パンクラティウム属の解説は、こちらをご覧下さい。 「The New RHS Dictionary of Gardening」によると、原産地はスリランカだそうで、種小名(種形容語)の「zeylanicum」も「スリランカの」を意味します。 「最新園芸大辞典」によると、日本には、昭和初年に渡来したそうです。
タキイ種苗のカタログ(「園芸新知識増刊特集号・花ガイド・2003年春」)に「ヒメノカリス・ゼラニカム」として掲載されていたのを見て通販で購入しました。関連する情報は皆無で、詳細不明です。上記の学名の種小名は、カタカナ表記されていた物に、最も近いと思われるものを当てただけですので、間違っている可能性があります。ご了承下さい。そもそも、ヒメノカリス属の性は女性なので、種小名の語尾変化は、「zeylanica」となるはずですが? ヒメノカリス属の解説は、こちらをご覧下さい。
現時点で分かっている、外見の形態的特徴を挙げておきます。ただし、開花に至ったのは1個体だけですし、栽培環境によって異なる点があると思いますので、あまり参考にならないかもしれません。
| 鱗茎 ・大きさ:測定していませんでした。
草丈 ・地際から被膜までは約12cm。
葉 ・長楕円形。長さ14〜17cm。幅1.5〜1.7cm。 ・1枚目は小型で、長さ6cm。幅1cm。 ・鱗茎を植え付けてから開花までに7枚の葉が出葉しました。
花茎 ・2枚目の葉の内側から生えてきました。 ・地際から子房の下部までの長さは約6cm。 ・1本の花径に一つの花が着きます。 |
花 ・上向きです。色は白です。香りはありません。 ・日が経つにつれて花が開いていきました。横長の写真は開花初日、縦長は開花2日目です。 ・花持ちは短く、開花3日目から萎れ始めました。 ・花筒の長さ(子房の先端〜花被片の分かれ目)は約6cm。 ・花の直径(花被片の先端から先端)は約10cm。花被片は6枚で、大きさは、長さ約6cm。幅約5mm。 ・雄蕊は6本。花糸の長さ(被膜の付け根〜葯の基部)は約2.7cm。葯は、長さ約5mm。幅約1mm。 ・花糸と花糸の間には被膜があり、副花冠を形成しています。 ・雌蕊は1本。長さ(子房の先端〜柱頭)は約8.5cm。 ・子房は下位で、長さ約1cm。幅5mm。総苞片に包まれています。 ・子房は三心皮三室で、胎座型は中軸胎座です。種子は多数です。
栽培は基本的にアマリリスに準じると良いようです。6号鉢に2個の鱗茎を植えましたが、鱗茎の頸部は土から出るようにしました。土は、普通の土にバーミキュライトと堆肥を混ぜた物を使いました。赤土は使っていません(ちなみに、他の植物も、このような土で栽培しています)。無加温の温室の日当たりの良いところに置いておきました。そうは言っても、今年は異常気象で、日照不足でしたが。水は、土が乾いたときに与えていました。一時期、多くあげ過ぎていたことがあったかもしれません。肥料は緩効性の固形肥料を1〜2ヶ月に1回、1回につき2つまみほどあげています。開花した株は、今のところ、病害が出ていませんが、アブラムシ対策のため、たまにオルトランを撒いていました。なお、「The New RHS Dictionary of Gardening」によると、温室で栽培する必要があるそうです。
追記(2003.9.29.) 子房のデータを追加しました。ただし、これは、枯れてしまった子房を実体顕微鏡で観察した結果で、生きている試料のものではありません。子房は枯れてしまいましたが、植物体自体は健全に育っています。
追記2(2004.10.11.) 「Flower Oasis」に「パンクラティウム・ゼラニカム」という、非常に良く似た花が載っていました。また、見落としていましたが、「園芸植物大事典」によると、パンクラティウム属の子房は3室であるのに対し、ヒメノカリス属は多室であることから独立した属になったそうです。前述した花の形態の通り、写真の花は3室なので、パンクラティウム属である可能性があります。そこで、このページでは、パンクラティウム・ゼラニカムを正名、ヒメノカリス・ゼラニカムを流通上の名称と改訂しました。また、正名が分かったことで、「The New RHS Dictionary of Gardening」と「最新園芸大辞典」の中に解説を見つけられたので、原産地と渡来について追記しました。
本棚以外の参考文献
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