メモ | ケシ属の解説は、こちらをご覧下さい。 原産地は、シベリア、中国東北部、モンゴルです。日本には大正初年に渡来したそうです。
本来は多年草ですが、日本では秋播き一年草として栽培されています。もう少し詳しいことは、ケシ属のページで解説しています。
主に、切り花として利用されていますが、樹液が切り口を塞いでしまうことから吸水が悪くなり、花持ちはおよそ5日程度と短いようです。このような背景から切り花の鮮度保持について検討した研究があります。この研究では、冬(1月)と春(3、4月)に花を収穫して、切り口を、1)熱湯に浸す(湯あげ)、2)焼く、3)鮮度保持剤を含む熱湯で湯あげする、という処理方法が試されています。花を収穫してから開花するまでの日数は(花がどのような段階で採取されたのかは不明です)、冬に収穫した切り花ではいずれの処理でも未処理より短くなった(開花が早まった)そうですが、春に収穫した切り花ではいずれの処理でも未処理とほとんど変わらなかったそうです。冬と春で比較すると、春に収穫した切り花で、収穫から開花までの日数が平均して1.6日ほど短かった(早く開花した)そうです。また、花持ちは、冬に収穫した切り花ではいずれの処理でも未処理の切り花より長かったそうですが、春では3)の方法で最も花持ちが良かったそうですが、未処理とほとんど変わらず、他の処理では未処理の切り花よりかえって花持ちが悪くなったそうです。なお、花持ちは、冬の切り花は平均約8日、春の切り花は平均約2.4日だったそうです。結論としては、鮮度保持方法としては、冬の切り花には最も簡便な焼く方法が良く、春の切り花にはどんな処理も効果がないとのことです。個人的な感想を言わせていただきますと、鮮度保持処理をしても、未処理と花持ちが余り変わらないようなので、実用性に疑問が残るような気がしないでもないです。
含まれているアルカロイドとして、mecambridine と muramine があるそうですが、これらの薬効については不明でした。そもそも、薬用について触れた資料は見つかりませんでした。 花色には、白、赤、ピンク、黄、オレンジ等があるそうです。赤い花からは、色素としてペラルゴニジンの一種(Pelargonidin 3-malonylsophoroside)の特性が示されています。このことが発表されたのは1981年ですが、マロン酸が結合したアントシアニンの特性が示されたのは、この研究が初めてだったそうです。
追記(2003.7.12.) メモを全文改訂しました。
本棚以外の参考文献
Farina, E. et al. Treatment on cut flowers of Papaver nudicaule L. to improve vase life extension. Acta Horticulturae. 246: 335-338. 1989.
Glasby, J. S. Dictionary of Plants. Containing Secondary Metabolites. Taylar & Francis. 1991.
Cornuz, G. et al. Pelargonidin 3-malonylsophoroside from the red Iceland poppy, Papaver nudicaule. Phytochemistry. 20: 1461-1462. 1981.
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