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ケラスティウム属(セラスチウム属)


このサイトで紹介している種

シロミミナグサ      
シロミミナグサ
tomentosum
     

ナデシコ科Caryophyllaceae
学名Cerastium L.
和名ミミナグサ属
英名chickweed, mouse-ear chickweed
分布全世界。特に、北半球の温帯
種数100種(資料によって異なります)
属名の性別中性
属名の由来ギリシャ語の「keras(角)」で、果実の先端に裂片が着いていることによる。
メモ

名前について
 英名の chickweed は、ケラスティウム属の他、同じナデシコ科のハコベ属(Stellaria L.)や、サクラソウ科のツマトリソウ属(Trientalis L.)の英名でもあります。ちなみに、chick は、ヒヨコ、ヒナ、子供などのことで、weed は、雑草のことです。mouse-ear は「ネズミの耳」ですが、細かい毛に覆われた葉を例えたものと思われます。ラムズイヤー(lamb's ear;ヒツジの耳)と同じ発想ですね。ちなみに、学名が「ネズミの耳」を意味するミオソティス属もあります。
 和名のミミナグサは漢字で「耳菜草」と書き、由来は、「mouse-ear chickweed」と同じで、葉がネズミの耳に似ていることと、食用になることによると言われています。日本で独自に付けた名前がたまたま英名と同じ由来だったのか、英名を和訳したのかは、分かりませんでした。


形態・栽培など
 耐寒性がある一年草か多年草です。稀に、やや木本性の物もあるそうです。普通、毛に覆われています。葉は披針形で対生しています。花は、単生するか、集散花序を形成します。萼片は5枚で、離生してます。花弁は普通5枚で白色、先端が二裂しているか、深いギザギザが入る種もあるそうです。雄しべは10本以下だそうです。花柱は普通5本ですが、稀に、3本か4本のこともあるそうです。果実は円筒状の刮ハです。
 繁殖は、実生か株分けによります。花が終わった後に挿し芽をすることも出来るそうです。日当たりが良く、乾燥気味の場所を好むそうです。さらに、肥沃ではない土壌では、毛の生える性質が顕著に現れるそうです。成長が著しく強い種では、花が終わった後に、剪定すると良いそうです。


種類など
 種数は上記の通り100種だそうですが、これより少なく見積もられていることもあります。ケラスティウム属植物は多様性があって分類が難しいそうなので、種数に幅があるのは、そのせいなのかもしれません。日本には、6種ないし、5種4変種が自生していると言われています。一部の種を以下に挙げます。

C. alpinum L.
  タカネミミナグサ(高嶺耳菜草;var. beeringianum Regel.
・セイヨウミミナグサ(西洋耳菜草;C. arvense L.
  アオモリミミナグサ(青森耳菜草;var. japonicum Hara
C. fontanum Baumg.
  ssp. vulgare (Hartman) Greuter et Burdet
・オランダミミナグサ(C. glomeratum Thuill.
・タイリンミミナグサ(大輪耳菜草;C. grandiflorum
C. holosteoides Fries
  ミミナグサ(耳菜草;var. hallaisanense (Nakai) Mizushima、あるいは、var. angustifolium Mizushima
・タガソデソウ(誰が袖草C. oxalidiflorum Makino
・ミヤマミミナグサ(深山耳菜草;C. schizopetalum Maxim.
・オオバミミナグサ(大葉耳菜草;C. schmidtianum Takeda
・ホソバミミナグサ(細葉耳菜草;C. takeda Hara
シロミミナグサ(白耳菜草;C. tomentosum L.
  var. columnae (Ten.) Arcang.


分類、その他
 Scheen氏らが、57種について分子生物学的に系統を調べた研究があります。これによると、ケラスティウム属の起源は旧世界(ヨーロッパ、アジア)で、そこから、少なくとも2度にわたって、北アメリカ大陸に渡ったことが推察されたそうです。また、47種については、2つの亜属(Dichodon亜属と Eucerastium亜属)に分類されることが分かったそうです。なお、従来は、Eucerastium亜属は3つの節に細分されるとされていたそうですが、この研究からはその説を支持する結果は得られなかったそうです。


本棚以外の参考文献
  • 牧野富太郎.原色牧野植物大圖鑑.北隆館.1982年.

  • 牧野富太郎.原色牧野植物大圖鑑・続編.北隆館.1983年.

  • 大井次三郎.ミミナグサ.世界の植物.1783〜1785ページ.朝日新聞社.1977年.

  • Scheen, A.-C., et al. Northern hemisphere biogeography of Cerastium (Caryophyllaceae): Insights from phylogenetic analysis of noncoding plastid nucleotide sequences. American Journal of Botany. 91: 943-952. 2004.

(2004.12.25.)
 
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