メモ | 属名はイラクサを意味するギリシア語の「cnide」に由来します。センキュウを漢字で書くと、センは川、キュウは草冠に弓という字ですが、フォントはないようです。中国原産です。
センキュウの根茎を熱湯に浸して乾燥させたものを「川きゅう」と呼び、薬用に利用します。以下、「センキュウ」は、植物のセンキュウ(Cnidium officinale)を表し、「川きゅう」は薬品の名前を表すことにします。ややこしいですが、ご了承下さい。 国内では、年間におよそ400トンが生産されているようです。結実しないため、繁殖には根茎を用います。夏季に冷涼な地域に適しており、現在は主に北海道で栽培されているようですが、かつては東北地方でも栽培されていて、「仙台川きゅう」が有名だったそうです。 含まれている主な薬効のある成分はセンキュウラクトン、センキュウ酸等だそうです。
センキュウの学名については疑問があるようです。セリ科植物の属を見分ける重要な特徴の一つとして、成熟した果実の形態が挙げられますが、前述の通り、センキュウは果実を着けません。しかし、「Cnidium officinale」と命名した牧野富太郎博士は、特に理由もなく、センキュウをハマゼリ属にしてしまったそうです。 近年、リブロース二リン酸カルボキシラーゼの大サブユニットをコードするrbcL遺伝子の塩基配列を基に、植物の系統発生を分子生物学的に調べる方法が確立されています。この方法によると、センキュウは、ハマゼリ属ではなく、Ligusticum属(マルバトウキ属)、特にL. chuanxiongの近縁であることが明らかにされたそうです。約2000年前に中国で著された中国最古の薬草の本である「神農本草経」にも「川きゅう」が載っているそうですが、中国産の「川きゅう」は、このL. chuanxiongの根茎を乾燥させたものだそうです。ただし、センキュウもL. chuanxiongも雑種が起源であるかもしれないので、さらなる研究の余地があるとのことです。
追記(2004.2.15.) rbcL遺伝子に関する記述を、こちらのページに移しました。
本棚以外の参考文献
弘前城植物園にて撮影しました。
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