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クレマチス(園芸品種)

クレマチス
品種:‘ネリー・モーザー(Nelly Moser)’?


キンポウゲ科クレマチス属(センニンソウ属)
学名Clematis sp.
英名 
和名 
別名 
花言葉属の解説参照
メモ

 クレマチス属の解説は、こちらをご覧下さい。
 学名は、「園芸植物図譜」、「花言葉・花贈り」、「園芸植物名の由来」では、「C. hybrida」、「原色園芸植物図鑑」では「C. hybrida grandiflora」とされていました。しかし、「hybrida」と言う種小名(これは属の性が女性の場合。男性なら hybridus、中性なら hybridum)は、一般に交雑種に付けられますが(参照)、クレマチス属には、C. × jackmaniiC. × jouinianaC. × aromatica、その他の交雑種が存在し、これらも hybrida に含まれてしまう可能性があるので、「C. hybrida」という学名を用いるのは妥当ではないと判断しました。もしかしたら、広義には交雑種全てを指すが、狭義には種小名が着いていない園芸品種を指す、と言うことも出来るかもしれませんが、そのようにしている資料は見つかりませんでした。専門家のご意見を伺いたいところです。
 参考までに、このサイトで優先的に採用している「The New RHS Dictionary of Gardening」には、園芸品種は「C. cultivars」と記されており、通常、学名ならイタリック体で表記するところを、ローマン体で表記してありました。おそらく、学名ではないと言うことで区別されているものと思われます。

 園芸品種はヨーロッパで交配されましたが、交配に用いられた原種は、カザグルマ(C. patens Morr. et Decne.、テッセン(C. florida Thunb.)、C. lanuginosa の様な日本や中国の大輪種で、19世紀前半にツンベルクやシーボルトらによってヨーロッパにもたらされたそうです。欧米で育成された園芸品種が日本に導入されたのは、明治・大正時代だそうです。なお、「The New RHS Dictionary of Gardening」によると、園芸品種は交配親(原種)から、以下の6つのグループ(和製の図鑑では、『グループ』ではなく『群』と称されていることがあります)に分類されるそうです。

  • フロリダグループ(Florida group):テッセンを交配親としたグループ

  • ジャックマニーグループ(Jackmanii group):C. × jackmaniiを交配親としたグループ

  • ラヌギノサグループ(Lanuginosa group):C. lanuginosa を交配親としたグループ

  • パテンスグループ(Patens group):カザグルマを交配親としたグループ

  • テキセンシスグループ(Texensis group):ベニバナハンショウヅルを交配親としたグループ

  • ウィティケラグループ(Viticella group):C. viticella を交配親としたグループ

 なお、これらのグループ間でも交雑が進んでいて、分類が困難になっているようです。

 クレマチス属は、花の咲き方が、前年の枝の葉腋に生じるか、新しく生じた枝の先端か葉腋に生じるかで、大別されるそうです(属の解説)。6品種の園芸品種を用いて、季節による温度変化と日長が花成に与える影響について調べた実験があります。これによると、夏は、頂芽では長日条件下で花芽分化するものの、側芽は日長に関わらず高温のために花芽分化が抑制されたそうですが、秋になると、花芽分化部位が頂芽から側芽に移ったそうです。
 また、秋から翌年の春にかけての花成習性により、以下の3つのグループに分類することが出来たそうです。
1)秋の短日下で低温遭遇なしで花芽分化するが、シュートや花の発達には短期間の低温が必要。
2)長期間の低温に遭遇した後に春に新梢が成長し、その新梢に花芽が着く。
3)1と2の中間のタイプで、前年に伸長したシュートに花芽が着くが、花成には冬季の低温を必要とする。
 更に、同一品種が、夏は長日性、秋は短日性、冬は中性(花成に日長が影響しない)を示すこともあったそうです。


本棚以外の参考文献
  • 阿部定夫ら編集.花卉園芸の事典.朝倉書店.1986年.

  • 塚本洋太郎.原色園芸植物図鑑[II]宿根草編1.保育社.1972年.

  • Morita, M. Interrelated effects of temperature and photoperiod on the growth and flowering of Clematis. Journal of the Japanese Society for Horticultural Science. 57: 467-474. 1988.

コメント

 自分で育てたものではありませんが、クレマチス・タングチカを追加したついでです(^^ゞ。
 職場に何品種か放置( ̄▽ ̄ゞしてあるうちの一つで、今年は、この品種ではなかったかもしれませんが、5月半ば過ぎに最初の花が咲きました。数年前に退職された方が育てていたもので、その方がいなくなってからは面倒を見る人がいないようですが、今のところ毎年律儀に花を咲かせています。なお、写真は、2年前に撮影したものです。
 品種名が間違っているかもしれません。白地に赤い筋の入った萼片が8枚ある品種は、他に、‘ドクター・ラッペル’があるようですが、こちらの萼片は‘ネリー・モーザー’より楕円に近い形をしています。(2003.8.4.)

 
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