このページ内の文章・画像の転載を禁止します


オジギソウ

オジギソウ果実オジギソウ花
オジギソウ葉


マメ科 ミモザ属(オジギソウ属)
学名Mimosa pudica L.
英名action plant, humble plant, live-and-die, sensitive plant, shame plant, touch-me-not
和名オジギソウ(お辞儀草)
別名ネムリグサ(眠り草)、ミモザ
花言葉感受性、敏感性、羞恥心、無邪気、繊細; humble plant と言う場合は、失望、落胆を意味する
メモ

 属名は、ギリシア語の「mimos(まねの、道化役者の)」に因みます。中国名の含羞草、英名のshame plantは、「恥ずかしがる草」、種小名のpudicusは、「内気な」を意味しています。ブラジル原産で、園芸的には一年草扱いですが、本来は多年草です。
 花を見ると、他のマメ科の花に見られるような特徴が分からなくて、何でマメ科なんだろうと思ってましたが、莢(写真左上段)が出来ると、なるほど、納得です。葉っぱ(左下段)は、二回羽状複葉と呼ばれる形態をしています(参考までに、コスモスの種小名「bipinnatus」は「二回羽状の」を意味します)。

 「オジギソウがなぜお辞儀をするのか」については、古くは紀元前のアレキサンダー大王も興味を持ち、「昆虫記」のファーブルや、「進化論」のダーウィンも観察をしていたそうで、今現在、「お辞儀をする仕組み」については次々と新しい発見がされているようです。しかし、「どうしてお辞儀をする性質を獲得するに到ったか」とか、「何のために葉を閉じるのか」ということについては、放熱を抑えて低温から身を守るとか、必要以上に水分が蒸発するのを防ぐといったような説があるものの、解明されていません。

 オジギソウの葉は、触られた時と、夜になった時に閉じますが、前者の動きは「接触性傾性運動」、後者は「就眠運動」と呼ばれています。小葉の基部、羽片の基部、葉柄の基部には、それぞれ「小葉枕(ようちん)」、「副葉枕」、「主葉枕」と呼ばれる蝶番の役目をしている器官があって、そこの細胞の圧力(膨圧)が低下することで、葉が折れ曲がることが知られています。

 接触性傾性運動の場合、接触刺激が電気信号になって、葉枕に到達します。この活動電位は、1954年に東北大学の柴岡先生が、速度の異なるm波、s波、r波の3種類あることを報告しています。
 到達した電気刺激は、刺激伝達物質(L-リンゴ酸カリウム、trans-アコニット酸マグネシウム、ジメチルアンモニウム塩)に情報が変換されます。これらの物質を単離、構造決定したのは、慶應義塾大の上田先生らのグループです。これらの物質は、接触性傾性運動のみ引き起こすことも分かりました。また、これらの物質の他に、カリウムイオンとマグネシウムイオンが必須であることも明らかにされました
 このようにして伝わった刺激によって、葉枕の細胞に含まれている「アクチン」というタンパク質のチロシン残基が可逆的な脱リン酸化を受けることによって、葉の屈性がコントロールされていることが、近年、上智大学の土屋教授らのグループによって解明されました。

 就眠運動は、活動電位とは無関係で、サーカディアンリズム(概日リズム)に因ります。就眠物質(葉を閉じさせる物質)と覚醒物質(葉を開かせる物質)が関わりますが、これらは各植物種に固有の活性物質で、全ての植物に共通するものではありません。オジギソウの覚醒物質も単離・構造決定されていて(文献を手に入れていないので、ここでは紹介できませんが)、この物質によって、夜でも葉は閉じることなく開いたままにすることが出来るそうです。しかし、その開いた葉に触れると葉が閉じてしまうことから、オジギソウの接触性傾性運動と就眠運動は異なるメカニズムによってコントロールされていると考えられているそうです。

参考文献
上田 実.オジギソウはなぜおじぎする?.化学.54:42−48.1999年
Kameyama, K. et al. Tyrosine phosphorylation in plant bending. Nature 407: 37. 2000
矢崎一史.植物と会話ができる本.KKベストセラーズ・ワニ文庫.1993年.
山村庄亮.オジギソウの“お辞儀物質”を発見.遺伝.51巻12号:7−8.1997年.

コメント

 播種は5月半ば過ぎ、発芽はだいたいその5日後、最初の開花は8月末です。初めてオジギソウを見たのは小学生の時で、盆栽が趣味の今は亡き祖父が育てていました。触ると葉を閉じてしまうのが、子供心に面白くて、よく撫でて遊んでいました。花を見た記憶は、うっすらと残っているような、いないような・・・(^^;。まさか、自分で種蒔きをして育てるなんて、その頃は全く思ってもいませんでした(笑)。気のせいか、祖父が育てたものより大きいような気がしますが、鉢からはみ出して、見た目が悪いです(^^ゞ(全体の写真は、とてもじゃないですが公開できません(汗))。オジギソウにも、仕立て方ってあるんでしょうか?(2001.9.16.)

 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します