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エリンギウム・プラヌム

エリンギウム・プラヌムエリンギウム・プラヌム


セリ科 エリンギウム属(ヒゴタイサイコ属)
学名正名:Eryngium planum L.、異名:E. coelureum auct.
英名 
和名マルバノヒゴタイサイコ
別名マツカサアザミ
花言葉 
メモ

 属名は、テオフラストスによって用いられた古名(eyringion)に由来するそうです。
 中央〜南西ヨーロッパ(オーストリア、フランス)原産で、日本には大正初期に渡来したそうです。

 エリンギウム属で、E. planum(以下、プラヌム)の他に比較的多く栽培されているものとして、E. giganteum(以下、ギガンテウム)やE. maritimum(以下、マリティムム。英名:Sea Holly)などがあるそうです。これらは頭状花序や総苞片(花序の基部に付いている苞の一枚一枚のこと)の形で区別できるそうです。具体的には、プラヌムの花序は短円柱状で、6〜9個の総苞片は線状、ギガンテウムの花序は長く円柱状で、広く大きな総苞片は8〜9個で鋸歯がある、マリティムムの花序は球状で、菱形の総苞片は5〜7個で鋸歯がある、だそうです。この同定基準と草丈など他の要素を考慮して、写真のエリンギウムはプラヌムと判断しました。しかし、図鑑によると、青い花が咲くようなので、もしかしたら、プラヌムとは異なる種であるかもしれません。間違っていたら、すみません。
 なお、エリンギウム属の植物は薬効のあるハーブとして用いられているようですが、プラヌムはトランシルバニア地方で百日咳の薬として用いられていること以外は、どの器官がどのように用いられているのかまでは分かりませんでした。一般には、切り花やドライフラワーとして活用されているようです。

 宿根性の多年草です。直根性で、株分けは出来ないことはありませんが難しいので、繁殖は主に実生によります。播種は春(3〜5月頃)に直播きすると良いそうです。定植する場合は、幼苗のうちに行います。日当たりと排水性がよい土地が向いているそうです。土質は特に選びませんが、肥沃な土壌では茂りすぎるので、砂質のやせた土地の方が良く、乾燥気味にすると良いそうです。発芽から開花までに2年目かかると言われているようです。
 遮光が切り花生産量に及ぼす影響について調べた実験では、遮光することによって茎の長さが長くなったものの、収穫数が少なくなったことから、遮光はお勧めできず、十分に日に当てて育てるのが良いと結論されていました。
 花成に影響を及ぼす要因について検討した実験では、花成にかかる時間に幅があるのは、遺伝的な要因ではなく、生理的な要因に起因する可能性があるとのことです。根挿しした株に春化処理(花芽形成の誘導に低温が必要な植物に、人為的に低温を与えて花成の促進を図ること。この場合、2℃で2ヶ月)を行ったところ、開花株率が高くなったそうですが、開花の促進は認められなかったそうです。また、高温処理による脱春化も認められたそうです。ジベレリンは、花成にはほとんど影響を及ぼさなかったそうです。芽の大きさは花成に影響を及ぼし、大きいものでは花成が早くなり、開花率も高くなったことから、花成を誘導する低温に感応する能力は、茎頂分裂組織のサイズ(=芽の大きさ)が関わっていることが示唆された、とのことです。


本棚以外の参考文献
  • Armitage, A. M. Shade affects yield and stem length of field-grown cut-flower species. HortScience. 26: 1174-1176. 1991.

  • Osnat, O. et al. Environmental and physiological factors regulate Eryngium planum flowering. Israel Journal of Plant Sciences. 46: 47-51. 1998. (アブストラクトだけからの引用。オリジナルは手に入りませんでした)

コメント

 開花期は夏で、少々時季はずれですが(^^;。職場で育てているものです。もっとも、私が面倒を見ているものではありませんけど(^^ゞ。植えてから数年が経ってますが、屋外で東北の冬を越すくらいの耐寒性はあるようです。そうは言っても、仙台は比較的暖かいですし、雪も少ないですが。

 異名の最後に、命名者名の代わりにauct.と付いていますが、これは「auctorm(著者の)」の略で、同定を誤ったときに用いられるそうです。初めて知りました(^^ゞ

エリンギウム・プラヌム

 セリ科の多くは散形花序(より正確には、同形複合花序の複散形花序)を形成していますが、エリンギウム・プラヌムの小花は頭状花序を形成し、更に頭状花序は二出集散花序を形成しています(異形複合花序の頭状集散花序)。花序の形態を観察するのには面白い材料ですが、葉に棘があるのが欠点です(^^;
 基部と上部では葉の形が違うそうですが、今の時期は基部の葉は確認できませんでした。花を撮影したのと同じ時期の上部の葉は、左の写真のような形をしています。(2002.10.12.)

 
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