属名は、ラテン語の「gloriosus(光栄の、見事な、立派な)」に由来しますが、花被片が反り返った花の形が美しいことに因むそうです。 原産は熱帯アフリカとアジアです。日本へは明治時代に渡来したと言われていますが、切り花栽培が盛んになったのは、1980年代からだそうです。
グロリオーサ属(Gloriosa L.)は、スペルバ種(G. superba)一種のみの単型属です。かつては、5種(資料によっては6種)が存在するとされていました。しかし、シムプレックス種(G. simplex)、ロスチャイルディアナ種(G. rothschildiana)、アビシニカ種(G. abyssinica)などの種は、現在では、スペルバ種の品種(cultivar)として扱われています。
多年草です。日当たりが良いところを好みます。土は、水はけが良く、肥沃な物が向いています。十分に熟成させた堆肥を混ぜると良いようです。成長期には水をたっぷりと与えますが、2週間に一回くらい、液肥を施します。冬が近づいたら潅水を控え、乾燥させます。耐寒性がなく、最低温度は、8〜10℃くらいに保ち、霜に当たらないように注意します。鉢植えの場合、必要に応じて植え替えをしますが、時期としては早春、また、温度が十分高ければ、冬の終わり頃でも可能だそうです。 増殖は、実生による方法と、塊茎を分割させる方法があります。実生の場合、採種後間もなくは休眠しているため、数カ月経ってから播種しないと発芽しないそうです。また、開花までに3年以上かかるそうです。塊茎の分割による方法では効率が悪く、ウイルスの感染の恐れもあるため、組織培養によって増殖する研究が行われているようです。
| 蔓性で、アサガオと同じように、行燈仕立てにすると良いそうです。また、左の写真のように、葉っぱの先端が細長くなっていて、何かに絡みつくような性質がありました。植物の巻きひげは枝や葉が変形したものですが、グロリオーサの葉っぱも、葉巻きひげの一種だと思われます。とにかく絡みやすいです。葉の先端同士で絡み合ったり、花柄に絡み付いたりします。 |
全草に毒となるアルカロイドが含まれていて、栽培が問題とされたことがあったようです。染色体を倍加させる作用があるコルヒチンが主なアルカロイドの成分で、オリジナルの文献を手に入れることが出来ませんでしたが、参考文献の要約によると、器官別にコルヒチンの含量を調べたところ、種皮に含まれるコルヒチンの量が最も多かったそうです。また、塊茎に含まれるアルカロイドには、ヘビの毒を解毒する作用があり、インドでは民間薬として用いられたそうです。この他に、催淫剤として使用することも出来ると紹介しいている資料もありましたが、毒になるような物は、使用しないに越したことはないでしょう。
追記(2004.8.15.) 花の写真を差し替え、葉の先端の写真を追加しました。
本棚以外の参考文献
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