解説のページをご覧下さい。ユキモチソウの特徴は次の通りです。地下部は球茎です。3〜5枚の小葉から成る鳥足状の複葉が2枚着いています。各小葉は、先端が尖った楕円形〜長楕円形で、縁には切れ込みがない(全縁)か、歯牙状の鋸歯があります。仏炎苞は、背軸側は紫褐色、向軸側は緑と白のストライプ、筒状部は白色で、形は卵形で、先端は尾状に尖っています。花序は肉穂花序で、先端に着いている付属体は乳棒状です。この付属体の色と形から、「ユキモチソウ」という和名が付いたそうです。付属体を触るとフカフカしていますが、力を入れたら潰れそうな感触があります。雌雄異株で、雄株と雌株があります。テンナンショウ属植物の中には雌雄同株の個体が存在する種があるそうですが、ユキモチソウでは雌雄同株の個体は見つかっていないそうです。

ユキモチソウ雌花序

 左の写真は仏炎苞を取り除いた雌花序で、緑のツブツブは未熟な果実です。果実は漿果で成熟すると赤くなるそうです。中に1〜6個の種子が含まれているそうです。
 種子は嫌光性で、発芽には光を当てないようにする必要があるそうです。発芽のための適温は、15〜25℃くらいで、ベストは20〜25℃だそうです。また、4℃で45日の低温処理したり、ジベレリンを処理することによって、発芽速度を速くすることが出来るそうです。

 生態や栽培については,テンナンショウ属の解説ページをご覧下さい。

 テンナンショウ属の植物は、個体サイズによって雄、雌の性が転換する種が多いそうですが、ユキモチソウもそのような植物の一つです。性別と個体のサイズの関係は、一般には、無性<雄株<雌株だそうです。Kinoshita氏の、偽茎の直径を調べた調査によると、偽茎の直径が10mmまでの株は全て雄株だったそうですが、それ以上で雌株が現れ始め、16mm以上の株は全て雌株だったそうです。また、花茎の長さ(偽茎の葉鞘の頂端から出た部分で、肉穂花序の付け根までの長さ)は、雄株より雌株の方が短かったそうです。これは、調査された日本原産の6種(A. serratum[カントウマムシグサ]= A. japonicum[マムシグサ]なら5種)のテンナンショウ属植物の中でも、ユキモチソウだけに見られた特徴だそうですが、他に、北アメリカ産の A. triphyllum も同じ特徴を持つそうです。
 なお、雌雄異株であるため、一株だけでは種子繁殖することが出来ません。乱獲によって個体数が減少すると自然の中で交配する機会が減り、種子繁殖できなくなることが、ユキモチソウが絶滅に追い込まれている原因の一つとして挙げられます。

 ジベレリン処理がユキモチソウの成長に及ぼす影響について調べた研究があります。この研究によると、ジベレリンを球茎に処理することで、球茎を植え付けてから芽が出るまでの期間が短縮されたそうです。また、ジベレリンの処理量が多いほど芽が出るのが早まったそうです。ジベレリンを処理する時期は、10月より11月の方が成長を促進させる効果があった(芽が出るまでの日数や開花までの日数が短かった)そうです。このことについては球茎の状態が関係し、10月にジベレリン処理をした時は休眠していたのに対して、11月は低温を経過して休眠から覚醒されていたためにジベレリンに対する感受性があったため、と推察されています。
 また、ジベレリン処理によって雌性化が誘導されるとも言われています。


本棚以外の参考文献
  • 牧野富太郎.原色牧野植物大圖鑑.北隆館.1982年.

  • 堀田満.テンナンショウ.世界の植物.2112〜2116ページ.朝日新聞社.1977年

  • 深井誠一ら.ユキモチソウの種子発芽について.園芸学会雑誌.第69巻別冊1:305ページ.2000年.

  • Kinoshita, E. Size-sex relationshop and sexual dimorphism in Japanese Arisaema (Araceae). Ecological Research. 1: 157-171. 1986.

  • 山口聰ら.ジベレリン処理によるユキモチソウの促成開花と雌性化.園芸学会雑誌.第66巻別冊2:598〜599ページ.1997年.

コメント

 球茎の植え付けは昨年の10月末、出芽は今年の4月上旬、5月上旬に葉が綻びるのと同時に付属体が突出し始めました。見頃はそれから2週間ほどです。見頃を過ぎた頃に、付属体にカビが生えてきたので付属体ごと取り除きました。名前だけでなく、カビが生えるところまで、餅と一緒です(^^;。冬の間は無加温の温室内に鉢を置いていました。今は、屋外の日陰に置いています。
 例によって、コレクション入りです。改良園の通販の他、ネット上のオークションでも販売されているのを見かけますが、買った後で絶滅危惧種であることを知って、猛省しています。
 付属体を「棍棒状」と説明している図鑑がありましたが、色と言い、形と言い、乳棒の方がより似ていると思います。Googleでチェックしてみましたけど、乳棒と表現しているのは、web上では、私が初めてかもしれません(笑)(2004.6.12.)

 
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