属名はギリシア語の「dios(神聖な)」と「pyros(コムギ)」の二語から成ります。
原産は日本ともいわれていますが、氷河時代に一時中国に移動し、再び戻ってきたという説があるようです。現在の品種は、奈良・平安時代に中国から導入された物がもとになっているようです。後述する完全甘ガキは、日本固有の物です。
性分化に特徴があり、同一樹に着生する花器の種類によって 1.雌花のみ着生する、2.雌花と雄花を着生する、3.雌花と雄花と両生花を着生する、の三つのタイプに分けられます。写真の‘平核無’は、1.のタイプで、雄花がありません。カキは、受粉をしないで果実を形成する単為結果をしますが、‘平核無’のように、受粉後に胚の発育が停止して発芽能力のない偽種子を形成する偽単為結果をする品種もあります。
カキには、種子の有無と甘渋の関係から、完全甘ガキ(種子の有無に関係なく樹上で渋が抜ける)、完全渋ガキ(種子の有無に関係なく樹上で渋が抜けない)、不完全甘ガキ(種子が多いと樹上で渋が抜けるが、種子がないと全く渋が抜けず、種子が少ないと種子の周りだけ部分的に渋が抜ける)、不完全渋ガキ(種子が出来ると、種子の極近くだけ脱渋する)の四つのグループに分類できます。このうち、完全甘ガキは日本独特のもので、これに分類される品種に‘富有’、‘次郎’があります。
渋ガキの渋みの成分はお茶と同じタンニン(苦みを呈するポリフェノール)で、カキの果肉には、タンニン細胞が特異的に含まれています。タンニンは可溶性ですが、いわゆる渋抜き(脱渋)をすることで不溶性の物質に変化して、渋みが感じられなくなります。果肉中の褐斑(ゴマ斑)はタンニン細胞で、渋が抜けた徴です。脱渋の方法としては、湯抜き(40〜45℃のお湯に一晩ほどつける)、アルコール脱渋(ポリエチレンの袋に果実を詰めて、焼酎を振りかけて密閉する)、二酸化炭素脱渋(ドライアイスを利用)などがあります。甘ガキでは、成熟の途中でタンニン細胞の発達が停止するため、渋み成分が少なく、タンニンの不溶化が進むために、渋みが感じられません。 |