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生態・形態など
多年草です。鱗茎は、内側に毛がある被膜(外皮)に包まれています。葉は、線形〜広卵形で、互生しています。花は、一般に単生しますが、数花(稀に12花)で花序を形成することもあるそうです。花被片は、外花被片3枚、内花被片3枚の合計6枚が離生していて、基部にブロッチ(blotch;「しみ」の意。園芸上は「目」とも言います)があることがあります。雄しべは6本です。子房は上位で、3室あり、柱頭は三裂しています。果実は刮ハです。 なお、チューリップ属の植物より花が小さく、苞葉を有する、という様な特徴を持つ種は、現在は、アマナ属(Amana Honda)に移されています。チューリップ属とアマナ属では、花粉の形態も異なるそうです。 開花期は一般に春ですが、春以外に咲く種もあるそうです。自家不和合性が高いそうですが、品種によっては自家和合性があるそうです。種子から育てる場合、播種から開花まで、少なくとも5〜7年かかるそうです。
主な種類と分類
種数は、Van Raamsdonk氏らの文献によります。従来は約100〜150種とされていたそうですが、形態的特徴等を解析した結果から、同種にまとめられた種があったそうです。また、Van Raamsdonk氏らは、チューリップ属を2亜属・8節に分類しました。一部の種について、分類とともに以下に挙げたいと思います。なお、Tulipa亜属の一部の節には、節の下にシリーズ(series)という分類群もあるようですが、ここでは省略しました。亜種(subspecies; ssp. )、変種(variety; var.)、品種(forma; f.)についても省略しました。
- Tulipa亜属
- Tulipa節
- Eichleres節
- T. fosteriana、T. greigii、T. kaufmanniana、他11種
- Tulipanum節
- T. agenensis、T. julia、他4種
- Kolpakowskianae節
- T. altaica、T. lehmanniana、T. tetraphylla
- Clusianae節
- T. clusiana、T. montana、T. linifolia
- Nomen nudum(不明?)
- Eriostemones亜属
- Australes節
- T. primulina、T. australis、T. sylvestris、他4種
- Saxatiles節
- Biflores節
- T. polychroma、T. biflora、T. dasystemon、他4種
- Nomen indeterminandum(名称不定義?)
なお、各亜属に属する種同士で交配を行ったところ、交雑できなかったそうで、Tulipa亜属と Eriostemones亜属は、生殖的に完全に隔離されていることが明らかになったそうです。 参考までに、「園芸植物大事典」によると、花糸の基部の絹毛の有無によって、花糸無毛節(sect. Tulipa、異名:sect. Leiostemones)と花糸有毛節(sect. Eriostemones)に大別されるそうです。
本棚以外の参考文献
萩屋薫.チューリップの種間雑種による育種.育種学最近の進歩.第12集:71〜81ページ.1971年.
Van Raamsdonk, L. W. D. et al. The systematics of the genus Tulipa L. Acta Horticulturae. 430: 821-828. 1997.
(2004.5.9.) |