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スノーフレーク

スノーフレーク


ヒガンバナ科 スノーフレーク属(オオマツユキソウ属、レウコユム属)
学名Leucojum aestivum L.
英名summer sonwflake, Loddon lily
和名オオマツユキソウ(大待雪草)
別名スズランスイセン(鈴蘭水仙)
花言葉
メモ

 属名は、ギリシア語の「leukos(白い)+ion(スミレ)」に由来し、「スミレの香りのする白い花」を意味するそうですが、もともとは、テオフラストスがマッティオラ(Matthiola)属と白い花を咲かせる球根植物に付けた名前だそうです。
 和名は、スノードロップ(和名:マツユキソウ)に似ていて、大きいことから付いたのだと思われますが、スノードロップの一種のGalanthus elwesii Hook. f. にもオオマツユキソウという和名が付いています。また、別名のスズランスイセンは、球根と葉の形がスイセンに似ていて、花の形がスズランに似ていることから付いたようです。
 原産は、オーストリア、ハンガリー、欧州南部です。日本には、1936年(昭和11年)に導入されたそうです。

 スノードロップが属するGalanthus属の近縁だそうですが、スノードロップは単頂花序(花茎の先端に花を一つしか咲かせない)であるのに対して、スノーフレークは散形花序で、一つの花茎に2〜8花(文献によってまちまちなので、ここでは最小と最大を採用しました)を咲かせます。

 もともと水気の多い土地に自生しているようで、過湿には強いそうです。耐寒性の多年生植物で、球根(鱗茎)は、毎年植え替えるより、数年間は植え放しにしておいた方がいいそうです。繁殖は、春の花が終わった後に株分けするか、成熟したタネを播きます。

 栽培する地域や気象の影響があるかもしれませんが、花芽分化は、花が咲き終わった後の5月中旬から始まるそうです。10月中頃には雌ずい形成期、12月には花粉形成期に達し、翌年の3月に開花します。
 花芽分化は、15〜30℃(参考文献の摘要には10〜30℃と書いてありましたが、データを見ると10℃では未分化なので、こうしました)で起こりますが、適温は20〜25℃だそうです。また、その後の花芽の発達も、雌ずい形成期までは20〜25℃が適温だそうです。雌ずい形成期以降、開花に至るまでの適温は10〜15℃に低下するそうです。このため、スノーフレークは、自然条件下では、花芽が分化した年の翌年の早春になってから開花するそうです。
 なお、同属のアキザキスノーフレーク(L. autumnale L.)も、花芽分化はスノーフレークとほぼ同じ時期に起こりますが、その後の花芽の発達や開花の適温が20〜25℃で、かつ成長が速やかに進むので、花芽分化が起きた年の8〜9月に開花するそうです。

 ガランタミンgalanthamine)と言うアルカロイドの一種を含んでいます。薬用として、工業的な規模でガランタミンを化学的に合成するには、現時点(Jörg氏の論文が発表された時点)ではコストがかかるために植物から単離していますが、主にスノーフレークから抽出しているそうです。文献検索して見つかった論文の摘要を斜め読みした程度ですが、ベルギーでは、スノーフレークを組織培養で増殖しようとしたり、栽培するときの土の成分でガランタミンの含量がどのように変わるか、と言ったような研究が行われているみたいです。
 花被片、子房壁、花柄、花茎、葉、鱗茎、根などの各器官にガランタミンの前駆物質を施与すると、子房壁と花柄で前駆物質からガランタミンへの代謝率が高かったそうで、しかも、これまでに調べられたヒガンバナ科植物の中では最も高かったそうです。このことを明らかにした論文はガランタミンの生合成について調べたもので、これらの器官で生合成されたガランタミンがどのように転流するかについては、触れられていませんでした。
 参考までに、ガランタミンとは、その名の通り、最初はスノードロップの一種のGalanthus woronowii Losinsk. から単離されたもので、後になって、ヒガンバナから単離されたリコレミン(lycoremine)と同じ物であることが分かったそうです。他のヒガンバナ科植物にも含まれ、リコリス・オーレアやナツズイセン(Lycoris squamigera Maxim.)にも多く含まれているそうです。抗コリンエステラーゼ活性を示し、重症筋無力症の改善、小児麻痺後遺症に、加工した上で用いたそうです。他にも色々な薬効があり、将来的には抗痴呆薬(アルツハイマー薬)として使えることが期待されているそうです。
 ただし、ヒガンバナ科植物の根は有害な成分も含んでいるので、素人は手を出さないのが無難です。このページを見て実際に使用して何らかの障害が生じたとしても責任はとれません。ご了承下さい。


本棚以外の参考文献
  • 奥田拓男編.天然薬物事典.廣川書店.1981年.

  • 刈米達夫ら.薬用植物分類学.廣川書店.1965年.

  • 森 源治郎ら.Leucojum 属の生育開花習性.園芸学会雑誌.第59巻:815−821.1991年.

  • 森 源治郎ら.Leucojum 属の花芽分化及び発育に及ぼす温度の影響.園芸学会雑誌.第59巻:833−838.1991年.

  • Jörg , E. et al. Biosynthesis of the Amaryllidaceae alkaloid galanthamine. Phytochemistry. 49: 1037-1047. 1998. (イントロダクションと結果の一部のみの引用です)

コメント

 球根の植え付けは9月上旬、出芽は12月末、最初の開花は3月中旬です(無加温の温室内で栽培)。
 この花を初めて意識したのは、「カードキャプターさくら」のイラスト集1巻でした( ̄▽ ̄;。スズランだと思った花が、実は、スノーフレークだという解説を読んで、勉強不足を思い知らされました(^^;。それがきっかけで、自分で育ててみました。実物を見ると、スノーフレークはヒガンバナ科の特徴である子房下位なので、ユリ科で子房上位のスズランとは簡単に区別できますね。もこなあぱぱ先生のイラストも正確に描かれてあります。流石です。興味がある人は確かめてみてはいかがでしょう?(笑)
 スノードロップともよく似た花ですが、花の着き方だけでなく、花の形や、6枚の花被片全てに緑の斑点がある所も違いますね。実物を見ないと分からないことがあるという良い例になりました(^^;。咲き始めは、一本の花茎に一つしか花が咲かなかったので、「もしかしたら、カタログに間違いがあって、スノードロップを買わされたか?」と思ったのですが、その後、花茎が伸びてきて、花が、二つ、三つと咲くようになりました。でも、三つ目の花が咲く頃には最初の花が萎れてしまって、写真のように、三つの花が同時に咲いていることはほとんどありませんでした。(2002.4.6.)

 
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