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リビングストン・デージー

リビングストン・デージー 
リビングストン・デージー・雄しべリビングストン・デージー・雌しべ
雄しべ雌しべ
リビングストン・デージー


ハマミズナ科ドロテアンツス(ドロテアンサス)属
学名正名:Dorotheanthus bellidiformis (Burm. f.) N. E. Br.
異名:D. criniflorus (L) L. f. Schwant.Mesembryanthemum criniflorum L. f.
英名Livingstone daisy
和名リビングストン・デージー
園芸名紅玻璃(べにはり)
別名 
花言葉大成功
メモ

 ドロテアンツス属の解説はこちらをご覧下さい。
 英名の「Livinstone」は、イギリスの探検家であったリビングストンの名前に由来するそうです。また、英名の「daisy」、種小名の「bellidiformis(ヒナギク形の;Bellisヒナギク属の学名)」は、ともにヒナギク(デージー)のことですが、花の形が似ていることに由来するようです。似ているとは言っても、実際にはキク科のデージーと違って、花の中心は雄しべが密集しています(写真中段左)。
 原産は南アフリカのケープ地方です。日本には1935年に渡来したらしいです。

 半耐寒性の一年草で、日本では秋にタネを播きます。覆土をする必要はありません。冬の間は室内で管理すると良いようで、3℃以上に保つと良いらしいですが、私がリビングストン・デージーを育てている無加温の温室は3℃以下になることもあったので、ある程度の低温には耐えられるようです。日当たりが良いところを好み、室内で育てるときも窓際に置くと良いそうです。土は水捌けの良い物を用います。低温と高温に弱いと言われていますが、低温に関しては前述の通りで、具体的にどの程度まで耐えられるのかは分かりません。高温については、栽培適温の最高温度が20℃ほどらしいので、それ以上でなければ、耐えられると思われます。水について、「園芸植物大事典」では、「自生地は雨の多い地帯で、乾燥に弱い」、「農業技術大系花卉編8巻 1・2年草編」では、「乾燥に強く、過湿に弱いので水のやりすぎに注意する」と全く逆のことが書かれています。他に、「Flower Oasis」では、「多湿を嫌う」と説明されてます。私の場合、冬で、それほど乾燥しなかったこともあって、1週間に一度くらいを目安に、表土が乾燥したら水遣りするという一般的な水遣りで栽培していますが、3月上旬の時点でそれで大丈夫です。今後暖かくなったら、水遣りの回数が増えるかもしれません。 4月上旬現在、暖かくなってきて土が乾燥しやすくなってきたので、水遣りの回数が3〜4日に1回と増えました。乾燥しすぎると花が萎れて見た目が悪くなるので、水を切らさないように注意すると良いと思います。

 形態について、草丈は15cmほど、葉は長さ5cmくらいでへら形ですが、中には先端が二又になっている物もあります。茎や葉の裏は透明な突起に覆われています。上段左側の写真の、萼片の裏や花柄に付いている白い粉のような物がその突起ですが、もう少し分かり易い写真が属の解説のページにあるので、そちらもご覧下さい。開花前の蕾(正確には花弁)は薄い透明な膜に覆われています。分かり難いかもしれませんが、左上の写真の萼片に膜が付着しているのがお分かり頂けたら幸いです。花の直径は4〜6cmです。咲き始めて間もない花は、日が射している時のお昼頃に開き、朝や日が沈む頃には閉じます(写真上段左)。雌しべより雄しべの方が早く成熟するそうです(雄ずい先熟)。雌しべは開花してから10日位経つと出てきます(写真中段右)。

 含まれてる色素は、ナデシコ科以外のナデシコ目(中心子目)植物に特徴的なベタレイン系の色素のベタニンだそうです。ベタニンは、ベタニジンにUDP-グルコース由来のグルコースが結合して生成されます。リビングストン・デージーでは、ベタニジンからベタニンが生成される反応を触媒する糖転移酵素(betanidin 5-O-glucosyltransferase; 5-GTbetanidin 6-O-glucosyltransferase; 6-GT)の cDNAがクローニングされたり、アミノ酸の配列が調べられています。この研究によると、5-GT6-GT は、ほぼ同じ基質に反応するそうですが、それにも関わらず、アミノ酸の配列は19%しか一致しなかったそうです。また、リビングストン・デージー以外の植物の糖転移酵素と比較したところ、5-GT6-GTは、それぞれ独自に発達したものであると言うことと、アントシアニンの生合成よりベタシアニンの蓄積の方が進化的に新しいと言うことが推察されたそうです。

追記(2003.3.10.)
 雌しべの写真と説明を追加しました。

追記2(2003.4.5.)
 水遣りについて説明を追加しました。


本棚以外の参考文献
  • 安田 齊.改訂版花の色の謎.東海大学出版会.1986年.

  • Heuer, S., et al. Synthesis of betanin from betanidin and UDP-glucose by a protein preparation from cell suspension cultues of Dorotheanthus bellidiformis (Burm. f.) N. E. Br. Planta. 186: 626-628. 1992.

  • Vogt, T. Subatrate specificity and sequence analysis define a polyphyletic origin of betanidin 5- and 6-O-glucosyltransferase from Dorotheanthus bellidiformis. Planta. 214: 492-495. 2002.

コメント

 播種は昨年の10月上旬、発芽は播種から4日後、最初の開花は先週(2月下旬)の咲き立てホヤホヤです(笑)。無加温の温室内で栽培しています。
 この花が咲いているのを初めて見た時は、思わずハッと息を飲むくらい綺麗に思えました。メセンにハマる人がいると聞いていましたけど、なるほど、納得でした。艶のある花弁の赤とクリーム色(咲き始めは黄色っぽい色でしたが)のコントラストが良いです。タキイ種苗の通販で買ったものですが、花色はミックスらしく、他に黄色やオレンジ色の花も咲かせるようですが、今のところ、写真のようなピンクの花しか咲いていません。(2003.3.4.)

 
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