このページ内の文章・画像の転載を禁止します


コモンタイム

コモンタイム花コモンタイム
コモンタイム葉


シソ科ティムス属(イブキジャコウソウ属)
学名Thymus vulgaris L.
英名Garden Thyme、Common Thyme
和名タイム、タチジャコウソウ(立麝香草)
別名キダチヒャクリコウ(木立百里香)
花言葉活動力または勇気、感情、他
メモ

 ティムス属の説明は、こちらをご覧下さい。
 原産はヨーロッパ南部です。日本には、明治初年に渡来したそうです。コモンタイムを栽培している地域は、フランス、イタリア、スペイン、トルコなどの地中海周辺の国々と、アメリカ合衆国の一部の地域に限られているそうです。
 花言葉は、体を暖かくするとか、刺激的な香味に由来しているそうです。

 含まれている成分はチモール(thymol)、カルバクロール(carvacrol)、p-シメン(p-cymene)、γ-テルピネン(γ-terpinene)等のモノテルペンです。これらのうち、γ-テルピネンがチモールの基になる前駆物質であり、p-シメンがその中間物質だそうです。チモールが最も重要な成分で、殺菌、殺カビの効果があるそうです。

 シソ科の植物は腺毛があることが特徴ですが、腺毛には色々な形態の物があります。その多くは頭状、あるいは、楯状ですが、コモンタイムには二つともあるそうです。これらのうち、楯状の腺毛(peltate grandular trichomes; PGTs)にモノテルペンが蓄積していると考えられています。PGTsは、子葉では、向軸側(表面)に多くあるそうで、背軸側(裏側)にはないそうです。
 実生苗を使った実験によると、光がある条件下か暗黒条件下で苗を育てた場合、光がある方が、子葉のPGTsは、大きく数も多かったそうです。また、チモールの蓄積も光のある条件下で多かったそうです。なお、光によるチモール生成の誘導は、10分間の光の照射でも起こったそうですが、照射時間が長いほど蓄積するチモールの量が多かったそうです。モノテルペンの蓄積に先だってPGTsの数が増えることから、PGTは、モノテルペンの蓄積と合成の両方、あるいは蓄積か合成どちらかの場となっていると推測されています。
 チモールの蓄積量は、赤色光(波長が600〜700nmの光)によって多くなりますが、遠赤色光(700〜800nmの光)では暗黒条件下とほとんど変わらなかったそうです。また、赤色光を照射した直後に遠赤色光を照射すると、チモールやその前駆物質であるγ-テルピネンの増加が認められなかったことから、遠赤色光には赤色光の効果を打ち消す作用があると考えられ、モノテルペンの生成にはフィトクロムが関わっていると推測さています。腺毛の形成も、赤色光で増加し、遠赤色光で打ち消されたことから、フィトクロムが関わっていると指摘されています。しかし、腺毛については抜けているデータがあって、腑に落ちないこともないことはないのですが。

 6品種のタイムの、精油の組成と遺伝的多様性を調べた実験があります。これによると、供試された6品種は、精油の組成をガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)で分析した結果から、二つのグループに大別されたそうです。また、RAPD (Randomly Amplified Polymorphic DNA) と言う方法で遺伝子を解析した結果からも二つのグループに分けられたそうですが、GC/MSによるグループ分けと結果が一致したそうです。また、6品種の類縁関係も二つの解析方法の間で有意な相関があったそうです。このようなことから、精油の組成は、植物のゲノムに広く分布している多数の遺伝子によってコントロールされていることが推測されたそうです。

追記(2003.1.25.)
 メモを全文改訂しました。


本棚以外の参考文献
  • Letchamo, W. et al. Photosynthetic potential of Thymus vulgaris selections under two light regimes and three soil water levels. Scientia Horticulturae. 62: 89-101. 1995.(イントロダクションのみ引用)

  • Yamaura, T. et al. Light-dependent formation of glandular trichomes and monoterpenes in thyme seedlings. Phytochemistry. 28: 741-744. 1989.

  • Tanaka, S. et al. Phytochrome-mediated production of monoterpenes in thyme seedlings. Phytochemistry. 28: 2955-2957. 1989.

  • Echeverrigaray, S. et al. Correlation between the chemical and genetic relationships among commercial thyme cultivars. Journal of Agricultural and Food Chemistry. 49: 4220-4223. 2001.

コメント

 レモンタイムを追加したついでに、メモを全文改訂、大きい写真を差し替え、コメントを追加しました。論文検索したところ、ヒットする物がかなり多かったです。その中から、手に入れられそうで、なおかつ私の興味を引いた物を選んで紹介させていただきました。
 職場で栽培しているものですが、私は手出ししていません(^^;。撮影は5月下旬〜6月上旬です。(2003.1.26.)

 
HOME   植物名一覧

このページ内の文章・画像の転載を禁止します