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デルフィニウム・ヌディカウレ

デルフィニウム・ヌディカウレデルフィニウム・ヌディカウレ
デルフィニウム・ヌディカウレ
品種:‘Laurin


キンポウゲ科デルフィニウム属(オオヒエンソウ属)
学名Delphinium nudicaule Torr. et A. Gray.
英名red larkspur
和名 
別名 
花言葉デルフィニウム属の解説参照
メモ

 デルフィニウム属の解説は、こちらをご覧下さい。
 原産地はカリフォルニアです。
 写真の品種はT&M社の2000年の新品種だそうです。カタログによると、「近年の品種配合の進歩により誕生した」ものだそうで、品種名の読み方は、「ラウリン」なのか「ローリン」なのか、分かりません。

 短命の多年草で、矮性(20〜60cm)です。葉は、茎の上についている物と下の物とで形が違いますが、左下の写真は、茎の下の方に着いている葉です。花は一重咲きです。デルフィニウム属の特徴で、花弁に見える物は萼片で5つあり、そのうちの上側の萼片は後方に伸びる距を持ちます(詳細は、デルフィニウム属の解説をご覧下さい)。花弁は、花の中心部に突出した部分ですが、左上の写真でも、分かりにくいかもしれません。雌ずいは、一つの花に3つあります(右の写真の、中央より左下の緑のもの)。全草に毒性があるので、注意する必要があるそうです。

 春から夏にかけて花を咲かせます。原産地のカリフォルニアでは、春にタネを播けば、その年のうちの開花するそうです。また、タネのカタログに書いてあった説明によると、播種後5ヶ月で開花するそうです。播種は、9月〜4月が適期だそうです(ただし、タネの販売元のイギリスでの場合です)。種子は、予め低温に当てておくと、発芽が促進されるそうです。嫌光性なので、播種の際は覆土します。発芽後の生育に適切な温度は15℃だそうですが、私の経験では、霜に当たらなければ冬を乗り切れるくらいの耐寒性があるようです。灌水は、表土を湿らせる程度が良いようで、水浸しにならないようにします。日当たりの良いところが向いているようです。個人的な感想を言わせていただきますと、秋播きなら、栽培している間は特に気を使うこともなく、丈夫で、比較的簡単に育てられました。

 デルフィニウムの園芸種の赤花育種に利用されている原種です。例えば、オランダのLegro氏が作出し、1960年代に発表した「ユニバーシティー・ハイブリッド(University hybrids)」という交雑種は、このヌディカウレ種(染色体数は、2倍体で2n=16)を種子親、同じく赤い花を咲かせるD. cardinale(カルディナレ種;カリフォルニア原産;2倍体で2n=16)を花粉親として雑種を作り、更に、その雑種をコルヒチンで処理して染色体数を倍加させた個体(4倍体で2n=4x=32)を種子親として、D. elatum(エラツム種;シベリア〜西アジア原産;4倍体で2n=4x=32)の‘Black & White’という品種の花粉を交配させてできた、三系交配の雑種だそうです。ユニバーシティー・ハイブリッドには稔性がないため種子ができません。そのため、育種の材料として使えないことから、近頃、JT植物開発研究所で、同じ交雑の組み合わせで新しい赤花の品種を作っているそうです。

 デルフィニウム属植物の花に含まれている色素はアントシアニンですが、青い花はデルフィニジン、赤い花はペラルゴニジンと、それぞれ異なります。オオヒエンソウD. grandiflorum;グランディフロルム種;シベリア〜中国原産;2倍体で、2n=16)を種子親、ヌディカウレ種を花粉親として交雑してできた個体からは、オオヒエンソウ由来のデルフィニジンは検出されたものの、ヌディカウレ種由来のペラルゴニジンは検出されなかったそうです。このことから、デルフィニジン(青色)を発現する遺伝子は、ペラルゴニジン(赤色)を発現する遺伝子に対して優性であると言われています。なお、交雑してできた個体の花の色は、両親の中間色(紫色)だったそうですが、個体差があり、また、両親に含まれていない色素も含まれていたそうです。

追記(2006.2.19.)
 デルフィニウム属の解説を追加したのに伴い、内容の一部をそちらに移しました。また、細かい修正をしました。


本棚以外の参考文献
  • 加藤紀夫ら.デルフィニウム種間雑種を用いた赤花系品種の育成.日本育種学会第95回講演会要旨.p.295.1999年.

  • Honda, K. et al. Analysis of the flower pigments of some Delphinium species and their interspecifis hybrids produced via ovule culture. Scientia Horticulturae. 82: 125-134. 1999.

コメント

 播種は昨年の10月上旬、発芽はその約2週間後、最初の開花は今年の5月中旬頃です(無加温の温室内で栽培)。開花と言っても、蕾がだんだん赤くなりながら大きく膨らんで、どこから開花と言って良いのか分かりませんでした(^^ゞ。それに、開花したと言っても、今のところ、この株のこの花序だけで、同じ鉢に植えている他の株は、ようやく小さな蕾が目に見えてきた程度しか育っていません。
 現在、5号鉢に3〜4株と、超過密状態で育てています(^^;。鉢にタネを適当に播き、発芽してある程度育った後、いざ間引きしようとしたら、葉っぱが茎に着いているのではなく、土の中から出ていてどこからどこまでが一株なのか分からなくなっていました。面倒くさがって、普段からセルトレイを利用しないで、鉢に直播きしているのが災いしました(^^;
 タネのカタログに「播種してから5ヶ月で開花する」とあったので、昨年は、春播きを試しました。その時は、5月半ばに播種しましたが、発芽までにやはり約2週間かかりました。でも、春播きの方が、秋播きより若干早かったです(正確には、春播き14日、秋播き16日)。その後は、発育不良で枯れてしまいました。昨年の夏は、前半は雨が続いて比較的涼しかったですが、デルフィニウム属の植物はもともと暑さに弱いため、高温・多湿のせいか、それとも播種時期が遅すぎたためにダメになっちゃったのかな?と思います。

 T&Mの通販で買ったタネから育てましたが、値段は、1袋約40粒入り546円(税込み)。ところが、国内某メーカーでは、「デルフィニウム・ヌディコーレ」の名前で、2株1400円 Σ( ̄□ ̄; で通販していました。タネからなら1株約14円のところ、およそ50倍の差があります(^^;。とある情報では、苗を100円で売っている店もあるとも(^^;。やはり、タネから育てるのが、安上がりのようです。(2002.6.1.)

 
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