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ムギワラギク

ヘリクリサム
品種:‘サルタン’混合


キク科 キセロクリサム属(キセロクリスム属)
学名正名:Xerochrysum bracteatum (Venten) Tzvelev
異名:Helichrysum bracteatum (Venten) Andr.
英名strawflower, golden everlasting, yellow paper daisy
和名ムギワラギク(麦藁菊)
別名テイオウカイザイク(帝王貝細工)、ヘリクリサム
花言葉永遠の思い出
メモ

 属名は、ギリシャ語で「xeros(乾燥した)+chrysos(金)」を意味します。また、旧属名の Helichrysum (ヘリクリサム属、ムギワラギク属)は、ギリシャ語の「helios(太陽)」と「chrysos(金)」から成ります。西オーストラリアの乾燥地帯原産です。

 頭状花序の外側にある花びら状のものは総苞(キク科などの花序の基部に密集している苞で、退化している萼の代わりに花を守る役割があります。一つ一つは総苞片と呼ばれています。花ではないので、当然稔性はありません)で、ドライフラワーのようにかさかさしており(このような状態を乾膜質といいます)、実際、ムギワラギクはドライフラワーを作るのに適しているそうです。ムギワラギクの総苞には、ガラスの原料である珪酸が多く含まれているそうです。
 ムギワラギクには、筒状花しかなく、舌状花はありません。花は、両性花と、雌花の二種類があるそうです。タンポポと同じく綿毛のある種子を着けます。

 量的長日性で、日長が長い方が開花までの日数が短く、一定期間内の開花数が多くなります(期間内に開花に到らなかった花序数もカウントすると、節数が多くなる短日で花序数が多くなります)。商業的生産を行うには、日長を16時間、温度を15〜20℃にするのが適した条件だと言われています。原産地が乾燥地帯であるためか、高温多湿や低温に弱いそうです。本来は多年草ですが、日本では一年草として扱われています。

追記(2008.11.17.)
 学名を修正しました。また、これに伴い、これまで「ヘリクリサム」としていた箇所を「ムギワラギク」と修正しました。


本棚以外の参考文献
  • Sharman, K. V. et al. Floral initiation and development in Helipterum roseum (Hook.) Benth. and Helichrysum bracteatum (Vent.) Andrews (Asteraceae). Australian J. Bot. 36: 575-587. 1988.

  • Sharman, K. V. et al. Effects of photoperiod, temperature and plant age on floral initiation and inflorescence quality in the Australian native daisies Helipterum roseum and Helichrysum bracteatum in relation to cut-flower production. J. Hortic. Sci. 64: 351-359. 1989.

コメント

 播種は5月中旬過ぎ、発芽は播種から4日後、開花は9月上旬です。晴れた日には花(総苞)が開いて、夕方や天気の悪い日には花が閉じますが、今年の仙台の夏は天気が悪かったため、咲き始めのうちは花が閉じている日の方が多かったです。
 総苞に触ると麦藁のようにカサカサと心地よい音がします。英名の「strawflower」の「straw」は「麦藁」という意味なので、音のイメージから付いた名前だと思われます。(参考までに、イチゴの英名「strawberry」の「straw」は違う意味です。→フラガリア属のページ)。

 メモにも書いた通り、総苞には珪酸が多く含まれているそうです。ヘリクリサムの話から逸れますが、ムギやコメを始めとしたイネ科植物の葉身中にも珪酸が多く含まれています。大昔の植物に含まれていた珪酸は「プラントオパール(植物珪酸体)」として土中に残っていることがあります。所謂、植物の化石のようなもので、植物の種類によってプラントオパールの形が異なるため、過去にどんな植物が生えていたのかを知ることが出来ます。ヘリクリサムの総苞とイネ科植物に共通して珪酸が含まれていますが、総苞や葉身が硬くカサカサした感触になることに何か関係があるのかもしれませんね。(2001.12.15.)

もう一言(2008.11.17.)
 今年で第10回となる緑花試験が11月9日に行われましたが、ムギワラギクに関する問題が出題されて、解答・解説書に「(学名:Xerochrysum bracteatum)」とありました。改めて D.J. Mabberley 氏の「Mabberley's Plant-Book Third Edition」(2008年)で調べたところ、属名が変わっていたので、修正しました。ちなみに、1997年に発刊された「The Plant-Book Second Edition」には Xerochrysum は記載されていません。
 同じヘリクリサム属のカレープラントと似ていないので、どのような共通点からヘリクリサム属にまとめられているのか不思議に思っていたのですが(調べればいいのですが、そこまで手が回りませんでした)、調べる前に別属になってしまいました( ̄▽ ̄ゞ

 
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